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薬屋と粉専門店

 数日の間俺は必死に働いてそこそこの金を手に入れた。毎日毎日同じ魔物討伐と薬草採集の依頼を重ねては毛皮を受け取ってリュックの補修をしてといった生活をしていたんだが、一つ困ったことがあった。

 分かっていた事ではあったんだが、俺に対してはポーションがほとんど効果がないことだ。それを実際に目の当たりにした。

 今日は街の探索をしてその対策をしようと考えてる。

 

 うーんとりあえず薬屋に行って数種類のポーションと、粉屋に行ってみようかなー。あ、あれも必要だな薬研にすり鉢、後フラスコとかかな?あ、炭もいるかな?うーんそっちはもらえるか?

 兎に角街に行こう。荷物を取り敢えずある程度空けるために部屋の中に入れてっと。最初はこの部屋に荷物を置くのは、結構怖かったんだが流石にギルド系列の宿だからな信用第一という事なんだろう。防犯性能も高いらしい。

 

 宿、というか下宿先みたいな扱いの宿を出てすぐに流通街に出た。当然ギルドの提携の系列店だ。そう言えば粉屋は系列店舗何だろうか?ずっと行ったことがないからわからないがな。

 とりあえず薬屋に行って数種類のポーションと薬草袋みたいなものないかな?


「いらっしゃい」


・・・何このトカゲとか売ってそうな店構え。魔女の薬屋とかの方が合うんじゃないのか?この店って確か【ブラウニーの薬屋】じゃなかったっけ?イメージが違う。


「全くなんじゃ?人の店をジロジロと見つめて」


「あ、すまない。ついついな。名前と店構えが違うからな」


というと喉奥を鳴らすように低く笑った。


「確かにね。あたしの見た目はこんなに可愛くないさね。だけどギルド提携の場合こんな感じの名前にしないといけないっていう規則なんだよ」


・・・そう言えば確かギルドの紋章もちょっとおかしいな。生産部門はドワーフだし、流通部門は一見すると馬車と馬だけど、トラックに見えなくもない。そんでもって商業区域の店の紋章は三角帽子を付けた妖精だったな。ってことはこのギルドを立ち上げた人に地球出身がいるのでは?確定だな。


「そんなことより。どうしたんだい?一匹狼のポーターさん?」


そう、俺はここ数日で一匹狼のポーター《いっぴきおおかみの運び屋》なんて呼ばれてる。恐らくハイドウルフの大きなカバンを背負って多くの採集物を納品するし常にソロだからだろうな。


「いや。ちょっと考え事をしててな。それとポーションをくれ」


「はぁーん?あんたには効果がないんじゃなかったのかい?」


「まぁ、な。いいから頂戴」


「まぁいいさね。品質はどうする?」


「そうだな、在庫があるやつで」


「在庫は全部一定にあるよ」


「ああ、そうだな。赤の品質中を五本で」


「ああ、分かったよ」


といって使い捨ての籠にポーションを入れて持って来た。


「ありがとうな。それと薬研とかの製薬に使う道具をくれないか?」


「あん?あたしが昔使っていたものはあるけど、どうするんだい?ボロボロだよ?」


「ああ、それで大丈夫だ。新品を買うのは気が引けるからな」


「そうかい。あたしにとってもいいけど。じゃあ少し割り引いておいてやるよ」


といって製薬道具一式を貰った。


「いいのか?」


「ああ、もう何時捨てようかと迷ってたところでね。だからあんたが引き取ってくれて助かったよ」


「じゃあ有難くもらおう」


道具一式をリュックの大きなポケットの中に放り込んでいった。


「じゃあありがとうな、婆さん」


「あいよ。試したことが上手い事いったら教えてくれよ」


手を振ってから無言で店を出て行った。そう言えばこの国では魔法とかいうものを見たことがないなー。

 なんてことを考えていると街唯一の粉屋というよくわからない店を見つけた。相変わらず閑散としている、というかむしろ避けられてないか?


「ちょっとあんた!」


入ろうと足を進めたら後ろで屋台を開いているおばさんが声をかけて来た。


「何か用か?」


「そこの店に入るのはやめた方がいいよ!」


「どうしてだ?俺は興味があるから入ろうと思ったんだが?」


「そこの店は相当胡散臭いんだよ!それによくわからない粉まで売ってるなんて!どんな弊害があったか分かったもんじゃない!だからやめときな!」


うーんそれでも大丈夫な気がするんだよなぁー。


「ああ、だが見て見たいんだよな」


「はぁー。あたしは止めたからね!」


何だったんだ?今のおばさんは。まあいいか入ろうっと。


「うっ・・・」


中は埃っぽいというか粉っぽい感じがする。

 しっかし中は駄菓子屋みたいな感じの風貌だ。飴をたくさんいれる用のガラスの入れ物の中には粉があり、そこには【製菓用麦粉】と書かれてあった。製菓用?俺は鑑別ルーペを使い害がないことを確認する。

