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地下での生活と謎の双子

「せぇーの!そい!」


大剣を振り回してストライカーラビッツの首を切り落とす。この場所に落ちて体感的に早数日。体が慣れてきて素早い動きで縦横無尽に襲い掛かってくるウサギ共も簡単に倒せるようになった。

 

「よし!今日はこの位にして帰ろうかな。こいつの鉄肉球はどうしようかなー取り出すだけ取り出して備蓄にしておくか。肉はいつもと同じく刻んで薪代わり?いや。ペインバタフライの餌にするか」


歩きながらストライカーラビッツの肉を食べた時のことを思い出した。筋張っていて食いちぎれず、煮ても灰汁が出るばかりで出汁が全然出てこず、むしろ汗や血のような匂いが酷い。

だけどこいつの肉や血はペインバタフライにとって格好の餌になるらしい。それに畑の肥料にも使えるから結構無駄にならない。

 

『きぃきぃ~~~!!!!!』


あん?や、やばい!これは酔いどれバットじゃないか。気持ち悪い。二日酔いの時に無理やり酒を飲んだような感覚だ。アルハラか?

 

ベルトに挟んだナイフを酔っぱらいながら足元に思いっきり叩きつけるとナイフが地面からバウンドして酔いどれバットがいるであろう場所に向かって襲い掛かる。


『ぐぅぃぃぎぃぃぃいいい゛~~~ッ!!!!!』


と断末魔を上げてその場に沈んで落ちた。

 どうやら俺のナイフが翼膜を切り裂いたようでバランスを崩して空中でホバリングが出来なくなったみたいだ。

 そのまま近づいて首に一撃刃を這わせてそのまま仕留め、布を使い傷口を縛り付ける。

 此奴の血は結構珍しいから欲しかったんだ。きちんと処理すればお酒になるしな。翼膜も美味いって書いてあったし。さぁーて帰るか!


 ここに落ちて本当に慣れた。いつもと同じように獲物を狩り、素材を剥ぎ取り、飯を食べ、一生このままここにいても全く問題ないほど快適過ぎる。

 今日もいつもと変わらずに狩ってきた獲物を解体して、蝙蝠の血を桶に入れて、使いやすいように解体する。それから俺の武器のメンテナンスをする。

 武器の柄には液体が大量になみなみと注がれていた。この液体は天然の回復のポーションだ。これは俺でも使えるように完成されているものなため、改造できる。

 さて。そろそろいい感じに鉄も集まって来たので新しいブーツでも作ろうかなー。

 改造元はブーツをベースにするとして当然使いたいのはストライカーラビッツの鉄肉球と、何かの魔物の革ひもを使う。早速改造しよう!


1ブーツのアウトソールとヒールリフトの部分の留め具を外す。


2ストライカーラビッツの鉄肉球の半分とアウトソールの金属を炉に入れる。


3ある程度融けて柔らかく赤熱した鉄肉球とアウトソールを成形しなおす。


4アウトソールを作った余りをヒールにするので置いておく。


5ヒールリフトと鉄肉球を混ぜるとゴムのように柔らかくなったので水に一気に浸けて冷やす。


6アウトソールに熔けたヒールリフトを接着剤代わりに流し込みブーツにくっつける。


7さらにそこに魔物の革ひもを使い縫い付けて固定する。


8かかと部分はヒールリフト、アウトソールの順番でブーツにくっつける。


9履いてはブーツの靴底のバランスを少しずつ変えて調整する。


10仕上げに全体を磨いて接着部を熱して一気に冷やして完全にくっつけて  完成!!


よし!で―きた。早速外で試してみようかなーワクワクする。

 ……これって結構面白いな。地面を踏みしめるとその反動で物凄いジャンプが出来た。まぁ調整が出来ずに踏みすぎて壁に突っ込んじゃったけど……。

 まぁこれで素足で行動する心配はなくなった。安心安心!じゃあ明日はそうだな。ランプカルキノスって旨いって聞いたしあの提灯もトラップに使えそうだから狩ってみようかなー。

 まぁそんなことは明日考えるとして今日はもう寝るか!

 なんだかなぁ。この場所に馴染んだなー暮らせそうだ。もうここから出たいとなんて思えない。目的もないしなぁあんなふうに裏切られるのならここで一生を過ごすのも悪くないなぁ。お休みぃー。


「「きゃー!たーすーけーてー」」


ん?何だ?うるさいな…子供の叫び声が聞こえる。幻聴か?寂しいのかな、俺。


「「嫌ぁーー!だーれーかぁ」」


また聞こえた。しっかし幻聴が子供の叫び声だなんてなんて悪趣味な。むにゃむにゃ。何か目が冴えた。起きるかふあぁーあ。


「「し、死ぬぅー――!!!!」」


はぁ!?これ幻聴じゃない!誰か堕とされたのか?!しかも子供だと?!

 俺は自分が言うわけじゃないが、事なかれ主義だ。人助けなんて本当は面倒臭いが自分に降りかかる火の粉は払う位はするが、積極的に人助けなんてしない。だが近くに助けを求める子供が居たら助けることくらいはする。

 武器を肩に担いで出来立てのブーツを履いてさっさと子供が叫んだほうに向かって全力で走る。

 

「うぅぅぅ!もう!『ここには僕たちはいないよ!』」


「うぅぅぅ!もう!『あっち行ってよ!!』」


音を頼りに子供を捜索すると双子が抱き合って身を縮めて震えていた。その周りにはカボチャのような顔をした満天の星空のようなドレスを着た幽霊のような魔物が大量に双子を襲おうと囲んでいたが、結界のような膜に阻まれて手が出せなくなっているようだ。

 その魔物。確か本にはシンダーホロウって書いてあったな。シンダーホロウは双子の言葉で見失ったのか散り散りになって壁に吸い込まれていった。

 その数匹が俺のほうに向かってきたのは言うまでもない。この場にいる活きの良い獲物として見られているのだろう。

 確かこいつは身にまとうように漂う灰が物理魔法攻撃をすり抜けさせるという効果をもたらすらしいから灰がない場所を見つけないと不味いな。

 ナイフを手に持ち、ホロウ共の攻撃という名の突進を躱して全身をくまなく観察し、流れを読む。あった!ニンゲンで言う右足部分だ!

 俺はホロウの右足首の部分(まぁ幽霊だから脚はないが脚っぽい靄の部分)にナイフを突き立てて流れを断ち切る。


『かぁああーー==!』


と特有の響くような呻き声を上げて俺から離れ、壁をすり抜けて逃げて行った。その場には薄青のガラスのような灰がコップ一杯くらいの量が落ちていた。


「はぁ~、ったく何だったんだ?今の」


と悪態をつきながら俺のほうを見つめる双子に歩み寄る。


「よぉ。無事か?おまえら」


双子は俺の姿をしばらく見て安心したのか急に泣き出した。


「「うわぁ―――――ん」」


…参ったな。こういうの苦手なんだが。ってあれ?こいつら演技してないか?

 よくよく観察してみると双子の片方がちらちらこちらを覗いているのが気になった。はぁ、要するにフリか。


「おい。お前ら。とりあえずこっち来い。安全な場所に移動するぞ」


と泣きじゃくるふりをする双子を担いで俺の小屋に避難する。…なんだか犯罪者みたいな気分だ。あ、もちろんさっきの灰は回収したぞ。



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