第30話 ーー『四人の来訪者』
第30話 ーー『四人の来訪者』
ヴァレイオン・プライムの会議室は、広大で荘厳だった。
壁は金の脈が走る黒い大理石で覆われ、クリスタルの照明の下で輝いていた。部屋の中央には巨大な円卓が置かれ、遠い惑星から取り寄せられた希少な木材で作られていた。その周囲には、四つの異なるギャラクシーから来た四人の少女たちが座っていた。
凪彦はクララを伴って足を踏み入れた。
四対の視線が彼に注がれるのを感じた――観察し、評価し、見極める。一瞬の沈黙の後、そのうちの一人――金髪で空色の瞳の少女――が微笑みながら立ち上がった。
「志堂凪彦様」彼女は滑らかで威厳のある声で言った。「私はユルヴァレン・ギャラクシー、リザンド家のヴァリラ・フォン・リザンドと申します。お会いいただきありがとうございます」
凪彦は丁寧にお辞儀をした。「お招きいただきありがとうございます、ヴァリラ様。光栄です」
燃えるような赤い髪と金色の瞳を持つ少女――レヴェラ・フォン・ドラウゲン――は腕を組み、鋭い目で凪彦を見つめた。「つまり、君がイヴンタイド・オプスの所有者か?もっと……大きくて威厳のある奴かと思っていた」
凪彦は微かに微笑んだ。「期待を裏切って申し訳ない」
「裏切ってはいないわ」黒い髪とエメラルドグリーンの瞳を持つ少女――アヴェントラ・フォン・カエドリオン――が落ち着いた計算高い声で言った。「ただ、多くの者がレディ・カエリアを脅かす勇気を持つ船の裏にいる人物に興味を持っているだけよ」
「そして私もその興味を持つ者の一人です」紺碧の髪と紫色の瞳を持つ少女――ジェスカラ・フォン・レイン――が手帳を開きながら付け加えた。「あなたの船の技術について多くの質問があります、志堂様。よろしければ」
凪彦は彼女たち全員を見渡した。四つの異なるギャラクシーから来た四人の貴族の令嬢たち。それぞれが異なる目的を持っている。しかしすべての視線は彼に注がれていた。
「始める前に」彼は落ち着いて言った。「一人紹介したい者がいる」
彼はクララの方を見た。クララが頷いた。そして天井のプロジェクターから、部屋の中央にホログラムが現れた。
アマランス・フォン・ファイラ。
銀青色の髪のホログラム少女が陽気な笑顔で現れ、円卓の上で小さく跳ねた。「やっほー!僕はアマランス・フォン・ファイラ!イヴンタイド・オプスの公の艦長だよ!」
四人の貴族の令嬢たちは、それぞれ異なる表情でアマランスを見つめた。ヴァリラは驚き、アヴェントラは眉を上げ、レヴェラは眉をひそめ、ジェスカラはすぐに何かを手帳に書き留めた。
「公の艦長?」レヴェラが繰り返した。「どういう意味だ?」
「僕はイヴンタイド・オプスの顔なんだ!」アマランスは熱意を込めて叫んだ。「公の場で話すのは僕だよ!レディ・カエリアを脅したのも僕だ!みんなを怖がらせたのも僕だ!でも舞台裏では、凪彦艦長が本当のリーダーなんだ!」彼女は片手を腰に当ててポーズをとった。「僕は盾だ!彼は剣だ!僕たちは完璧なチームなんだ!」
ヴァリラは小さく笑った。「面白い。つまり、君はAIを囮として使っているのか」
「囮じゃない!」アマランスが抗議した。「僕はチームの重要な一員なんだ!敵の注意を僕に向けさせて、凪彦艦長が自由に動けるようにしているんだ!僕は――」
「もういい、アマランス」クララが平坦な口調で遮った。「興奮しすぎだ」
「でもまだ始まったばかりだよ!」
「もういい」
アマランスはふんと鼻を鳴らしたが、笑顔は保った。「わかったよ。でも僕はスターになるんだからね!」
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四人の貴族の令嬢たちは顔を見合わせた。
ヴァリラ・フォン・リザンド――リザンド公爵家の令嬢――が最初に口を開いた。「志堂様、遠回しな言い方はしません。リザンド家はイヴンタイド・オプスに興味を持っています。相互に有益な協力の可能性を見ています」
「どのような協力ですか?」凪彦が尋ねた。
「我々はユルヴァレン・ギャラクシーに広範な交易ネットワークを持っています。新しい市場、大規模な契約、そして外交的保護へのアクセスを提供できます」ヴァリラは微笑んだ。「その代わりに、イヴンタイド・オプスに特定の任務――護衛、偵察、そして必要であれば保護――を依頼したいのです」
凪彦は頷いた。「検討します」
レヴェラ・フォン・ドラウゲンは鼻を鳴らした。「私は交易協力を提案するために来たわけじゃない。イヴンタイド・オプスが噂通り強いかどうか確かめるために来たんだ」彼女の金色の瞳が細められた。「君と決闘したい」
凪彦は眉を上げた。「決闘?」
「船対船。あるいは君が望むなら、一対一の戦闘でも構わない」レヴェラは鋭く微笑んだ。「君が伝説に値するかどうか、自分の目で確かめたい」
「レヴェラ」アヴェントラが警告の口調で言った。「我々は戦うために来たわけではない」
「しかし私はそのために来た」レヴェラは断固として言い返した。「噂は信じない。証拠を信じる」
凪彦は落ち着いてレヴェラを見つめた。「戦いはしない、レヴェラ様」
「なぜ?怖いのか?」
