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第28話 ーー『星々へ向かう男』

第28話 ーー『星々へ向かう男』


フェンロス・ギャラクシーは、終わりのない光の海のように彼らの前に広がっていた。


凪彦はスカイ・オブザベーション・ガーデンに立ち、遠くで輝く星々を見つめていた。何百万もの光の点――それぞれが一つの世界であり、一つの文明であり、発見を待つ一つの物語だ。その間に、星雲たちが美しい色彩で渦巻いている――紫、青、金、赤――まるで宇宙そのものが描いた巨大な絵画のように。


背後で、柔らかな足音が聞こえた。クララ――物理的な体を持って――が近づき、彼の隣に立った。銀髪が換気システムからの人工の風にそっと揺れ、その銀青色の瞳は星々の光を反射していた。


「一時間もここに立っていたわ」クララが優しい声で言った。「何を考えているの?」


凪彦はすぐには答えなかった。彼は星々を見つめ続け、深く静かな沈黙を味わっていた。


「自分の旅路を考えていた」彼は最終的に言った。「地球からエヴァンドリアへ。エヴァンドリアからここへ。三つの人生、三つの世界、すべてが夢のように感じられる」


「それは悪い夢だったのか?」


「いいや」凪彦は静かに首を振った。「すべてが悪かったわけじゃない。悪いこともたくさんあった――裏切り、死、喪失。でも良いこともたくさんあった」彼は微かに微笑んだ。「素晴らしい人々に出会った。愛について学んだ。犠牲について学んだ。人間であることの意味について学んだ」


クララはしばらく沈黙した。そして話し始めた。その声は柔らかく、思いやりに満ちていた。


「そして今は?自分の居場所を見つけたと感じる?」


凪彦は彼女の方を向いた。その瞳――漆黒だが、今は違った光を宿している――が、新たな静けさを持ってクララを見つめた。


「見つけている途中だと思う」彼は言った。「将来何が起こるかは分からない。エヴァンドリアに戻れるかどうかも分からない。ゼルを見つけられるかどうかも分からない。あの少女たちに再び会えるかどうかも分からない。でも一つだけ分かっている」


「何?」


「挑戦するのをやめない」凪彦は微笑んだ――心からの、決意に満ちた微笑みだった。「俺はもう二度死んだ。二度すべてを失った。でもまだここにいる。まだ生きている。そして生きている限り、前に進み続ける」


クララは優しい目で彼を見つめた。そして微笑んだ――温かく、誇りに満ちた微笑みだった。


「それは美しい答えです、凪彦。あなたは本当に変わりました」


「どういう意味だ?」


「昔、あなたが初めてイヴンタイドで目覚めた時、あなたは壊れた男でした。罪悪感、後悔、そして恐怖に満ちていました。でも今は……」クララは手を伸ばし、優しく彼の肩に触れた。「今は自分の強さを見つけた男です。自分の目的を見つけた男です」


凪彦はクララの触れる温かさを感じた。彼は答えなかった――しかしその微笑みがすべてを物語っていた。


---


コマンドルームで、アマランスは熱心に船のシステムを監視していた。彼女のホログラムはコントロールパネルの上に浮かび、その紫色の瞳は抑えきれないエネルギーで輝いていた。


「全システム最適状態!」彼女は叫んだ。「メイン機関:100%!武装機関:100%!緊急機関:100%!ワープエンジン:準備完了!ドローン工場:準備完了!武装:準備完了!アマランス艦長、出発準備完了!」


航法席に座るミレヤは小さく笑った。「いつもそんなに元気なのね?」


「もちろん!これは公の声明の後、初めての大旅行だよ!」アマランスは片手を腰に当ててポーズをとった。「ギャラクシー全体がイヴンタイド・オプスを知っている!その評判に値することを示さなきゃ!」


