冒険者ー27
気付いた誤字を訂正しています。
前回予告と少し違い、今回はフーの王都での物語になります。
フィスの冒険者登録も一緒にすると文字数が多くなると言う、私の事情です。
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それではお楽しみください
一瞬で朝が来た。
今朝もメイが起きるタイミングで目が覚め、俺は慎重にベッドから抜け出た。
厨房に来ると、俺の後を追うようにしてキーンとフィスが来た。
「おはよう、今朝は何を作ろうか」
「私はパスタは欠かせないと思います」と、キーンが言い「今朝は私にスープを作らせてください」と、言うフィスにスープを任せた。
「じゃぁ俺はサンドイッチだな」
「頼んだぞ」
「「はい、お任せください」」
「必要な材料で足りない物は俺に言ってくれ」
「では、魚のアラをお願いします」と、言うフィスに俺は困った。
(アラって何だ)
(魚の骨とかですが、要は魚の身意外と考えてください)
(そうか、ありがとう)
「悪い、今はアラは無いんだ。
これを使ってくれるか」と、俺は昨日と同じ大きさのプリプリした鱒を出した。
「そう驚くなよ、本当に無いんだ」と、言う俺に、「私が下しましょうか」と、キーンが言ってくれるのでキーンに任せた。
「でも、キーンは良いのか」
「はい、直ぐに終わらせますから」と、微笑んでいる。
いざ始めるとその手際の良さに俺もフィスもただ見ているだけで、直ぐに終わった。
「キーンは凄いな。
あの時を思い出したよ」
アラを小さく切って鍋に入れているフィスが「あの時とは何ですか」と、聞いた。
「それは、セントフォーがマンブール市で借りた邸に領主ジレットと一緒にキーンがやって来たんだ。
確か女性はキーンだけで、夕食の用意をすると言いだして、短時間で鱒のステーキや色々な料理を作ったんだ」と、言う俺にキーンは恥ずかしそうにするが、あの手際の良さに料理を始めた俺は、改めて良く分かった。
「そうなんですね、土地柄私は魚よりも肉の方を多く扱ってきましたから」
そんな話をしながら俺は普通のサンドイッチを作った。
少し待つとパスタが出来て、スープも出来上がった。
二人が居てくれると本当に早く出来上がるし、量的にも不足は無いと思った。
初めはどうなるかと思ったが、これは良いし余裕が出来る。
朝食の準備が終わるころ良いタイミングで皆がテーブルに着いた。
「皆おはよう、準備は出来ているぞ」
俺達三人で給仕して周り席に着き食べ始めた。
どれも美味しいと、言う感想が聞けて俺は嬉しい。
皆も口々に美味しいと、良い笑顔が見られるから、俺はそれだけで満足なのだ。
今朝は食後のお茶はキーンが淹れてくれた。
今日は何をするかと言う事になって、俺は王都に行きたいと言った。
アマンダはフィスを冒険者ギルドへ連れて行くと言うと、フィスは驚き反対するが、「皆のためだから」と、言われしぶしぶ引き受けた。
「キーンは俺に付き合ってくれ、危ない事はしないからな。
それに昼には帰るから」と、言う事で決まった。
俺とキーンは街をぶらぶらと歩き、門を出て適当に歩き転移して王都の以前俺が泊まっていた宿屋の前に来た。
二人のメイド姿が一時注目の的になって、興味の視線と嫌らしい男たちの視線に晒された。
(キーンも守ってやってくれ)
(無理です)
(何でだ、何か条件が要るのか)
(いいえ、あなたしか守る事は出来ません)
(そうか、まぁそうだよな)
「あの此処は何処でしょうか」
「此処はベルステン王国の王都ベルステンだ。
付いて来てくれ」
「はい、畏まりました」
俺はキーンを連れて男達の嫌らしい視線を無視して歩き、馴染みの鍛冶屋前に来た。
「此処に入るぞ」と、言いキーンを連れて店に入った。
「おはようございます、調子は如何でしょうか」
「あぁお前さんが来るのを待っていたんだ。
さぁ奥へ来てくれ、ここじゃ話にならないからな」
「おい、誰かお茶の用意をしてくれ」
「はい、分かりました。
バームクーヘンも用意させていただきます」と、奥で明るい声が聞こえた。
「それで、許してくれるんだろう」と、店主というか責任者が言った。
「今朝はジョンソンの姿が見えないようですが」
「彼奴はクビにした。
元を正せば俺の忠告を破りこれまでも色々しでかしているし、今苦しむのもあの野郎が原因だから。
なぁ、もう許してくれよ、頼むから」
「まぁ、それなら良いでしょう。
許します。
ただし、ジョンソンは許しませんから生涯苦しんでもらいますから」
「良かった、本当に良かった」と言う店主の顔に安堵感が見えた。
