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腹黒子供と精錬できない石

「「あれぇ?全部戻らなかったの?おにぃちゃん」」


と不思議そうに首を傾げる双子。だがふと何かを思い出したかのように手を合わせてお互いに顔を見合わせた。


「あ!そうだ!神のおじいちゃんから言われてた!確かこの場所だと力が届かないって」


「あ!そう言えばそうだった!」


と互いに顔を見合わせて笑う二人。当事者の俺を放っておいて勝手に解決しないでくれよ。と言ってもわからないがな。


「「じゃあじゃあおにぃちゃん!ここから脱出しようよ!元の世界にも帰れないよぉ!」」


「うーん。断る。俺は行かないぞ?」


「「えーなんでなんでぇーかぁーえろぉーよー」」


両手を掴んでいったり来たりする双子。そんなこと言われてもなぁ。


「そんなこと言われても。ここなら俗世から離れられて都会の面倒な問題をすべて無視できるし、食材も素材も全て揃ってあるんだから一生過ごしてもいいかなーって思ってる」


本当に快適過ぎてこの場所から出なくてもいいかなーって思っている。


「うーん。じゃあおにぃちゃん!僕たちも帰りたいんだよ!」


「うーーん。おまえらって自主的に来たんだよな?」


「「?うんそうだよ~?」」


「じゃあ帰れるんじゃないのか?」


「「うーん。無理!!」」


いやそんなに元気よく叫ばれても知らんし。


「なんでだ?」


「「だって。この世界に連れてきてくれたのは神さまのおじさんだもん!!」」


「じゃあそのおじさんとやらに頼めよ」


「それが…おじさんの声が小さくって聞こえなくてここから出ないと届かないの!」


叶の方が急に泣き出した。あーもう! 


「分かった分かった!じゃあダンジョンの外に出て行くの俺も協力するから!!」


といった瞬間俺はなぜか寒気がした。


「「(にやり)うん!ありがとう!おにぃちゃん!!」」


?おかしいな一瞬叶と真の口元が三日月のように歪んだ気がする。はぁ。腐っても大人かぁ。仕方がないな。


「だけどしばらくの間はここにいるぞ」


「「えぇえええーなんでなんでぇ?早く行こうよぉ!」」


「だぁー!ちょっと黙れ!いいか、お前らの服装を見て見ろよ。着の身着のまま来た感じじゃないか。そのままじゃあ危ないだろうが!」


「?だけど神のおじさんのお力があるから大丈夫!」「それに僕の力もあるんだから!」


「いや、その話はついさっきしたばかりだろうが。それにな、使えなくなったらどうするんだ?最低限身を守れるくらいの装備は持っておけ」


というとようやく納得した様子で落ち着いたらしい。

 さて。それじゃあとりあえず双子が入って来たところでどんな変化があったのか調べないといけないな。

 

「それじゃあ一度家の中に入るぞ。おそらくお前らが快適に過ごせるように部屋が追加されていると思うから確認しに行く」


といって双子を引いて部屋の中に入っていくと客間の一つが子供部屋に変わっていて、小さな懺悔室みたいな部屋があり、その中には見る角度によっては女神にも男神にも動物にも見える謎の石像が鎮座していた。ここは叶のせつびなのかな?


「おーい叶ーちょっといいかー」


と子供部屋で大はしゃぎする双子を呼び寄せて懺悔室(仮)を見せると大興奮したようで子供特有の奇声を上げた後で部屋の中に突撃して一瞬で静かになった。

 叶はそのまま椅子に座り胸元で手を組んで静かに祈る。

 俺は静かに笑い、そのまま静かに扉を閉めてその場を離れる。


「さて、真用の部屋はどこにあるかな?」


と再び部屋を散策すると見つかったわ。丁度隣に部屋が出来ていた。


「これかな?見て見てくれ」


と言って一緒に部屋の中に入るといっても結構扉が小さくて辛いんだがな。

 真専用部屋は小さなプラネタリウムみたいな壁紙と天井で、本棚がたくさんある。そして部屋の中央にあるテーブルは魔法陣のようなものが描かれている。


「うわぁーすごいすごい!!」


と真は俺が何か言う前に部屋の中に突入していった。

 俺が居ても何もならないのでとりあえず俺は俺で、昨日手に入ったシンダーホロウの灰鉱を使ってみよう。

 シンダーホロウの灰であるシンダー・ライトという鉱石を念のため半分型に詰めてそのまま炉の中に入れる。

 …熔けないな。何でだ?うんともすんとも言わない。他の鉱石と混ぜて見るか?スキルが一切反応しない。何も思いつかない?どういうことだ一体。

 これ以上加熱しても仕方がないので炉から離して自然熱で冷ます。はぁ…無理だったか。じゃあ他の方法を模索せねば。

 しばらく倉庫で整理をしていると用事を終えた双子が扉をノックして顔をのぞかせた。どうやらこの場所にあるのが危ないと分かっているのだろうか。


「おん?どうしたお前ら。今は大丈夫だぞ入って来いよ」


というとおずおずと二人が入って来てそっと俺の横に立ち裾を引いた。


「「おにぃちゃんちょっとこっちに来て」」


双子がどこかに案内したがっているので素直について行くことにした。


双子に手を引かれて案内された先は家の裏手にある岩の隙間だった。

 裏手には墓地があり、そこには棺が一つ、確か魔物のコフィンミミックだったか?と堕とされた追放者の墓がある。名前は擦り切れていて読めないが。

 その墓地の奥に見たことがない道が続いていた。道と言っても岩肌から割れているだけなんだがな。


「これは?」


「うーん。神のおじさんがここに連れてきて言ったから連れて来たの!」


なるほど。そういう事か双子の頭を撫でながら小屋の中に入り武器を取ってくる。


「ありがとうな。教えてくれて」


と危ないから双子を小屋の中に留守番しておくように言って静かに岩の隙間に入っていったがどことなく空気が違うような気がし、何となくこのままじゃあ危ない気がしたのでとりあえずこの位にして行ったん家に帰った。


「「おにぃちゃんお帰りー!!」」


双子たちが走って来て抱き着いてきた。


「早かったね!どうしたの?!」


「いやな。ちょっとこのままだと死ぬ気がしたから一度戻って来たんだわ」


というと不安そうな表情をしていた双子がにぱっと笑い顔を見せた。


「「じゃあ今日はすることはないの?」」


「ああ、そうだな。久しぶりに休みにするか」


「「やったぁ!!じゃあおにぃちゃん!遊ぼうよ!」」


と今日の残りは双子と遊ぶことにした。なんというか休日のお父さんの気分がよくわかった。本当に子どもってパワフルだわ。 

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