表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
15/44

ギルド入会試験と弱牙の進化

 さて、今日は総合ギルド加入の試験当日だ。一応俺はこの世界の文字が書けるので、筆記試験は問題ないと思うんだが、大丈夫だろうか?


「問題ないと思うよ?」


「問題ないと思いますよ?」


「落ち着けば大丈夫なんじゃないですかね?」


「……どうしているんだ?三人共」


いや本当に、どうしてエピプにトーリュオ衛兵長にマキが居るんだ?


「楽しそうだから?」


「あなたの実力が気になって付いてきました」


「仕事です。またこの人に連れてこられました」


あ、そう。


「そんなことより早速行こうよ!時間は有限だ」


エピプ、お前が言うな。俺は丘の上の総合ギルドの門を潜った。

 ギルドに入ってから真っ先に思った感想なんだが、ギルド設立した奴絶対に日本人だろ?だってこれ全員が仲良く並んでいるし、座敷あるし、子供を遊ばせるような場所まであるなんて絶対日本人だろ。


「はぁー相変わらず皆さん礼儀正しいですよね」


「うんうん。まるで国王軍のような礼儀正しさだよ。うちの連中に見習わせたいよ」


「トーリュオくんそんなこと言って君が弱気だから部下に舐められるんだよ?だから犯罪者がなくならないんだよ」


「それは申し訳ない。自分もなんとかしようとは思っているんだけどね。なかなか思うようにはいかないんだよね。なぜか新しい衛兵は素行不良の人たちが常に配属されるし」


それ、いじめられてないか?何したんだ?


「あのー何か御用でしょうか?クエストの発行ならこちらですが」


近くにいた受付が話しかけてくれた。忘れてたな。


「悪い。スティンク・デボラさんから今日来るように言われたんだが」


というと怪訝な表情をしてこちらをごみを見るような視線を向けた。


「部門長に、ですか……少々お待ちください」


と言って部屋の奥に消えていった。

 それからしばらくしてスティンクが総合案内の受付嬢に連れられてやって来た。


「なんだ。約束?そんなもんしてない、ぞ?あ。お前か」


スティンクは面倒臭そうに頭をガシガシと掻いて歩いてきた。


「おお!待ってたぞこっちだこっち!」


ついて行った場所は他の傭兵の人たちが思い思いの武器を手にして組み手をしていた。


「ここは俺たち傭兵部門専用の修練場だ。ついでにいろいろな講習会や訓練などもしている。おーい!レックスいるかー!」


「へーい何っすかー部門長ー」


ひょこひょこと歩いてきたのは何だこれ?頭にホットドッグみたいなリーゼントが乗ってるヤンキーが釘バッド、いや木剣を肩に乗せて歩いてきた。


「お?何っすか?このヒョロヒョロのガキは新しい運び屋候補っすか?」


「違う。今日総合ギルドの試験を受けるやつだ。話を聞いてなかったのか?」


「あー何かそんなこと言ってたっすねー此奴っすか」


無遠慮にこちらをじろじろと舐めるように見つめて来た。このリーゼントすげぇな、リアルで見たの初めてだ。添え木でもしてるのかな?


「あん?お前俺様のこのイかした髪型が分かるのか?」


「ああ、知ってるぞ?リーゼントってやつだろ?そいつって中に何が入ってるんだ?」


「お?この斬新でイかした髪型リーゼントっていうのか?いいなその響き。リーゼントか」


何だか考え込んで悦に浸ってる。何だこいつ?