「それで、そちらのお嬢さんは」
「お嬢さんは無関係よ。
今から市場で買い物をして帰る心算ですからね」
「一つ尋ねますが弓の勇者の件はどうなりましたか」
「それは、引き受け手が居ないので何時の間にか無くなったよ。
と、言うのがガス王宮から行方が知れなくなって、此方は探しようがないからな。
死にはしないが上手く隠れたものだと思う」
「仕事は無いのでしょう」
「いや、仕事はあるんだが、そちらのお嬢様に知られても本当に大丈夫なのか」
「はい、問題ないと思いますから。
それなら今日は軽く仕事をして帰りましょうか」
「それは良い、ならぜひ引き受けてくれ。
相手は、オルブライト公爵領に居座る最高責任者だ。
金額は5000万ビィでどうだろうか」
「良いですが、別の所からの依頼で既に私が殺しましたよ。
最高責任者だけじゃなく、他の責任者も確か3人か4人だったかも」
「おいそれは本当なのか。
済まない、つい興奮してしまって。
確かめさせてもらっても良いか」
「はい、どうぞ」
「おい」と、店主の一声で若い男が音もなく店を出て行った。
「確か呼吸困難で死に、朝になって何時まで経っても起きてこないので不審に思い様子を見に行くと死んでいたと、私は聞いています」
「そうなのか。
良く分からんが本当に凄いなお前さんは。
今別の依頼主と言ったが、これからも俺達の仕事を引き受けてくれると思っていいんだよな」
「勿論ですよ、王都に居た時からの縁ですからね。
縁は大切にしないとね」と、微笑むと何故か喜ばれた。
「そうでしたわ、私包丁が欲しいのですがね。
鎌とか鍬は作っていらしゃるようですが」
「勿論包丁も有るよ。
割高になるがオーダーメードも受けているからな」
「今は忙しいので既製品で良いので、各種包丁を3セット下さいな」
「あなたも包丁があると都合が良いでしょう」
「はい、よろしくお願いします」
「そうそう、セット毎に包んで下さる」
「はい、お任せください。
その前に、私たちが作る包丁の説明をしましょう」
「そうね、頼みましょうか」
若い男が形違いの包丁を4丁持って来た。
「最初にこれです。
これは、単純に切る事に特化したものです。
主に肉や魚用ですが野菜も切れます。
ですが、野菜用は此方の幅広い先が尖らないのを使います。
分かりますか、野菜用は片刃になっているでしょう。
これは分厚い物を切る為と皮むきの時の安全措置です。
この野菜用包丁は当店だけのオリジナルです。
こちら小さいのは果物の皮をむく時や切る時に使いますが、慣れるとナイフよりも刃が薄いのでとても使い勝手が良いですよ。
最後がこれです。
見るからに刃が分厚く頑丈でしょう。
これは、魚や肉を骨ごと切るために使います。
魚を三枚におろすには最適です。
如何ですか以上です」と、若い店員が説明してくれた。
「切れ味が悪くなると持ってきてくれ。
格安で研ぐからな」
「分かりました、その時はお願いします」
「お嬢様方にお茶の追加だ」
「なんだか手間取りますね」と、俺が言っていると出て行った店員が帰って来た。
「うん、そうかそうか良く分かった。
今確認が取れたが、お前さんが話したとおりだったよ」
「それは良かった」と、言っていると報酬を何時もの男が持って来た。
「確認しますか」と、聞いて来るので必要ないと俺は答えた。
俺は包丁の値段45万ビィを払い、「毎度言っていますが詮索と私の事は他言無用で頼みますよ」
「あぁ分かっているって、もうあの苦しみは御免だからな」と、店主が言うからいくらか安心できた。
「では、お暇しますよ」と、言い鍛冶屋を出てキーンが持つ包丁のセットを素早くアイテムボックスに仕舞った。
「フー様は本当に凄いですね。
あの店は王家直属の暗部ですよね」と、言ってくるキーンに俺が驚いた。
「そうなのか、俺は初耳なんだが。
それよりもキーンが知っている事に俺は驚いたぜ」
「私もフー様と同業みたいなものですから、噂程度にジレット様から聞いていました。
何時ぞやの派閥の社交界で、アレが王家直属の暗部の者だと、遠くから顔を見せてもらいましたから。
彼方は一介のメイドに見覚えは無いように今日感じましたが、私はハッキリ覚えていますから」
「俺はキーンとフィスに俺の様な危ない仕事をさせる心算は無いからな。
冒険者登録もキーンの身分保障のためだ。
あのカルフーン家のカードを使い続けると、居場所が自動的にカルフーン家に知られるからな、その為だ。
だから、ランク上げなど気にしなくて良いからな」
「本当に宜しいのでしょうか。
それだと本当にメイドだけになってしまいますが」
「うん、今はそれで良いよ。
