↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界資格マスター ~最弱村人から始める資格無双。試験分析EXで世界をアップデートします~  作者: 東雲 諒杏
第五章「魔法士試験と魔導気象士」

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
95/157

第95話 同点合格


 合格発表は、資格院の掲示板だった。


 黒い板に白い文字。受験者、百二十二名。合格者、三十一名。名前が縦に並んでいる。

 私は下から探した。癖だ。前世の掲示板でも、私はいつも下から探した。下から探せば、ないときの落胆が少しだけ遅れて来る。


 名前は、一番上にあった。


『首席 ―― エルフィーナ・ティルナ / レオン・シラハネ』


 二つの名前が同じ行に並んでいた。その横に、小さな字で注記があった。


『※両名、筆記満点、実技評価上限到達により、同点。首席、二名。前例なし』


 前例なし。


 私はその四文字を見た。私の名前の横に、また増えた。これで五つ目だ。


 掲示板の前には人だかりができていた。学院の貴族席の何人か。予備校の受験者たち。彼らは二つの名前を見ていた。「同点?」「魔力九十五と魔力二十一が同点?」「実技に上限があるからだ」「その上限に、二人とも届いたのか?」


 その人だかりの後ろに、資格院の若い書記が立っていた。


「……レオン殿」


 彼は私を見つけて、書類を抱えて近づいてきた。


「合格の登録です。……首席が二名。同点。前例がありません。登録簿の首席欄は、一名分しかありません」

「……では、どうなるんです」

「上に聞きました。……備考欄に書け、と」


 彼は書類を見せた。首席欄にエルフィーナ・ティルナ。備考欄に『同点首席、レオン・シラハネ』。


「順番は名前の字の順です。他意はありません。……備考欄が、また増えました」


 彼は少し申し訳なさそうに言った。私は笑った。備考欄の常連である。


 刻印は、資格神殿で行われた。


 初級魔法士は学院の礼拝堂で済んだ。だが、C級以上は神殿で刻む。

 白い大理石の床に、白い袖の神官たち。香の匂いが低く漂っていた。私はその中に、あの痩せた神官を見つけた。中庭に来た神官だ。彼は私を見た。見て、何も言わなかった。


 聖水の水盆。三十一名が順に手を浸していく。


 私の番が来た。手を浸した。水は、思っていたより温かった。


 ファンファーレが神殿に響いた。


 高い天井に音が反響した。金の光が白い床の上を螺旋に昇っていく。三十名の合格者と、神官たちが、それを見上げた。


♪♪♪♪♪

【資格取得】『魔法士(C級)』

 → 能力上昇:MP+30 魔力+12 知力+6 魅力+2

 → スキル獲得:『火魔法 Lv2 → Lv3』『風魔法 Lv1 → Lv2』『術式構築 Lv2 → Lv3』

 → 職業解放:『魔法士』

 保有資格:10 / 12,000


 魔力、三十七。転生した日の、四倍半だ。


 神殿が静まり返った。神官たちはファンファーレを知らなかった。あの痩せた神官も。彼は金の光を見上げていた。見上げて、その顔が少しずつ固くなっていった。


「……神の、祝福が」


 誰かが呟いた。若い神官の一人だった。


「刻印に神の祝福が降った。……そのようなことは、三千年」


 痩せた神官が、その言葉を手で制した。制して、私を見た。私の手はまだ聖水の中にあった。


「レオン殿。……その音は、いつからです」

「転生――」


 言いかけて、止めた。


「……最初の資格から、です。村人E級から」

「村人E級で、この音が?」

「はい。同じ音です」


 神官はしばらく私を見ていた。それから水盆の次の合格者を呼んだ。呼びながら、独り言のように言った。


「……神殿は、あなたの刻印を見ています。……村人E級から、でしたか」


 その言い方が、私の背中に少し残った。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。