-15- 豊かさ
豊さの価値を考えれば、非常に難しいことに気づかされます。『そりゃ、誰だって、貧しいより豊かな方がいいだろう』と思われる方々がマイノリティ(多数派)でしょうが、『必ずしもそうではない』と言われるマジョリティ(少数派)の方々もおられるからです。
山岡は貧しい家庭に育った。彼はとある実業家の隠し子だったが、その実業家の都合で養子に出されたのである。生みの母は実業家がその後も面倒を見て何一つ不自由なかったが、貧しい山岡家に養子に出された山岡にとって、豊かさは無縁の世界だったのである。
山岡は育つにつれ貧しさに打ち勝つ術を身につけ、やがて成人した。彼の生まれついての能力もあったが、大学の医学部を卒業し、とある病院に勤める医師として多くの患者を救っていった。彼は苦労した分、患者に対して親身になって医療を施すことが出来た。
それから二十年ばかりが経過し、彼は小さいながらも医院を開いた。その後、数年が経った頃、実父が病に倒れたと通報が入った。彼は急いで実父の往診に駆けつけた。
『皮肉なものだ…。育てた息子は体たらくだからな…』
やがて彼の治療によって回復した山岡の思いである。
豊かさが災いすることもあり、貧しさが人を育む・・ということもある訳です。このお話の場合の豊かさは、価値がないという結論に至ります。^^
完