 そしてその並びには【パスタ麦粉】や、【麦粉】【トゥーロシ粉】などなどの粉が所狭しと並んでいた。コンタミの心配がありそうだ。

 ・・・さっきから見ない様にしてたんだけど、こっちって何?【肉粉】って。【魚粉】に?【スライム粉】なんじゃそりゃ。あ、こっちは面白そう?薬草粉コーナー?【エシタ粉】【レンティ粉】【ペッリラ粉】【ミト粉】etc.。効能も書いてない。これじゃ何に使うのかわからない、需要もないのも納得だ。


「・・・そう思うかね?」


うわぉ!びっくりした―店員居たんだ。


「あっはっは。すまんかったの、それより君は傭兵かね?」


「ああ、なり立てだが」


「その袋、もしかして一匹狼のポーターかい?」


「ああ、そう呼ばれてるが」


「そうかい。それより君ならこの粉たちの使い道が分かるのかね?」


「まぁ分かるが」


「それは珍しいそれなら一つ話をさせてくれないか」


「今日は時間があるからいいが」


と差し出された椅子に座るとゆっくりと話し出した。


「さて、もう一度聞くが君はこの粉たちの使い道が分かるのかい?」


「まぁ。だいたいは」


「君は料理人か何かなのかな?」


「知ってんだろ?ちげぇよ」


「それでこの粉たちの使用法をわかるなんてな」


はっはは…と乾いた笑い声をあげて皮肉った。何でだ?


「ここに店を構えるのを間違えたかな」


「そう言えば何でそんなに閑散としてるんだ?」


「ああ、市場調査を間違えたんだ。この街には需要が無いんだ」


ふむ?いまいち要領を得ないな。どういう事だ?

 …それはこいつが悪いな、話を要約するとこういう事か。


・この街の家では料理に粉を使う事はなく、野菜や肉を焼くくらいしかない。


・使うのは主に料理人や、パン屋、喫茶店など。


・しかしそういった人たちは卸売りの贔屓にしている店がある。


・この店は小売り専門だ


という事で需要が全くないという事らしい。


「いったいどうしたらいいんだ」


と悲し気な声を上げて粉にまみれた頬を伝って白い水滴が流れた。


「正直俺にそんなことを言われても知らないが、そうだな。俺がこの街にいる間は時々立ち寄ってやる。」


正直俺にはそれしかできないんだよな。


「まぁ。傭兵にそこまで期待するのもな」


「だが、気が向いたらここの商品を使ったものを広めるくらいはしておこう」


「ああ!それは助かるな」


「じゃあいくつか商品を見させてもらう」


うーんだけどどうしよう。とりあえず一通り買ってみるか?量り売りだからなここは。


「じゃあ三種類の麦粉を中瓶一つずつで、スライム粉を小瓶で、一応肉粉と魚粉を極小瓶で。それとーあ、エシタ粉とミト粉も小瓶で頂戴」


「おう。そんなにたくさん買うてくれるんかい。ありがとうよ。ちょいと御待ちな」


といって曲がった腰を押さえながら瓶の中に次々に粉を入れていった。なるほど、粉っぽい原因はこれか。

 だってさっきから見ていたんだが、下の方に蛇口みたいに向いた穴からドボドボと粉が出て行ってるんだが、それが落ちるたびに宙に舞っているし、何なら少し零れてる。


「はいよ。これで全部だよ」


お爺さんがワゴンを引いて俺が注文した瓶を持ってきてくれた。瓶にはそれぞれの名前が書かれてあり、よく見ると魚粉は若干青みがかっており、肉粉はサーモン色というか赤色がかっている。


「注文しておいてなんだが、肉粉とか魚粉とか何に使うんだ?」


「?面白いじゃないか」


といっていたずら小僧みたいな笑みを浮かべた。そ、そうっすか。(;'∀')


「じゃあ早速かえって試してみますよ」


「ああ、瓶は後で返しとくれ。もし次必要になったのなら瓶の分だけ割り引いてあげるから」


金を置いて帰ろうとしたときにその話をしてくれた。ちなみに値段は全部で47310バーチだった。結構高い。さっそく食材を買って試してみよっと。確か俺の部屋に簡易のキッチンがあった気がする。あそこって使ってよかったよな。

コンタミというのは簡単に言うと粉Aに粉Bが意図せずに混ざるという事です。例としては砂糖の中に小麦粉が入ってしまった。みたいな?食品工場だと絶対に耳に入ってくる言葉です。アレルゲンの問題がありますのでね。


粉屋の値段設定は「瓶のサイズ×粉の値段」で計算します。ちなみに瓶の金額は一律100バーチです。

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