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報酬と下宿先

「あ、クロス様少々お待ちください」


その場を離れようとする俺を事務的に呼び止めてきた。何だろうか?


「何?俺早く宿とりに行きたいんだけど」


「あ、それはこちら側の都合で待っていただきますので、当然こちらでギルド提携の部屋を取っておきます」


「じゃあちょっと創作が出来るような部屋を借りれないか?」


「…創作ですか・・・設備のある場所ですとそこそこ値が張りますよ?」


「ああ、道具はこっちで持ってるから場所だけでいいぞ」


「そうですか・・・あ、それでしたらございます。宿代は一日半月銀貨一枚です」


「それって食事込み?」


「そうですね。食事朝夕付きの個室です」


「うーん。そうかーまぁいいか一日くらいなら。それで頼む」


「はい。わかりました。では手配しますのでその間にこちらへ」


案内された場所はこげ茶色のソファーが二対と広めのテーブルが置いてある、無骨な部屋だった。

 俺の向かいにはさっきの受付より上司っぽい貫禄の女性、つまりお局様だった。まぁその物言いは結構失礼だけどね。

 

「初めまして。ここからは私、ツェリアが対応いたします」


あ、はい。わかりました。


「まずあなたがこの場所に案内された理由は想像できますか?」


まぁなんとなくわかるが。首を縦に振ると。


「おそらく想像通りかと思うのですが、まずあなたの採集した素材の種類及び数に品質が高いためです」


「?どういう事ですか?品質は採れたて何ですから当たり前では?数に関しては群生地をたまたま見つけまして」


「そうですか。実はですね、この辺りの草原に生えている薬草は基本的にあまり採れないんですよ。特に始めての依頼で旅人がこんなに採集することはあまりないのです」


「二目にこちらですね。採集した薬草の中に雑草と呼ばれる類の草が無かったのですよ。こちらはまずありえないと言えます」


?どういうことだ?


「説明します。まずこちらの薬草はポーションに使われるペッリラ草と申します。そしてこちらが毒草であるリッペラ草です違いは分かりますか?」


……分からない。


「こちら二つはこのギザ付いた部分の向きで判別します。そのため素人ではまず混ざることが殆どです。ちなみにリッペラ草の薬効は腹下しです」


「こちらはプロでも少しは混ざりますが、貴方が採集した100枚のうちすべてがペッリラ草でした」


うえ?!マジで?


「そして次に種類ですが、まずあなたが採集したキノコは珍しくはありませんが、養殖物で、この様な天然物のキノコは珍しいのです」


「このキノコはレンティ茸と申しまして。薬の薬効を高める効果があります」


あ、それちょっと欲しいかも。


「それがあんなに大量にあるのは滅多にないのでできればどちらで手に入れたのかお教え願えますか?」


うーん正直話したくない。けど話さないと面倒そうだ。


「地図はあるか?この辺の物だけでいい」


俺は地図の一部を指さして場所を示した。


「なるほどこちらですか。わかりました。では確認次第、情報報酬をお渡しします」


情報報酬?何だろうそれ?まあいいか。名前通りだろう。続きを聞こうかな?


「そして次にこちらは一つ伺いたいのですが、貴方は一人で狩りをしたのですか?」


「ああ、生憎と俺にはつるむ相手がないもんでな」


どうして憐れむような眼を向けてくるんだ?


「それは…失礼しました」


「それはいいんだが、どうしてそんなことを?」


「いえ、貴方の狩りの成果がソロの傭兵ではありえない程の量と出来のよさでしたので」


「いやぁーそれ程でも」


照れるぜ。ムフフ。


「そのままでも構いませんが、年上として一つご注意を。巣を出て天を仰ぎ見ようとすると危険ですよ」


「?はい。わかりました」


そこから他愛のない話をしていると扉がノックされて制服を着た身なりのいい男性が入って来た。


「あ、そろそろ査定終わりましたね。ではこちらが今回の報酬です」


入って来た男性が持って来た袋をテーブルに置いてきたので受け取り中を確認すると割と入っていた。


「そしてこちらが報酬の内訳です」


ようするの領収書ですね。わかります。何々?


『ウルフの討伐証明   一体辺り 40バーチ×4

 ウルフの皮、          30バーチ×4

 ウルフの犬歯          70バーチ×8

 ウルフの草爪          20バーチ×16 

 ハイドウルフの討伐証明     100バーチ 

 ハイドウルフの隠皮       300バーチ

 ハイドウルフの擬似牙      700バーチ

 ハイドウルフの健爪       200バーチ

 ゴブリンの討伐証明  一体辺り 70バーチ×7

 小計2950円

 薬草

 ペッリラ草     一本 5バーチ×100

 リッペラ草     一本 5バーチ×35

 レンティ茸     一本 170バーチ×173

 エシタ草      一本 77バーチ×74

  

     合計38833バーチ                     』



受け取ったお盆の中を見て見ると半月銅貨三枚、銅貨三枚、半月銀貨8枚、銀貨8枚、半月金貨三枚とかなり多く見えた。


「…多くないか?」


「いえ。こちらは妥当な金額です。ごく一般的な傭兵や狩人たちが四人で組んだ場合の平均ですがね」


「ちなみにその場合は報酬を人数割りする場合が基本ですがね」


・・・つまり一般的な傭兵の日給はおおよそ一万弱ってわけか。少ないな。


 俺は金を自前の袋の中に入れると席を立ち、軽く会釈をしてその場を去り、受付に向かうといい具合に宿の場所が書かれた地図と共に手紙が書かれたものが渡された。

 

「すでに話は渡っているのでこちらへ行ってください」


なるほど。よし!行くか。


・・・やっと着いた!いやなにこれ?マジで?まさか宿の入り口が地下にあるとか知らないって! 

 だけどこれならいくら鍛冶しても大丈夫そうだねー。あ、宿代は結構安いな。一泊500バーチか。あの給料としたら結構安いな。もしかしたらご飯がないからかな?

 

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