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設備完成と街の案内

「なぁ。何をしているんだ?俺の許可もなしに俺の道具を使うなんて」


と底冷えするような声を自分が出せるとは思わなかった。


「申し訳ありません!只こいつらが突然打ちたいと申してまして!」


と言っていつその手には鎚がしっかりと握られていた。もしかしたらこの結果如何では商売になるかもと考えていたことがある。


「・・・一つ聞きたいんだが、そいつの腕は確かなのか?」


「はい!リュース商会お抱えの自慢の職人です!品質は保証いたします」


そかそか、それなら。


「じゃあいいぞ。ただし、手を抜くことは許さんぞ。本気で一本打ってくれ」


と言うと嬉々とした表情をした職人が鎚を握りなおして鉄を炉の中に入れ始めた。

 それから小一時間ほどして一本の鉄の剣が出来上がった。職人たちと俺、それとツー・ハンはおおおおーと感嘆の声を漏らして見惚れていた。


「これは、、、珠玉の一本だ。今までで最高の出来だ。もしかしてこの炉のおかげか?」


 とポツリポツリと呟き始める職人たち、次々に目が変わり、お互いに何か相談を始めた。っとそう言えばいつの間にかいたマキが横にいた。


「マキ!いつの間に?!」


「え?ずっといましたよ?それよりその剣凄い良品ですねへぇー【鉄の剣+1】?ですか。何だろう+1って」


と言って更に鉄剣を凝視すると、とたんに目を剥き、自分の胸元を探り小さなメモ帳に何かを書きだした。


「不躾ですみません。こちらが先程の鉄剣の鑑定結果です。そしてこちらが普通の鉄剣です」


【鉄の剣】


 ただの鉄の剣。量産を目途に入れているため、骨を数回断つと刃が欠けてしまう。血糊や膏で錆びる。


【鉄の剣+1】


上等な鉄の剣。量産を目途に入れていない剣。骨を十数回ほど断ち切ることができる。血糊や膏で錆びる。



「・・・ツー・ハンさん。聞いてもいいか?」


「はいなんでしょう」


「こんな感じの剣って簡単に打てるものなのか?」


「・・・いえ。これ程の剣はなかなか打てないかと」


そうだよな。ってことは何だか嫌な予感がする。あああー職人たちが近づいてきた~。


「なぁあんた、金を払うから俺の鍛冶設備をあんなふうに改造してくれないか!」


と頼み込んできた。


「そんなこと言われてもなぁ。あんたらは俺の加工の工程を見ていたんなら作れないか?素材はわかるだろ?」


と言うとお互いに素材の件について相談し始めた。


「クロス殿、うちの者が失礼をしました、このお詫びは」


「いやいい。あのな。こんな若造が言うのは何だが、そんなに簡単に詫びがーとか言っていると今後が大変だぞ?」


「それに俺は別に気にしてないぞ。ただ、自分のものを勝手に使われるのがムカついただけだ。あんたも置いてた自分の馬車が勝手に弄られたら怒るだろ?そんな感じだ」


と言うと顎に手を当てて納得した。


「なるほどそれはそうですね」


「そう言えばこいつって収納できないのか?どうやって持ち運ぶのかわからないんだが?」


俺は持ち運びができる様にって言っていたはずなんだが。


「はい。それではご説明いたします。おい!お前ら」


というとそれまで何かを相談していた職人たちはツー・ハンの声に頷いて俺の鍛冶セットに近づいてあっと言う間にパタパタと畳み始めて大きめの段ボール箱サイズまで縮小した。


「っとこの様に小さく畳むことができるという我が商会期待の逸品です。念のため展開できるかどうか試していただけますか?」


 というので試してみた。上蓋を開けてそのまま地面に降ろし、外箱を展開し終えると自動的に広がってさっきの鍛冶セットが姿を現した。


「ふむ。どうやらできる様ですな、では次に畳んでみてください」


えっと確か畳む方法はっとガチャガチャと動かしてあっと言う間に畳み終えた。


「よしこれなら使えそうですな。ありがとうございます」


あ、だけどこれってどうやって持ち運ぼうかな。


「ツー・ハンちょっとお願いがあるんだが、ちょっとここ使わせてもらえないか?思いついたことがあってな」


と言うと一瞬呆けた表情をしてからニヤリと口角を上げて許可を出してくれた。

 俺はリュックの中を全て出してから糸外しを使って蓋つきのポケット部分を外していく。


 次にポケットの二重布を分けてからセーブスクワルの頬袋を出してさっきの鍛冶設備を展開後、ハンマーで叩いて広げる。


 そして広げた袋の底をポケットの布地の隙間に滑り込ませて覆い、毛皮同士をミスリルカイコの糸で縫い合わせて袋に変える。

 

 その後、余った革を蓋代わりに延ばして先程外したボタンを使って蓋をする。試しに出来上がったポケットの中に明らかに入らないテントの骨を入れると何の抵抗もなくするすると入っていった。


「・・・そう言えばツー・ハンさん、セーブスクワルの頬袋ってどの位入るんだ?」


気になっていたんだがどうなんだろうか?


「そうですねぇ。大体十倍ほど入るかと、しかし、マキ様が居られるのでしたら見て頂いては?」


あ、そう言えばそれがあった。


「マキ、頼めるか?」


「はい。大丈夫ですよ。えっと?」


とさらさらと紙に鑑定結果を書いて手渡してくれた。はい?( ゜д゜)


【異邦人の旅袋スクワルカスタム】


異界の技術で作られたリュック。それにセーブスクワルの頬袋を使い内部を拡張したもの。容量は元来の倍はある。セーブスクワルのの能力で食材の劣化が抑えられる。更に負荷も軽減されている。



・・・俺が改造したのは一か所だけで、袋も十か所あるからっと。うんヤバいものを作ってしまったな。見なかったことにしよう。無言で収納しておこう。


「・・・マキ。」


「はい。何でしょうか」


「今書いたことは他言無用でな」


「・・・わかってますよ」


辛うじてツー・ハンに見られなかったのが幸いだ。と俺は一番大きなポケットを放置してそれ以外のリュックに頬袋を付けた。その結果容量が大変なことになった。

 当然さっき貰った鍛冶設備も収納出来た。さて、これ以上ここにいるのも悪いから帰ろうっと。


「ツー・ハン・リュートさんありがとうございました。では俺はここで失礼しますね」


と言って礼をしてからマキと共にリュート商会の本店から出て行き、残りは部屋で作業をするためにこの街を案内してもらおうっと。


「じゃあマキ、案内頼めるか?」


「はい!じゃあ早速案内を始めましょうか!どこか希望はありますか?」


そうだなぁ。どうせここで少し生活の準備や下準備等を終えたら旅に出発するつもりだしなぁ。目指せ国外脱出!ってことで。


「まずは美味い飯屋と肉屋とかか?武器屋も寄りたいなぁ」


だってお昼過ぎているし。さすがに腹減った。


「クスッわかりました。じゃあまずは行きつけの食堂に案内しますね」


先を歩くマキについて行った。

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