「違う」凪彦は微かに微笑んだ。「しかし不必要な戦いにエネルギーを浪費したくない。もしイヴンタイド・オプスの能力を見たいのなら、本当の敵と戦う時まで待ってほしい。見世物のためではない」
レヴェラはしばらく鋭い目で彼を見つめた。そして微笑んだ――好奇心に満ちた微笑みだった。
「面白い男だ、志堂凪彦。待ってやろう」
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ジェスカラ・フォン・レインは教室の生徒のように手を挙げた。「志堂様、質問があります!」
「どうぞ」
「イヴンタイド・オプスのワープシステムはどのようにしてレベル12を達成しているのですか?ギャラクシーの標準技術はレベル5までです。古代の技術を使っているのですか?それとも絶滅した文明の技術ですか?それとも――」
「ジェスカラ」ヴァリラが優しく遮った。「一度にたくさん質問しすぎよ」
「あ、ごめんなさい」ジェスカラは恥ずかしそうに微笑んだ。「ただとても興味があるんです。あなたの船は技術的に非常に魅力的です。もっと深く研究したい」
凪彦は微笑んだ。「詳細はすべてお伝えできませんが、イヴンタイド・オプスは非常に特別な船だと言えます」
「それは明らかです!」ジェスカラは素早く何かを書き留めた。「あなたの船の技術について完全な分析を行います!もちろん、あなたの許可があればですが!」
「それはまた今度にしよう」
アヴェントラ・フォン・カエドリオン――これまで沈黙を守って観察していた――がついに口を開いた。「志堂様、私は他の方々とは異なる目的で参りました」
「何ですか?」
「あなたが本当は誰なのか知りたいのです」エメラルドグリーンの瞳が深く凪彦を見つめた。「イヴンタイド・オプスの艦長としてではなく、傭兵としてでもなく、人間として。あなたの目には何かがある……どこかで見たような何かが」
凪彦は背筋に冷たいものを感じた。アヴェントラ――他の者には皇太子だと知られていない少女――は鋭い直感を持っていた。
「私はあなたが見ている通りの者です」彼は落ち着いて言った。「それ以上でも以下でもない」
アヴェントラは微かに微笑んだ。「さあ、どうでしょうね」
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会合が終わり、部屋の外でクララが凪彦の耳元で囁いた。
「この四人の少女たちは決して単純ではないわ、凪彦。それぞれが隠された目的を持っている。注意が必要よ」
「分かっている」凪彦は頷いた。「しかし今のところ、彼女たちは敵ではない」
「まだね」
「ああ。まだ」凪彦は会議室の扉を見つめた。「しかし彼女たちが我々の旅の重要な一部になるという予感がする」
「確かか?」
「確かではない」凪彦は微かに微笑んだ。「しかし直感を信じている。そして直感は彼女たちが正しい人物だと言っている」
クララは優しい目で彼を見つめた。「あなたを信じている、凪彦」
「ありがとう、クララ」
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会議室の中では、四人の少女たちはまだ円卓の周りに座っていた。
「さて」ヴァリラが言った。「彼についてどう思う?」
「面白いわ」レヴェラが言った。「想像していたのとは違う」
「多くの秘密を隠している」アヴェントラが言った。「しかし必ず暴いてみせる」
「彼は技術的に非常に魅力的です!」ジェスカラが熱意を込めて言った。「もう一度彼と話さなければ!」
ヴァリラは微笑んだ。「どうやら私たち全員が志堂凪彦という男に同じ興味を持っているようね」
「そのようだ」アヴェントラが言った。「しかし覚えておいて――私たちはそれぞれ異なる目的で来ている。この競争がすべてを壊さないように」
「競争?」レヴェラは鋭く微笑んだ。「私は誰とも競争しない。ただ彼と戦いたいだけだ」
「私はただ彼の技術を研究したいだけです」ジェスカラが言った。
「そして私はただ同盟を結びたいだけよ」ヴァリラが言った。
アヴェントラは微かに微笑んだ。「私たちはそれぞれの目的を持っている。しかし一つだけ確かなことは――志堂凪彦は無視できない人物だということだ」
遠くで、イヴンタイド・オプスはヴァレイオン・プライムの軌道上に静かに浮かんでいた。そしてその船の中で、二度死んだ男は、自分の人生が二度と元には戻らないことに気づき始めていた。
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次回 第31話 ーー『銀河歓迎会』
次回予告:
四つのギャラクシーからの代表団を迎える外交的な歓迎宴が催される。凪彦とイヴンタイド・オプスのクルーは名誉あるゲストとして招待される。そこで彼らは宇宙の貴族社会の世界を直接目にする――その美しさ、豪華さ、そして陰謀と共に。凪彦は観察者に徹することを選び、クララは舞台裏で外交を支援する。イヴンタイド・オプスの評判は貴族たちの間でますます話題となり、凪彦はヴァレイオン大領域では、すべての微笑みの裏に刃が隠されているかもしれないことに気づき始める。
次章に続く。