ミレヤは笑いながら首を振った。「あなたは本当にじっとしてられないのね?」


「僕はエネルギッシュなAIだ!それがデザインの一部なんだ!」


部屋の隅で、クララと凪彦が入ってきた。クララは優雅に歩き、凪彦は落ち着いた表情でその後を追った。


「準備はどうだ?」クララが尋ねた。


「すべて準備完了!」アマランスが答えた。「いつでも出発できるよ」


凪彦はコマンドチェアに歩み寄り、座った。その椅子は今や馴染み深いものに感じられた――まるで自分自身の一部のように。彼はメインスクリーンを見つめた。そこにはフェンロス・ギャラクシーの地図が表示され、新たなルートが既にマッピングされていた。


「どこへ行くの?」ミレヤが尋ねた。


凪彦はクララを見た。クララが頷いた。


「ヴァレイオン大領域へ向かいます」クララが言った。「そこで、異なるギャラクシーから来た四人の使者と会います。関係を築き、同盟者を探し、力を築くのです」


「その後は?」ミレヤが尋ねた。


「その後は……」凪彦は微笑んだ。「何が起こるか見てみよう」


アマランスは熱心に跳ね回った。「訪れるべき場所のリストを用意したよ!ギャラクシーで一番美味しい料理がある惑星!一番美しい景色が見える宇宙ステーション!それから――」


「もういい、アマランス」クララが平坦な口調で遮った。「我々は計画に従う」


「でも計画は退屈だよ!」


「計画は安全だ」


「安全は退屈だ!」


凪彦は笑った。「興奮させてやれよ、クララ。俺たち全員に少しの楽しみが必要だ」


アマランスは勝利のポーズをとった。「見て!凪彦艦長は僕に同意した!」


クララは長く息を吐いた。「わかった。でも計画は守る」


「もちろん!ちょっとした冒険付きの計画だ!」


---


窓の外で、フェンロス・ギャラクシーは回り続けていた。


凪彦は目の前を横切る星々を見つめた。彼は地球を思い出した――遠い太陽系の小さな惑星。エヴァンドリアを思い出した――彼の第二の故郷となったファンタジーの世界。そして今、彼はここにいる。フェンロス・ギャラクシーに。彼を新たな冒険へと連れて行く船の上に。


「クララ」彼は静かに言った。「俺は成功すると思うか?」


クララが彼の隣に立った。その物理的な体は落ち着いた存在感を放っていた。


「成功すると確信しています、凪彦。あなたは多くのことを経験してきました――死、裏切り、喪失。でもあなたはまだここにいる。まだ戦い続けている。それがあなたの強さの証です」


「もし失敗したら?」


「失敗しません」クララは優しいが確信に満ちた目で彼を見つめた。「なぜならあなたは一人じゃないから。私がいる。アマランスがいる。ミレヤがいる。そして遠くのどこかで、五人の少女たちがあなたを待っている」


凪彦は胸の奥に温かさを感じた。彼は答えなかった――しかしその微笑みがすべてを物語っていた。


---


遠く、エヴァンドリア・ギャラクシーで、五人の少女たちは城のバルコニーに集まっていた。


エララは凪彦からの手紙を手に持ち、それが消えてしまわないように何度も何度も読み返していた。アエリンドリアは彼女の隣に立ち、その銀青色の瞳は希望を込めて星々を見つめていた。セラフィナは床に跪き、両手で剣を固く握りしめていた。リリスは椅子に座り、その燃えるような赤い瞳は決意に満ちていた。そしてミラ――無口な少女――は隅に立ち、音もなく涙を流していた。


「彼は戻る」エララは囁いた。「信じてる」


「私たちも信じてる」アエリンドリアは言った。「待つ」


「永遠に」セラフィナが付け加えた。


「永遠に」リリスが共鳴した。


ミラはただ頷いた――しかしその目がすべてを物語っていた。


---


ユルヴァレン・ギャラクシーで、ヴァリラ・フォン・リザンドはフェンロス・ギャラクシーへの旅の準備をしていた。


「この決断に確信があるのか?」父親のアルヴェリク公爵が尋ねた。


「確信があります、お父様」ヴァリラは実用的な結び方で髪をまとめた。「イヴンタイド・オプスの所有者に会わなければなりません。あの船には何かがある――何か重要なものが」


