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-32- 暑気

 今年も残暑が厳しいですが、 暑気に価値はあるんだろうか? と、馬鹿馬鹿しく思ってしまいました。なぜ馬鹿馬鹿しいのかと言いますと、誰も価値なんかないだろうが…と思われるからです。確かに、熱中症や日中の行動の辛さなどがありますが台風(南方地方などを除きます)を、寄せつけないという効果もあり、一概に価値がない・・とは言えないからです。

「チェッ! 今日も暑いや…」

 山尾は出勤の施錠を済ますと、日射しが強くなった青空を見ながら、ひと声、そう愚痴った。

 一時間早くいつもの地下鉄(メトロ)に乗ると、昨夜の暑気が残っているせいか、すでに汗が額(ひたい)に滲(にじ)み始めた。山尾は鞄から電気式の小型扇風機を取り出すとスイッチを入れた。幾らか涼しくなった山尾は、静かに両眼を閉ざした。

 しばらくすると、昨夜飲んだビア・ガーデンの生ビールとツマミの鞘豆の美味さを思い出した。そしてまたしばらくすると、家族五人で食べたカキ氷の美味さが心を擽(くずぐ)った。暑さも悪いことばかりじゃないな…と、山尾は暑さの価値をしみじみと感じた。

 まあ、そういうことって、ありますよね。^^


                   完

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