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ついに51階層を突破しました!

目を覚ました。


……ん?


俺はしばらくぼんやりと上を見つめた。


青い光。


木の葉。


そして、その隙間から見える空みたいな天井。


「……あ……」


そうだ。


ダンジョンの中だった……。


昨日、初めて51階層まで降りてきたあと、俺たちはこの森で野営したんだった。


横を見ると、ガイルさんはもう起きて剣の手入れをしていて、セリアさんも荷物をまとめていた。


そしてルナは……。


「すぅ……」


まだ寝ていた。


「ルナ」


「……」


「起きろ」


「んん……」


ルナが寝返りを打った。


「朝だぞ」


「あと5分だけ……」


……そんな言葉、どこで覚えたんだ?


「ダンジョンだぞ」


「……!」


ルナの目がぱっと開いた。


「ダンジョン!」


ものすごく速く起きたな。


セリアさんが笑った。


「ダンジョンって聞いたら、すぐ起きるんだね~」


「私、寝てませんでしたよ!」


「今まで寝てたじゃない」


「目を閉じてただけです!」


嘘100%だ。


俺たちは簡単に朝食を取った。


パンとチーズ、それから干し果物。


ルナは昨日残しておいたレッドベリーまで何個か食べている。


「朝から美味しいですね~」


「それ、あんまり食べすぎるなよ」


「どうしてですか?」


「昨日、鞄に入れて取っておこうって言ってたじゃないか」


「食べるために入れたんですけど?」


そ、そうだったか……?


よく覚えてないし、今回だけは見逃してやるか……。


食事を終えると、ガイルさんが地図を広げた。


「今日はまず、52階層へ続く道を探す」


「その次は?」


ルナがすぐに聞いた。


「52階層を確認してから決める」


「53階層もですか?」


「決めてからって言っただろ」


「は~い」


ルナはもう53階層まで行く気満々らしい。


ガイルさんも分かっているのか、ため息をついてそれ以上は何も言わなかった。


俺たちは昨日残した目印を確認しながら、森の奥へ向かった。


朝と言っていいのか分からないけど、昨日より天井の青い光が明るい。


本当にここにも昼と夜があるみたいだ。


「ダンジョンって時間が分かるんでしょうか?」


俺が言うと、セリアさんが肩をすくめた。


「うーん……それは学者たちにもよく分かってないって聞いたよ」


「学者にもですか?」


「うん。ダンジョンには分からないことが多すぎるからね」


ルナが木の上を見上げながら言った。


「じゃあ、あの上の光を誰が作ったのかも分からないんですか?」


「たぶんね?」


「不思議ですね~~」


ルナは分からないことが多いほど嬉しそうだ。


少し歩くと、昨日より木々がずっと密集してきた。


蔓も増え、地面には大きな根がいくつも飛び出している。


ガイルさんが先頭で道を確認した。


「足元に気をつけろよ」


「はい」


その時だった。


コツ。


俺の肩に何かが落ちてきた。


「ん?」


小さな木の実だった。


俺は上を見た。


木の上から、小さな猿みたいな動物がこっちを見下ろしている。


手には同じ木の実を持っていた。


「……」


そいつがまた木の実を投げた。


コツ。


今度は頭に当たった。


ルナが吹き出した。


「ぷっ、お兄様、攻撃されてますよ!」


「……これが攻撃なのか?」


セリアさんも笑った。


「森に住んでる普通の動物みたいだけど?」


「そうなのかな」


俺は地面に落ちた木の実を拾った。


するとそいつが突然、枝の上で鳴き始めた。


キーッ! キーッ!


「な、なんだ?」


その瞬間、


周りの木の上から同じ鳴き声が次々と聞こえてきた。


キーッ!


キーキーッ!


……一匹じゃなかったのか。


ルナが上を見上げた。


「すごくいっぱいいます!」


数十匹くらいの小さな猿たちが、木の上から俺たちを見ていた。


そして。


コツ。


コツコツ。


バラバラバラッ!


木の実が雨みたいに降ってきた。


「ちょっと待て!」


ガイルさんが腕で顔をかばった。


「なんで攻撃してくるんだよ?!」


「面白がってるんじゃないですか?」


ルナが笑いながら木の実を避けた。


「っ!」


俺も手で木の実を受け止める。


別に痛くはない。


それより……。


「これ、食べられるのかな」


俺が呟くと、ルナがすぐに振り返った。


「食べられるんですか?!」


「いや、俺も知らない」


「ガイルさん!」


「なんで俺に聞くんだよ?!」


結局、その木の実が食べられるか分からなかったので口にはしなかった。


ルナはものすごく残念そうだった。


さらに奥へ進むと、森の雰囲気が少しずつ変わり始めた。


さっきまで聞こえていた小さな動物たちの声が減っていく。


鳥の鳴き声まで消えた。


「……静かですね」


セリアさんが小さな声で言った。


ガイルさんも剣に手をかける。


「気をつけろ」


俺も周囲を見回した。


確かに、さっきまでとは全然違う。


風で葉が揺れる音しか聞こえない。


そしてしばらくすると、遠くから何かが落ちるような音がした。


ドン。


「……?」


ドン!


今度は少し近い。


「なんだ?」


ガイルさんが姿勢を低くした。


茂みの向こうで黒い影が動く。


大きい。


「来るぞ!」


バキッ!


