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鉄と魔法  作者: コアラ
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『魂の一撃』

魔王軍は不自然に積み上げられた目の前の死体の山にまず驚いた。

「なんだこれは!?」

「やつらが積み上げたのか?!」

先日の傭兵部隊の執念を見ていた魔王軍はたじろいだ。

「怯むな!突撃ー!!」

「横の森から奇襲です!」

「弓兵隊!当てずっぽうでいい!とにかく森に弓を放て!」


王国軍の傭兵部隊は先日の生き残り。つまり死兵と化していた。

「おめぇら全員皆殺しだぁ!!」

傭兵部隊は襲っては身を隠し襲っては身を隠す、厄介な獣と化していた。

「鉄の旦那。俺らが必ず隙を作ります。あとは頼みましたよ!」

魔王軍から悲鳴と怒号が飛び交い混沌としていた。

大盾部隊は死体の山を押しのけようとするが、その隙をつかれ、ひとりひとり傭兵部隊の餌食になる。


アインは防波堤の様子を見守りながら号令の準備をしていた。

死体の山が少しずつ動いているが、まだ突破されない。

(頼むぞ、傭兵部隊。マックス)

泥試合に持ち込めると思ったが、突如目の前に竜巻が現れた。

死体の山もろとも味方である魔王軍の大盾部隊を巻き込み宙に舞う。

竜巻の威力は凄まじく、あたりに血と臓物の雨が降った。

アインはここぞとばかりに声を張り上げた。

「放てー!!!」

爆裂魔法と火炎魔法が激しくぶつかり合い、前衛のバランスを崩した魔王軍の大盾部隊は粉々に吹き飛んだ。


前衛は粉砕した。

まさか、第一波で風魔法使いが来るとは思わなかったが、逆にチャンスでもあった。

「弓兵隊用意!」

アインの号令と共に一糸乱れぬ動きで弓を構え

「放てー!!!」

大盾部隊を失った魔王軍後衛は次々と矢に射抜かれた。


しかし、風魔法使いだけは暴風で矢を逸らし、近くの王国軍の傭兵たちへ向かうよう操作した。

その中で、先程マックスに話しかけた1人の傭兵が風魔法使いに石斧で斬りかかった。

風魔法使いは傭兵に向き直ると手をかざし、真空の刃で傭兵の胴体を真っ二つに切り裂いた。

「……!鉄の旦那ァ!!」

そう叫んだ後ろからマックスは雄叫びを上げて、風魔法使いに斬りかかった。


この鉄の鎧は風の刃は効かない。

(取った!!)

「くたばれぇ!!」

マックスは大きく振りかぶって、風魔法使いに鉄剣を振り下ろした。


――だが、突如目の前で竜巻が巻き起こり、風圧で遥か上空に吹き飛ばされた。

アインは絶望した、あの高さでは助からないと

「マックス!くそっ!放てー!」

苦し紛れの爆裂魔法や石の矢はすべて暴風の盾によって防がれた。

(これまでか!)

この災害級の魔法使い1人いれば今の部隊は紙切れ同然だった。


マックスは遥か上空。

何とか体勢を整えたが、この高さ、20メートルはあるだろうか、

下は森。

風魔法使いから少し離れている。

木の枝がクッションになればいいが、最悪を想定した。

その時。

マックスの背後から突風が吹いた。

まるで、風魔法使いに吸い寄せられるかのように


風魔法使いによって真っ二つにされた傭兵の魔法だった。

「……風は……お前だけの、専売特許じゃ……ないぜ……」

血を吐きながら腕をかざし、マックスを操作していた。

「……行け、鉄の旦那……」


マックスは雄叫びを上げたかったが、気づかれぬよう息を殺した。

ナマクラになった鉄剣の攻撃手段は叩きつけるのではなく落下を利用した突きだった。

物凄い風切り音を立て風魔法使いに狙いを定めた。


風魔法使いが気づき風の刃で切り裂こうとするが、魔法を弾く呪いの鉱物、鉄の前では効果がなかった。

この瞬間の判断が命取りとなった。


マックスの脳裏に親父の言葉が思い浮かぶ。

――鉄ってのはな、魂乗っけて打つんだよ


「うおおおおお!!!」


ズドンッ!!


マックスは全ての魂を乗せた全力の突きで風魔法使いを貫いた。

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