荷造りと未来の来訪者へ
「…ってことで明日か明後日にはここを発つ予定だからね」
夕食時に双子に話しかけた。
「「むぐむぐ。うん!分かったー!」」
翌日、俺は早速いろいろと準備を始めた。工房の中を掃除して、書斎に移動してこの部屋のルールを今一度見て見ると、持ち出し大丈夫らしいので炉等の鍛冶道具一式を全て指輪の中に収める。これで三つ入った。
それから新しいノートを持ってきて俺の事情を書き、自分の武器の改造方法はー無理っぽいかな?新しい素材の加工方法を。
・ペインバタフライの巣
一見するとハニカムが露出したハチの巣のよう見た目。ペインバタフライが痛みや毒などのフェロモンを運ぶとそれを蓄積して自然の魔力で回復させる蜜に変化させる性質を持つ。
ぬるま湯に浸けると根のような管がたくさんある。
・ストライカーラビッツの鉄肉球
脚力が発達したウサギの足裏にある鉄のように固い肉球。ゴムのような性質を持ち、魔力を籠めて踏みしめると跳躍力を強化する。
炉に入れて精錬することが出来る。肉は筋張っていてあまりおいしくない。
・ランプカルキノスの提灯
巨大なカニの魔物の提灯。誘引の魔法が強力に籠められており、魔物を呼び寄せる。空中にある魔力を集めて発動させる。
採集方法は根元をねじると取れる
・ランプカルキノスの卵殻
文字通り巨大なカニの魔物の幼体の卵。隠蔽の魔力と縮小の魔法が込められていて、ランプカルキノスの子供が自分で獲物を取れるようになるまで存在し、自分の体より大きな餌などをそこの中に収納し、非常食の替わりにする。採れる場所は岩場の隙間にある草の間奥にある。
・シンダーライト・スートライト
シンダーホロウとその亜種を討伐した時に落ちる素材。一見するとただの灰や煤に見えるが、鉄に混ぜて製錬すると特殊な効果を持つ武器や装備になる。
シンダーライトは魔力を流すと霧散し、物理攻撃の全てを通してしまうが、物質の動きを遅くする。魔法も干渉するかは不明
スートライトは通常で霧散しており、魔力を流せば実体化する。詳しい性質は未使用なためわからないが、おそらく魔法に対する何かは持っているものと思われる。
・浄怨の焔
イタコ・ザ・エンプレスという魔物の核となる炎。特殊な取得方法をすることでシンダーライトとスートライトの性質を強くする。
さて、素材はこの位かな?それじゃあ次は俺が改造ったものの解説でも書くかな。
・ペインヒールソー(仮名)
地面に落ちていた釘バッドにペインバタフライの巣を使い改造った武器、切れ味は少し悪いが、切った時、その傷に応じて回復薬が柄にたまる。
・投げナイフ(ウサギ)
ストライカーラビッツの鉄肉球を使った投げナイフ、地面に刃がぶつかると跳ね回る。切れ味もなかなかの物。
さて。後は検証していないからいっかな。
あ!そういえば一応イタコ・ザ・エンプレスの記憶の件を書いておこう。勇者狩りのことを。
それからしばらくして。筆をおいて伸びをすると双子がいつの間にか横にいた。
「うわぁ!いたのか。どうした?」
「「おにぃちゃん。お腹すいたー」」
「そういえばもうお昼ごはんの時間だったな。食べたら旅の準備をするからなー」
「「はーい」」
俺は双子が部屋をていくのを見て微笑ましいなと思いながらも勇者狩りのことを思い出し、憤りを感じた。彼らは善意で生活を豊かにしようとしたはずなのに、この世界の命の価値の軽さのせいでだまし討ちのように殺されたんだよな。双子には絶対こんな現場は見せない様にすると決心した。降りかかる火の粉は火元から消してやる。
お昼ご飯にナポリタンを作りながらいろいろと思考を巡らせる。
サクッサクッサク。
勇者と判別された理由は・・・
トンットンットン
特に勇者狩りが酷い地域は・・・
グツグツグツ
我慢するしかないのか・・・
バラバラバラ~
いっその事種をまいてカムフラージュするか?無名だから誰も気が付かないんだろう。
ジュージュージュ―
各地の新人を見つけて鍛えまくって有名にするか。
ピピピッピピピッピ
その為には足がいるな。それに・・・
ジャバ―チャッチャ
どうやって野心もない子を見つけるか
ジュワ―――!!
食べ物も気を付けないとな。故郷の料理とか言ってる場合じゃないしな。
ザカザカザカ
取り敢えずは叶に相談してみよう。最悪焼くだけでもいいかもな。
ジュージュー
後はやっぱり脚だよなぁ。移動手段としてできれば馬以外でいい具合にないかなー。やっぱり馬車タイプが一番いいし。
カチャカチャ
いっその事格安で馬車の荷台買って改造するか!
コト、コポコポコポ
「出来たぞー二人ともー手を洗ってこーい」
というとドタバタ音と共に双子が降りて来た。
「「いただきまーす!」」「いただきます」
いつも通り美味い。あ、そうだそうだ。
「なぁ叶、一つ聞いてもいいか?」
「むぐむぐなーに?」
「人の野心とかってわかる?」
「やしんー?何それー」
「うーん。そうだなぁ。この人より上に立ちたい!とか思う気持ちって感じかな?そのためなら手段を選ばない!みたいなやつを見破れないかなーってさ」
「それなら真が出来るよー」
「ううぇ?そうなの」
「うん!多分?わかんないけど、僕の前ではみんな正直ないい子なの!!」
よし!双子を利用するようで悪いが、利用できるものは利用しよう。
「よし。もしかしたら外に出てお前らに働いて貰わないといけないかもしれないがいいか?」
「?大丈夫だよー」
「頑張る!!」
口に着いたケチャップを拭きながらお礼を言う。
「っはははありがとうな。それじゃあ明日直ぐに出発するから、準備をしておいてくれ」
「「はーい!」」
食器を受け取って洗いものを終えてオレも準備を進める。
薬の大量に入った樽を用意して飲用と表面に書く。そしてそれを収納する。次に俺が逐一調整していた包丁に鍋、まな板―はいいか!とどんぶりと箸をを取り出して収納する。
後は一応念のため裁縫道具と製薬道具(薬研や乳鉢と乳棒など)を一式入れる。
・・・なんだか空き巣をしているような気分だ。双子に見られていなくてよかっ!!
「・・・お前ら、いつから見ていた?」
「「樽を入れてるところー?」」
「最初からじゃねぇか!!」
小屋の中の物は持ち出し自由です。