太い枝をへし折りながら、巨大な魔物が姿を現した。


「うっ……」


ルナが微妙な表情をした。


背丈は木の半分近くありそうだった。


全身は濃い茶色の毛に覆われ、腕は異様に長くて太い。


ゴリラによく似ているが、額から太い角が一本生えている。


ルナはしばらくそいつを見たあと、俺の方へ少し近づいた。


「……あれは、あんまり可愛くないですね」


「魔物を可愛いかどうかで見てるのか?」


ガイルさんの顔が強張った。


「ホーンドエイプ……!」


「強いんですか?」


ルナが聞いた。


「Bランクだ……!」


「ふーん……」


今回はあまり嬉しそうじゃない。


いったい何が基準なんだ……?


ホーンドエイプが俺たちに気づいた。


「ウオオオオオ!!」


胸を叩きながら咆哮した。


ドン! ドン!


その音で周りの葉まで揺れる。


そして、そばにあった岩を両手で持ち上げた。


「岩を……?」


セリアさんが目を見開いた。


ブゥン!


岩が飛んできた。


「避けろ!」


ガイルさんとセリアさんが横へ跳んだ。


俺は二人が避ける間に前へ素早く出た。


「お兄様?」


そして飛んでくる岩に向かって拳を突き出した。


ドン!!


岩がそのまま割れ、破片が左右へ散った。


「……」


ガイルさんとセリアさんが固まった。


ホーンドエイプまで固まった。


「……?」


ホーンドエイプは自分の手を一度見て、


砕けた岩を見て、


もう一度俺を見る。


かなり混乱してるみたいだな……?


「ウ……オ?」


ルナが笑いをこらえながら言った。


「魔物も驚いてるみたいですよ」


「そ、そうなのか?」


ホーンドエイプが急に怒ったように吠えた。


「ウオオオ!!」


今度は直接突っ込んできた。


地面が揺れる。


俺は剣を抜こうとして、ふと止まった。


あの毛って素材になるのかな?


「今回は壊さないようにするよ」


「何をですか?」


ルナが聞いた。


「素材」


「さすがお兄様~!」


褒められるのは嬉しいけど……。


そろそろ素材に執着するのはやめてほしいんだけどな。


ホーンドエイプの拳が飛んできた。


俺は体を低くして避け、そのまま腕を掴んだ。


「ふんっ!」


力を込めて横へ引っ張る。


「ウオ?!」


巨大な体がバランスを崩した。


俺はその脚を引っかけ、そのまま押した。


ズゥゥン!!


ホーンドエイプが背中から地面に倒れた。


「……」


ガイルさんが口を開けたまま固まっている。


俺はそいつの胸の上に乗り、拳を上げた。


「ちょっと待ってください!」


ルナが叫んだ。


「どうした?」


「私もやってみたいです!」


「何を?」


「とどめです~!」


ルナは嬉しそうに杖を構えた。


ガイルさんが不安そうな顔で言う。


「……森を燃やすなよ」


「燃やしません!」


ルナが杖の先をホーンドエイプへ向けた。


「《ライトニングスピア》!」


バチバチッ!


青い雷が槍のように伸びた。


ドン!


ホーンドエイプの横の地面に雷が落ちた。


「……」


「え?」


ルナが首を傾げる。


「外れました……」


「わざと弱くしようとして失敗したのか?」


「たぶん……」


その隙にホーンドエイプが体を起こした。


「ウオオオ!」


「あ」


ルナがもう一度杖を構える。


「今度は当てます!」


「ちょっと――」


《ライトニングスピア》が再び放たれた。


今度は正確に命中した。


バチン!


ホーンドエイプの体が大きく震え、そのまま倒れた。


ドン!


静かになった。


ルナが満足そうに頷く。


「今度はちゃんと加減できました!」


ガイルさんは倒れたBランクの魔物を見つめた。


「……そうだな。ちゃんと加減できてたな」


声に力がない。


俺たちはホーンドエイプから、腕の毛や角など比較的価値のありそうな部分だけを持っていくことにした。


全部持ち帰るには、さすがに大きすぎる。


「アイテムボックスみたいなのがあればいいんですけどね……」


ルナが残念そうに言った。


「でも、あれってものすごく珍しいんだろ?」


俺が言うと、ルナは鞄を見ながらため息をついた。


「手に入れる方法はあるって聞いたんですけど……」


「誰に?」


「焼き鳥の屋台のおじさんにです」


「…………」


そういうの、信じちゃダメだろ。


そのあとも俺たちはしばらく歩き続けた。


そしてついに、森の真ん中に妙な石の扉を見つけた。


木と蔓の間に立っている扉。


その上には数字が刻まれていた。


【52】


「見つけた……!」


ガイルさんが息を吐いた。


ルナはすぐに扉の前まで走っていった。


「52階層です!」


俺たちは周囲を確認したあと、ゆっくりと扉を開いた。


ギィィ……。


そして、その向こうにも森が広がっていた。


「え?」


ルナが少し残念そうな顔をした。


「また森ですね……」


だが俺はすぐに、何かが違うことに気づいた。


51階層より木々がずっと大きい。


空気もさらに湿っている。


そして遠くでは、


木々の間を巨大な何かがゆっくりと動いていた。


ガイルさんが低い声で言った。


「51階層が森の入口だとしたら……」


セリアさんが弓を構える。


「52階層からが、本当の深層の森ってことなんだろうね」


ルナの残念そうな表情が一瞬で消えた。


「お兄様!」


「ん?」


「あれ、倒しに行きましょう!」


「………そうだな……」


今後のストーリーが気になる方は、ぜひブックマークと⭐評価をお願いします!(❁´◡`❁)


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