-12- 地位
人生では誰しも、生きやすい上の地位を目指します。しかし、上の地位に価値があるのか? は疑問で、万年ヒラの方が生きやすく、価値が高い場合もある訳です。そう考えれば、人生って分かりませんよね。^^
とある町役場に勤める竹原は出世に関係がない万年ヒラの職員として役所内で名声を馳せていた。
「竹原さん、今年も嫌な異動の季節が来ましたね…」
竹原の隣のデスクに座る若手職員の松川が小声で語りかけた。
「そうかい? 私は別にどうってことないんだけどね…」
「そうなんですか? 最近は、皆ビクビクしてますよ」
「ビクビクしても、なるようにしかならないんだからさ」
「それは、そうなんですが…」
「私の年になると、地位を得ることが果たして価値があるのかっ!? って考えてしまうんだよ」
「でも、地位は大事でしょう」
「君がそう思うんなら、それでいいじゃないか」
「ええ、まあ…」
「君もそろそろ主査から係長に昇格する年だな」
「ははは…それは、そうですが」
松川は笑って暈した。
一週間後、異動の内示が発令された。なんとっ! 竹原は二階級特進の課長補佐に抜擢されたのである。その日から竹原は新人並みの落ち着きのない勤務態度へと豹変した。
地位を得ることで、地位の価値に気づかされる場合もあるんですね。^^
完




