『親父』
時は遡り……
「おい、マックス!初陣だ!しっかり稼げよ!」
マックスは12で初陣を経験した。
鉄製のメットに胸当てを付け、鉄剣が握られていた。
「行くぞ!」
「う、うおおおおお!!」
大人に混じっての戦。親父は鍛冶屋兼傭兵だった。
マックスは英才教育で既に基本は出来ていた。
「オラァ!!マックス!腰が引けてんぞ!!」
「うるせーぞ!ジジイ!」
12のマックスに石や堅木の鎧を裂く力はなく、露出している腕や足、首の血管を狙い剣を振る。
「ガハハハ!さすが俺の息子だ!どりゃあ!!」
マックスを鼓舞しながら、親父も鉄槌を振るう。
◇
「初陣で2人か、まあまあだな」
デカイ手でマックスを撫でる
「はぁはぁ……!へっ!」
「戦の後は酒だ。飲め」
「うえー!俺はまだこんなの飲めねぇよ!」
「なんだ、だらしがねぇな!」
「子供にこんなの飲ませんな!」
「生意気なガキだ!」
「うるせー、声がデケェんだよ」
マックスと親父は口は悪かったが、仲のいい親子となっていた。
◇
「鉄を打つ時は魂を込めるんだよ」
「こうか?」
見よう見まねで鉄を打つ
「なんだ、そんなヘナチョコじゃ鉄は強くならねぇぞ!」
「こうかよ?!ジジイ!」
思いっ切り叩きつけると親父は褒めた。
「マシになったじゃねぇか!」
◇
そんな毎日を送り数年経つ頃には、
「ちっ!囲まれたか!マックス!背中合わせだ!」
「おう!!」
背中を任せあえるようになっていた。
戦っては武器を鍛え、戦っては防具を鍛えの繰り返し
だが、それはマックスの性に合っていた。
マックスが成人した頃、今度は酒にも付き合うようになった。
「これでようやく1人前だな!」
この時認められたのがたまらなく嬉しかった。
親父にだんだん認められていった頃
「いつまでも親のスネに齧り付いてんじゃねぇ!!」
とある日突然言われた。
「うるせぇな、ジジイなしでも1人でもやっていけらぁ!」
この頃には別々の戦地に行くことが増えていった。
ある日、戦帰りに担架で運ばれ集中治療用の天幕へ運ばれる親父をたまたま見かけた。
「ジジイ!」
マックスは荷物を投げ捨て天幕へ入った。
「ジジイ!ジジイ!」
「あ、こら」
「いや、いさせてやれ」
親父は矢や槍傷や切り傷だらけの重傷、いや、致命傷だった。
「おい!お前ら!何やってんだよ!早く治療しろ!」
マックスはヒーラーの胸ぐらを掴んだ。
「……マックス……」
「ジジイ!しっかりしろよ!こんなのすぐ治るからな!」
マックスは親父の手を握った。
「やかましくて……寝てらんねぇよ」
「おい!寝るんじゃねぇ!起きてろ!」
親父はデカイ手でマックスを撫でた。
「でっかくなったなぁ……チビスケ」
親父はそのまま静かに目を閉じた。
「ジジイ!ジジイ!目を開けろよ!」
マックスは人目もはばからず泣いていた。
「目を開けろよ……」
祈るように手を握り、
「……父さん」
◇
「……マックスさん?」
「あ?」
鉄槌を眺めると親父との思い出がよみがえり、涙を流していた。
「……大事な家族だったんですね」
「……ああ」
涙を拭くと
「お前の酒、飲みたいって生き返りそうだな。親父、酒好きだったからよ」
「……お酒、運んで来ますね」
ミルなりの気遣いだろう。
マックスは親父の部屋に座り込むとコップ2つに酒を注いだ。
「……乾杯」