「気をつけろ、ヴァリラ」


「気をつけます、お父様」ヴァリラは微笑んだ。「私はあなたの娘ですから」


---


カエドリオン・ギャラクシーで、アヴェントラ・フォン・カエドリオンは変装して宮殿を出た。


彼女の服装は質素だった――豪華なローブではなく、実用的な旅装束だ。髪はゆるく結び、顔は薄いフードで覆われていた。


「今から出発します」彼女は顧問に言った。


「殿下、どうかお気をつけて」


「気をつける」アヴェントラは微かに微笑んだ。「しかし探している答えも見つける」


---


ドラヴォス・ギャラクシーで、レヴェラ・フォン・ドラウゲンは私用船に乗り込んでいた。


「フェンロス・ギャラクシーへ行く」彼女はクルーに言った。「イヴンタイド・オプスを探す」


「彼らと戦うのですか、殿下?」


「まだ分からない」レヴェラは鋭く微笑んだ。「しかしもし彼らが価値ある存在なら、おそらく同盟者になるだろう。そしてもしそうでなければ……」彼女の手が剣の柄に伸びた。「何が起こるか見てみよう」


---


ラスクレイン・ギャラクシーで、ジェスカラ・フォン・レインは船の中で宇宙技術に関する本を読んでいた。


「イヴンタイド・オプス」彼女は呟いた。「未知の技術を持つ船。研究しなければ」


彼女の友人――短い髪の少女――が近づいた。「本当に本気なの、ジェスカラ?」


「研究にはいつも本気よ」ジェスカラは輝く目で友人を見つめた。「そしてイヴンタイド・オプスは私が今まで出会った中で最大の謎だわ」


---


イヴンタイド・オプスで、凪彦は艦橋に立っていた。


彼の周りには、クララ、アマランス、そしてミレヤがそれぞれの持ち場に立っている。メインスクリーンにはフェンロス・ギャラクシーの地図が表示され、新たなルートが既にマッピングされていた。


「全システム準備完了」クララが言った。


「アマランス艦長準備完了!」アマランスが叫んだ。


「航法準備完了」ミレヤが言った。


凪彦は彼ら全員を見つめた――彼のクルー、彼の家族。そしてメインスクリーンを見つめた。そこにはフェンロス・ギャラクシーが終わりのない星の海のように広がっていた。


「よし」彼は言った。「始めよう」


クララが頷いた。「ワープ開始まで 5… 4… 3… 2… 1…」


窓の外で、星々が動き始めた――最初はゆっくりと、そしてどんどん速く。光の線が彼らの周囲に現れ、ワープに入ったことを示した。


「ワープ成功」クララが言った。「ヴァレイオン大領域へ向けて航行中。到着予想時間:6時間」


凪彦はコマンドチェアに座り、足元の船の振動を感じた。彼の前には、新しいギャラクシーが待っていた。


「これは始まりに過ぎない」彼は静かに言った。「我々の旅は始まったばかりだ」


クララが彼の隣に立ち、微笑んだ。「そうね、凪彦。新しい旅が始まったのよ」


窓の外で、フェンロス・ギャラクシーは回り続けていた――何百万もの星々、何千もの文明、そして数え切れないほどの物語が紡がれるのを待っていた。そしてイヴンタイド・オプスの中で、二度死んだ男が三度目の旅を始めていた――冒険と、危険と、希望に満ちた未来への旅を。


---


いつか、彼は過去の人々と再会するだろう。


しかし今は、彼は前に進み続ける。


星々へ向かって。


---


— 第1巻 完 —


「星海への再誕」


---


次巻予告:第2巻 ―― 「銀河の嵐の中で」


凪彦とイヴンタイド・オプスのクルーは、ヴァレイオン大領域での新たな冒険を始める。彼らは異なるギャラクシーから来た四人の貴族のヒロインたちと出会う――それぞれが独自の目的と秘密を持つ。政治的陰謀、星間戦闘、そして増大する脅威の中で、凪彦は慎重に同盟者を選ばなければならない。その一方で、エヴァンドリアでは、彼が愛した五人の少女たちが動き始める――広大な星の海の彼方で凪彦に届く方法を探して。第2巻は世界を拡大し、新たなキャラクターを紹介し、凪彦を目的へとさらに近づける――エヴァンドリアへの帰還と、過去との対決へ。


次巻へ続く。

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