「おい、レックス。目を覚ませこっちの用事を済ませてくれないか?」


「リーゼント、ムフフ…。あん?なんだ?スティンク部門長」


「はぁ。お前にこいつの実力を見てもらいたいんだ。試験官をしてるお前なら余裕だろ?」


「ああ、そうだな取り敢えずお前の得物を見せてくれ」


弱牙を見せて見るとまじまじと見つめてニヤリと笑う。期待の表情だ。


「良いぜ。部門長その代わりにこいつの武器は木剣じゃなくてこいつを使わせてやってくれ」


「そいつは構わんが、お前はどうするんだ?」


いやいいのかよ。


「俺はそうだな、じゃあこいつを使うぜ」


取り出したのは鉄パイプだ。絶妙に似合うな。


「それってお前の喧嘩道具の非殺傷武器じゃねぇか。殺しはしねぇけど相手が一か月は再起不能になるやつだろ?」


「ああ、こいつにはこれを使う価値があると見た」


「お前がそういうならいいが」


「おうよろしくな!あ、お前の得物がもし刃を持ってても大丈夫だからよ。止めるなよ?」


「ああ、分かったよろしく頼む。マキ。俺の荷物預かってて貰えるか?盗まれたくないしな」


「は、はいわかりました」


マキにリュックを預けて鉄パイプを担ぐレックスについて行くとモーセの様に訓練していた人たちが退いていき、あっという間に静かになった。


「お前結構信頼されてるんだな」


「いや、あれは信頼というかー」


うん?スティンクが苦笑いを浮かべ、周囲の傭兵たちが避難完了とばかりにため息をついた。あ、察した。こいつもしかして戦うと周りが見えなくなって周囲に被害が及ぶタイプか?


「何を想像しているのか何となくわかるが、その想像間違ってないぞ」


やっぱりか。そんなんで試験官大丈夫か?


「だがアイツはあれでも人を見る目があるから安心しろ。まぁ武器が潰れなくて助かったぞ」


不穏な言葉が聞こえたけど聞こえないふりをしよっと。

 俺は修練場の中心辺りでレックスに向き直り、説明を求めようとしたら剣を構えたのでそれですべてを察し、俺は武器を構えた。


「はぁ、自由だな相変わらず。じゃあ俺が審判を始めよう」


と俺とレックスの間に立ち、開始の合図をしてから大急ぎでその場を離れた。


「行くぜ!」


 レックスは犬歯を剥き出しにしてどう猛な表情をして、走りパイプを振り下ろしてくる。それを弱牙で受け止め、地面に受け流す。ピシッ。

 軽くバランスを崩したところで脇腹に回し蹴りをするが、跳んで躱してきた。


「くっは!面白れぇな!さすが旅人だ!!」


空中で回転した勢いで体勢を立て直してレックスは真横にパイプを振るう。刃を反対に返して中腹で受け止め、せり合う。ピキッ!!


俺は力を拮抗させてからさらに押し込もうとしたのを見計らい、しゃがんで足払いをかます。これくらい当然避けられると思っていたんだが、当たった。

 反動で立ち上がり、すれ違う時に背中を押して更にバランスを崩させようとしたが流石はプロだ、体幹がしっかりしてる。

 そこから数回剣とパイプを打ち付け合い、少しすると、しびれを切らしたであろうレックスが。


「じゃあここから強くいくぞ?」


といって両手でパイプを握るとパイプに違和感があった。そのまま振って来たので前と同じように剣で受け止めると、さっきまでとは段違いの威力があった。


「ッツ!グギギグ!!!」


歯を食いしばると打ち合っていたせいで罅だらけだった弱牙がパリン!と甲高い音を立てて殻が破ける様に弾けた。

 俺は腹に蹴りを入れて怯んだ隙にバク転をして顎に蹴りを入れなおして距離をとり、武器を見るとそこには変わり果てた姿の弱牙があった。

 薄緑色だった弱牙の刃は深い緑色に銀色の刀身で、刃の部分は打製石器のナイフみたいな形状になっている。そんな感じの粗暴さがかっこいいと感じる。


流石にこいつは使うわけにはいかないと思っていると、レックスが冷や汗をかいて呆然とこちらを眺めていた。ボクコワクナイヨー。


「お、お前その武器は何だ!そんなもん振り回すなよ?降参だ!試験は合格だ!」


あれ?どうして慌てるんだ?と思いマキの方をみると全員の顔が青ざめていたり、興味津々にこちらを凝視してる。何でだ?


「おーいどうしてみんなそんな反応をしてるんだ?」


水を打ったような静かさだったのが俺の言葉で止まっていた時が動き出したのか、途端にざわつき始めた。

 耳を澄ませてみると「レックスさんが負けた?嘘だろ?」や、「それより武器の形状が変わった?」などそんな感じの言葉が流れていたがひとまずそれを無視することに決め、荷物を預けていたマキの元に歩いて行く。荷物を取りに行くのと同時に試験結果とこうなった原因と思しき武器の性能を聞きに。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