手が足りない時は頼むかもしれないが、それは俺が仕事した結果を知らせてくれるだけで良い。
殆ど今の様にして確認がとれるからな」
「さぁ市場に付いたぞ。
買いたい物があるなら言ってくれよ」と、言い二人で見て歩くのは本当に楽しい。
キーンは良く分からないと言うので、初めにスープ用の骨を買い足しに行った。
「食べたい果物があるか、次は果物を買おう」
「(狙われています、注意を)
(分かった、俺の守りは万全なんだよな)
(はい、常に完璧です)
俺は探知を使い周りを見回すと、凡そ100メートル後ろに赤い点が4個見えた。
「キーン、俺達は狙われているようだ。
迎え撃つために場所を変えるぞ、付いて来てくれ」
キーンの了解の下人気が少ない小路に入り、近づくのを確認してさらに奥へ入った。
最後は空き地で行き止まりになった。
(呪いの発動だ、今から俺達に敵対する者が来るが、そいつ等は洩れなく目が見えなくなる。
確殺は外してくれ)
(了解しました)
待っていると、如何にもと言った風体の者が4人組が現れた。
「待っていたました、何用でしょうか」
「あぁ、お前に用はないが、良い体をしてるじゃねぇか。
後で俺達を楽しませてくれれば助けてやろうか。
用があるのは後の娘だ。
なにメイドの格好してやがるんだ、それで俺達を誤魔化せるとでも思ったか、あぁ」
「私に用があるのですね。
でもあなた達の気に障る事はした事は有りませんが」と言いキーンが前に出た。
「ほぉ面白い事を言いやがるな。
お前は生き埋めにしてやるよ」
「まぁ、怖いですわ。
私くし漏らしそうです」と、大げさに股を押さえてわざと怖がって見せた。
「一つ提案があるのですが、このまま私たちを解放してくれませんか。
勿論この先私達を見つけても無視してください」
「おい、お前ふざけているのか。
俺達が無職になったのは、そっちの小娘のせいだ。
いっそ俺達で楽しんだ後は、奴隷市に流そうか」
「リーダー、その前に1年位かけて十分楽しみましょうよ。
此奴は楽しめねぇが、そっちのメイドは良い乳していやがるからな」
「まぁ嫌らしいです。
とっても怖いです」
「もう逃げられねぇぞ、覚悟しなよ」
「最後の提案ですが、見なかった事にはしてくれないのですね。
ならば、私もそれなりの事をしますが、後悔するのはあなた達ですよ」
「あなたははそのままで良いですからね。
得物は仕舞いなさい」
(やってくれ)
(了解しました)
「さぁ果物を買いに行きますよ、早くしなさい」
「おい糞メイド、何しやがった。
なんも見えねえじゃねぇか」
「俺もだ、リーダー」
俺もだ、俺もだの声を後にして、また市場に戻った。
「凄いですね、何をされたのですか」
「仕事ではないので、視力を奪ってやりましたから、この先は相当に不自由すると思いますよ」と、言う俺にキーンが驚いていた。
あの時は殺す気で飛ばした殺気だが、無事で居られることに、キーンは神に感謝した。
市場を回り果物と足らない食材、特にパンと香味野菜が欲しいとキーンが言う物を中心に買い、最後は屋台を回りサンドイッチと更に良い匂いがするパンに串焼きなど、直ぐに食べられる物を買い満足して、スコット市の何時もの門の近くに帰った。
「本当にこの魔法は便利ですね」と、言うキーンに「魔法か、これは俺のスキルの一つなんだよ。
ジレットに聞いているかもしれないが、色々あって俺の場合は、男でいるよりも女の方が使い勝手の良いスキルがあるんで、この先も女性のままだ」
「よく分かりません」と、言うので、その内分かると言った。
「これはお帰りなさい」と、衛兵に言われるから微笑むと衛兵が喜ぶので、俺もキーンも白磁のカードを提示して難なく市内に入ることが出来た。
(セイントフォーの居場所が知りたい)
(了解しました)
スキルが答えて直ぐに俺の頭の中に地図が浮かび上がり緑色の矢印が見えた。
「アマンダ達はまだ冒険者ギルドにいるようなので行こう」とキーンと二人で冒険者ギルド迄今度は通りを一本外し道を歩いた。
何処の町も同じだが、人の通りが少なくなると住民の柄が悪くなってくる。
人が少ないから柄が悪くなるのか、柄が悪いから人の通りが少なくるのか、ギルドまで歩いてきたが結論は出なかった。
「キーン、何時もとギルドの様子が違うから注意だ」と、言いギルドの中に入った。
如何だったでしょうか?
フーの下手な演技は(笑)
フーの下手な演技は冒険者ギルドでも演じます。
楽しめた、面白かった、と思われるなら作者冥利に尽きます。
次回はセイントフォーに絡んでくる輩が登場します。
次回は月曜日を予定しています。
何時もの時間にお会いしましょう




