『暗殺未遂』
ある夜、マックスは与えられた団長専用の部屋で剣を研いでいた。
鎧を脱ぎ鉄鋼兵団長の面を脱げる唯一の場所となっていた。
研いだ剣を眺めていると、光が映った。
見た事のある形。
小刀が後ろで振り下ろされるところだった。
「うおっ!」
横に跳ね飛び、ギリギリ躱せた。
こいつ……以前戦った……確か、黒い盗賊団のボスと同じ服装、同じ小刀。
(暗殺者か?!)
マックスの目を狙った横斬り。
今度もギリギリ躱すが、余裕があった。
が、手には小刀が無かった。
暗殺者は小刀を持ち替えていた。
逆手に斬り上げる。
しかし、鎧を脱いだマックスは身軽だった。
上に飛び上がり天井に着地。
武器の重さを利用して鉄剣を振り下ろした。
これも相手は見事なもので身軽に後ろに躱された。
マックスは天井や壁を利用しながら素早く剣を振り回す。
暗殺者も皮一枚で避ける。
その内の一撃。
暗殺者はマックスの一撃を受けてしまった。
小刀は根元からへし折れ、胸を深く抉った。
(取った!)
そのまま、鉄剣に力を込め、血泡を吹いて暗殺者は絶命した。
「はぁはぁ」
マックスはそのまま口の中を確認する。
舌が半ばから切れていた。
「誰か?!誰かいないか?!」
しばらくすると、アインが駆け付けて来る。
「どうした……うおっ!なんだこいつ?」
「わからん、黒の盗賊団のボスに似てるが」
他の者もぞろぞろ駆け付け、このままではと、使用人が部屋を掃除しに来る。
「使用人、こいつに見覚えは?」
「ありません。ですが、ある程度地位のある人が暗殺される事は以前にもありました」
「こいつ、舌がないぜ?うげー、自分で切ったのかな?」
「さあな。気配の消し方はプロだった」
「鉄鋼兵団長の存在が邪魔なやつがいるみたいだね」
「皆は無事か?」
「20人全員無事です!」
「毎晩来られたら堪らねぇ……なんか証拠はないか?」
懐をごそごそ漁っても
「あるわけないか」
折れた小刀しか持ち物はない。
「おい、お前ら、俺たちで交代で団長守るぞ!」
鉄鋼兵団は随分逞しくなった。




