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屍上の楽園と骨の大地

「うっしそろそろ行くか。お前ら忘れ物は大丈夫か」


念のために双子に確認を取るとなんか今から遠足にでも行くようなスラックスを着てポシェットを持ち、俺が渡したマントを着ている双子が元気よく手を上げた。


「「はーい!大丈夫だよー」」


よし、俺も念のために旅に使いそうなバックパックを用意したし、子供らのスラックスも後で何か麻とか皮で作ったような服に改造するとして、今は大丈夫だな。

 覚悟を決めて以前確認した岩の切れ目を潜る。


『が…ん…バ…って』


おう、頑張ってくるぜと片手で後ろに手を振って頭を掻く。


「じゃーねー」


「行ってきまーす!!」


・・・双子は気が付いていたのか。

 出鼻がくじかれた気がしたが、気にせずに双子の体調を気にしながら歩いて行く。

 切れ目の先は割と明るく、カンテラが必要ないほどだ。と言っても俺のネックレスには炉が二つ入ってあるからそこそこ明るいんだけどね。

 ・・・あれ?なんだかいい匂いがする。何だろう力が抜けて…体が勝手に?幻覚まで見え始めた。あ、匂いの正体はこの先かな?

 目がかすむ。子供たちが慌てて俺を追いかけている気がする?


 …何だ?目の前が春の陽気に心地いい温かい風、一面の花畑。魔物の一匹も見えず、きれいな蝶々がたくさん鍾乳石の隙間から柱のように降り注ぐ光に反射する。神聖な光景だ。

 あ、気持ちいい微睡の中に沈む。眠たい・・・お休み。


「「おにぃちゃん!!」」


叶と真の声が聞こえてくる。この子たちも一緒に寝ようぜ。ぐぅー。


「叶?」「真?!」「「うん!」」


あ・・あどうしたんだよ二人とも。


「「せぇーの!!」」


というと同時に双子はおれにマントをかぶせた。その瞬間、俺の脳が冴え、現実に引き戻された。


「っは!ここは?」


「「おにぃちゃーん!!大丈夫?」」


と双子が俺に抱き着いてきた。


「お、おう。つーかさっきのは何だったんだ?」


今ではさっきまでの微睡が全くない。あ、これのおかげか。俺の顔にはターバンのように巻かれた白いマントと黒いマントが覆いかぶさっていた。

 立ち上がって周囲の光景を冷静に見て見ると、さっきまでの光景が何だったんだ?とばかりに地獄絵図が続いていた。

 色とりどりのきれいな花々は毒々しいまだら模様で、花の中央からホコリ茸のように紫の花粉が胞子のように吹き出ており、地面には動物の骨と思しきものが土に還りかけていた。

 そして天井からエンジェルラダーのように降り注いでいた光はよく見ると光などではなく蜘蛛の巣であり、キラキラして見えたものは小さな虫だった。

 そして空を舞うように飛ぶステンドクラスのような蝶々はよく見れば蛾の群れで自らショッキングカラーの淡い光を放っている。気持が悪い。


「もしかして、さっきから見ていた景色ってこれか?」


「「うん!」」


「正直正気を疑ったよ?おにぃちゃん」


っう、なんて辛辣な話。


「そ、それで?どうやって助けてくれたんだ?何となく想像できるけど」


「?このマントで!」


やっぱり要領を得ないな。・・・だけどなんとなくわかった。


「ありがとうな。本当に助かった。よし、マントを顔に巻いて吸わないようにしよう」


と言って俺は自分のマントをマスク代わりに巻く。

 双子たちも巻くのかと思ってみていたら二人とも何もせずにケロッとしていた。え?


「お前ら大丈夫なのか?」


「「?大丈夫だよ?」」


あ、そうなのね。それじゃあ出発!!


と周囲のグロテスクな光景を一切無視して先を急ぐ。といってもこの鍾乳洞はかなり広大で視界の端が暗闇でかすんで見えないくらいだ。


「出発とは言ったものの、これ、どこに向かえばいいんだ?」


あー。マジでどうしよう。俺等がこんな風に非常食になるのは嫌だぞ??あ、だけど消化されきれなかった武器とかはいただいて行こう。剣に槍、何で手裏剣?鍬にレーキなんてものまである。何に使えるかわからないし、持って行こう。幸いなことにネックレスの隙間にはまだ空きがあるから大きめの箱を入れておいて良かった。

 収穫は直剣が5本に曲刀が3本、それにいろんな形状のナイフが10本以上。片刃斧が2本。これって一人分の武器なのかな?片手に一本ずつ斧を持ってってどこのスーパーマタギだよwwそれとレーキ。防具に関しては兜が三つくらいあればいいかな?


「「じーーーーー」」


っは!


「ごめんごめん待たせたな。お前らはこんなことしちゃ駄目だぞ」


やっちゃったな。だけどこれは必要なことだ。こんな辺境で亡くなった人の物は大丈夫なはずだ。バレないと思う。


「「しないよ?」」


どうしてするの?みたいな目で見つめる双子の教育に何か害があるかと心配したが、それは関係ない様子だ。


「それで。見て回るか。二人とも、ちょっと来て」


といって双子を呼び寄せると食虫植物の触手に掴まらないように抱き上げて持ち上げる。


「「わぁー!」」


上なら胞子も吸わないんじゃないかと思ったんだが、…そういえばどうして双子は効かないんだ?


「なぁお前ら。どうして眠たくならないんだ?」


「?わかんなーい!」


「?僕も―!」


あ、そう。それよりここってこれだけなのか?…いや違う気がする。胞子に流れがある。ってことは風が吹いている、ということは外に通じているのか?

 ひとまず胞子の薄い方に風に逆らうように歩いていく。幸いなことに魔物に出会うことなく先に進むことが出来た。


「だけど足元が歩きにくいな」


足元がずっと骨が腐ったような朽ちたような質感なので時折朽ちずに残った骨に足を取られる。


「うーんと、それじゃあ『おにぃちゃんの足元は平らだよ?』」


…はい?言ってくれるのはありがたいんだけど、そんなことってわぁ!

 いきなり地面の骨が崩れて砂になり、俺の居る範囲だけが砂岩のように固くなった。


「ありがとうな。真」


真は嬉しそうに鼻の穴を膨らませてドヤァというような効果音があるような顔をした。


「むぅー!おにぃちゃん!その骨の中で黒い骨とパールホワイトの骨があったら炉の燃料になるってー!」


対抗するように叶がそう叫ぶ。うんうん嫉妬してたのね?かわいいなぁ、…ほぼ同い年だけど。

 マントに魔力を籠めて操り、子供たちを手放しで支えられるように動かす。これで両手が動けるから戦闘もこなせるかな?

 うーん。これかな?さっき言ってた骨って肋骨かパールホワイトの背骨とえ?!こっちにあるのは蝶形骨?黒いな。そんでもって堅い。頭蓋骨も丸々残ってる?

 回収しよう。今のところはネックレスに入れられないから腰のベルトに吊るしてっと。うーん猟奇的!


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