墓場の秘密と絵本図鑑
ふぅーこの家、地下に温泉があるんだな。剥き出しの岩肌から延びるパイプが同じく岩を詰んで作った湯船に注がれている。あれかな?源泉かけ流しってやつかな。気持よかったー。安心したら腹減ったな。ここって誰もいなそうだから使わせてもらおう。
キッチンは結構大きいな。三口コンロにオーブン、何となく使い方が分かる?俺って設備とか改造しないと使えないはずなんだが、普通に使えるのが疑問だ。ってあれ?テーブルの上に紙が置いてある。手紙か。
『ここはキッチンだよ。ここは今住んでいる人に合わせてカスタマイズされているから誰でも使えるよ。というかここに入った瞬間にその人仕様に全体的に軽く作り替わる様になっているから。居心地はいいはずだよ。白い箱に入っている食材はいつまでも腐ることはないから好きに使ってくれ。調味料なんかも勝手に補充されるよ』
おぉ?マジかこれはいいな。野菜もパンも丁度食べごろの様子で肉も新鮮だ。何を作ろうかな。調味料の方はっと砂糖塩コショウに何だこの黒い液体は匂いが懐かしい気がする。
隣のこのツボは何だろう?茶色の土?けど匂いも懐かしい気がする?そしてお酢に油、床の箱に入っているのは木くず?これも大変懐かしい?乾いた海藻も懐かしい匂いがする。
白い横扉の箱を開けるとひやりとした冷気と共にそのままでも食べられそうな状態のいい肉の塊と魚鶏肉などと、白くて涙型のあ、これ鳥の卵か。
うーん。何を作ろうかな?まぁ簡単でいいか。と俺は豚肉と白菜、ネギにモヤシを取り出す。次に鍋に水を汲んで深緑の乾燥した海藻を浸けて弱火にかける。
その間に簡単に野菜を切る。豚肉は薄切りに、白菜はざく切りに、ネギは斜め切りにそれぞれする。。疲れが風呂で取れているおかげで体が動ける。ってことはさっきの温泉に何かの秘密でもあったのかな?
具材を入れてしばらく煮る間に手紙に付属していた冊子を手に取り読む。そこには詳しい設備内容が書いてあった。あれ?何でここに俺が改造った炉があるんだ?あれは確かあいつに奪われたはずなんだけど。
そんな疑問は直ぐに解決できた。冊子に答えが書いてあったのだ。
それによるとこのダンジョンは『追放者の墓場』で何らかの手段で侵入した人をスキャンして、その人の人生等に関係したものを持つ魔物が追加されるとのこと。そしてこの家はダンジョンの一部でそのスキャンの能力を一部持っていて、その人の記憶を頼りに記憶にある中で一番良い設備を周囲の魔力を吸収して用意するらしい。その代わり周囲の結界が弱まるってことらしい。結界?あ、この周辺の暖気かな?
あ、そろそろ鍋も出来たかもね。さぁてと早速食べよっと。
っプはぁ美味かったー水炊きはいいな。シンプルで。
さてとどうするか。とりあえず情報は大事だ。ここの書斎の本を見て見ることにした。
えーっと?「全裸で始めるサバイバル術1~27巻?めっちゃある。「髪の毛一つで変わる!非モテ女から逆ハーの女王へ」?何で教習本ばっかりなんだ?
こっちは【カリスマ美容師が語る、崖作業で役立つ髪の毛の編み方】?表紙イラストがすごいな。崖に生える樹を長い髪を編んだ筋骨隆々の女性が掴んで、その下では彼女の髪の毛を必死で掴む全身甲冑の人が数名。なんだこれ滅茶苦茶ホラーだわ。
そして【人質から犯人を捕らえる方法】。これは背中に腕を回された赤い頭巾を被った少女の踵には刃が付いていて、犯人を血走らせた目で睨んで不敵に笑っている。こっちもヤバいな。
【意地悪な継母からの刺客を撃退する七つの手法】こっちは棺桶で眠る少女の周りをとんがり帽子を被った悪人面の小人たちが縄や農具にドクロマークの付いたフラスコ等を持って少女を守る構図。
【解体から食事まで!絶品魔物愛妻料理】自分の身長より大きい大剣を背負ったフリフリエプロンを付けた女性がよだれを飛ばしながら魔物に走り込んでいっている。
さっきからすごく気になる本ばっかりある。うぉあ!こっちは家具の隙間に潜む山羊たちがナイフを持って家の中央にいる大男に襲い掛かろうとしている?気になる。
さっきから気になる本ばっかりあるが、そんな中でもようやく見つけた!【ゴブリンでもわかる!チェスの打ち方】違う!!【魔物大全~追放者の墓場~都度更新】これだよこれ!
後必要なのはっと。およ?こっちにあるのはここに堕とされた人たちが書き上げたレシピ集なのかな?書体が違う縦書きに横書き、巻物や石板?石板?!よく気付かなかったな。大きな石板にびっしりと文字が書いてあって読みにくい。
詳しく読むのは後にしてまず俺に襲い掛かって来た魔物について調べよう。
まず俺が泥酔したように体が崩れた時にいたバサバサ音は酔いどれバットと言うコウモリ型の魔物で血中を含め体液全てに高濃度のアルコールと悪酔いする成分が混じっており、羽ばたきと共に相手を泥酔させて力を出せなくする。泥酔の状態異常を治すためのポーションは生成するのが非常に困難であり、それを回復させるための魔法も習得するような人は珍しい。というわけでこいつは相当厄介な魔物だ。
因みにその酔いどれバットが生まれた時にいたのは赤ワインが大好きな人らしい。それで現実世界では赤ワイン専門のバーを経営していたらしい。コウモリの血に手を加えると完成度にもよるが上質なワインが出来上がるらしい。
それで次に群れで追ってきたウサギたちはストライカーラビッツという魔物らしい。金属の様に硬くい足裏を地面に打ち鳴らすことで仲間を呼んで増やし、集団で獲物に襲い掛かる。
その肉は筋肉質過ぎて食うやつはいないっとね。その蹴りは岩を砕くほどの威力がある。それでそいつの脚は兎鋼という特別な靭性に優れた鋼になるらしい。革の様な粘りと鋼鉄の硬さに瞬発性を兼ね備えた武器になる。
これを生み出した元の人間はパルクールを趣味にしていた人だったが、常にタップブーツを履いているという凄い変人なのだという事。この世界でこの場所に堕とされた理由は攻撃手段が脚での蹴りだったので、食肉を狩る時に足蹴にしているのから評判が悪くなって追放されたらしい。日記にそう書いてあった。
そんで提灯カニはあ、そのままなのかランプカルキノスっていうんだ。額の提灯で獲物を誘引して喰うらしく、提灯も外したとしても誘引の魔力は灯っているらしい。ってことは俺があのウサギに襲われたあ理由は提灯が悪いってわけか。
カルキノスの身は絶品で、煮る焼く揚げる干す生、炒めるなどなどをすることで味と食感が変わるっと。殻を軽く乾燥させて煮るとあっという間に絶品の出汁が取れるらしい。そして提灯の部分はバターのような脂が取れ、カニ味噌まで美味い。全部食べられるとのこと。いいねぇ旨そうだ!早速取りに行こうかな?と思っていたんだが、無理だわこれ。あのカニはあっという間に腐るらしいし、他の魔物に食われているかもな。
これを生み出した人は海鮮ラーメン専門店を作り、チェーン展開した店の店長だったみたいだ。屋台から始めたから提灯だったと書いてあるが、ラーメンってなんだ?




