冒険者ー28
今回はフィスの冒険者登録です。
冒険者登録は意外に難しいのです。
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それではお楽しみください
初めに目に入ったのが、受付カウンターに柄が悪い奴等6人が、受付のお姉さんを中心にして、片方のセイントフォーとで揉めているように思えた。
「あっフーだ。
良いところに来てくれた」と、スーが俺を呼んだ。
居合わせた冒険者たちの注目を浴びながら俺とキーンがセイントフォーの所に来た。
「キーンは下がってなさい」
「あっ、フーさん助かります。
今ちょうどギルドマスターが席空きでして、そこへ此方の冒険者さんが来られまして」
「何だお前は、糞メイドに用はないっ。
俺達に逆らう気がないならあっちへ行ってろっ、後で可愛がってやるからなっ」
「まぁ、品のない人達ですね、本当に私は嫌ですぅ」と、嫌そうな顔をして言うと、俺に大剣を背負う厳つい格好をした大男が凄んできた。
その時フィスが捕まっているのが見えた。
「何が有ったのでしょうか」と誰に聞くでもなく言うと、受付のお姉さんが「冒険者登録に来られたフィスさんを捕まえて、セイントフォーの皆さんにグレータードレイクを狩った所へ連れて行けっと、言われまして御覧のようになりました。
「それで、そちらの嫌らしい人達は何者ですか」
「うるせぇ糞メイド、出しゃばるんじゃねぇぞが。
良いかよく聞いて忘れるんじゃねぇぞ。
俺等はゴールドクラス冒険者チーム紅蓮の超星だ。
どうだ、恐れ入ったか」
「私は知りませんが御強いのでしょうかぁ。
でも私はセイントフォーがあなた達よりも強いと思えますよぉ」と、微笑んで見せた。
「糞メイドが、いい度胸じゃねぇか」と、言い嫌らしい顔をしている男が変わったナイフを抜いて威嚇してきた。
「ギルド内で得物の抜刀は重大な規律違反です!
本部から厳しい制裁がありますよ」
「うるせぇんだよ、俺達ゴールドクラス冒険者パーティーに、田舎支部如きがなんか文句あんのかぁ。
俺達が一声かけると王都の本部が黙っちゃいねぇぞぉ」
「まぁ、私怖いですぅ。
実力じゃなくてギルド本部の威光をチラつかせるなんてぇ、底意地の悪さが本当に怖いですぅ」
「テッメェ良い度胸じゃねぇか。
徹底して痛めつけてやるからな、覚悟しておけよ」
「キャ~怖いですぅ」
俺の小芝居にアマンダをはじめアリスもスーもメイも呆れていた。
フランソワだけが大真面目に怒りで震えていた。
「グレータードレイクは黒い森で狩ったんだよ、何度も同じことを言わせるなよ。
こっちもいい加減我慢の限界が来るからな」と、アマンダが静かに言った。
「そうですよ、何がギルド本部ですか。
こう言ったらあなた達のメンツを潰すようで申し訳ないですが、私達がギルド本部を出ると話すと、もうしつこいくらい強引に引き止められましたよ。
その時あなた達の悪評も少し出ましたが、どうもギルドの厄介者らしいですね。
本部に居辛くなったのでしょうか」
「そうそう、ろくに依頼も受けずに威張り散らすんで、ギルド本部はギルドの信用が落ちるとぼやいていたよ」と、スーがばらした。
「僕たちがお前等に手を出さないのは、ここのギルドが壊れる事を心配しての事だ。
特にアマンダが本気を出すと、スコット市が全壊するからだ」と、メイが言った。
「テメェら大口を叩けるのも今の内だっ。
もう直ぐ俺達のリーダーが来るからなっ。
可哀そうに、素直に言う事を素直に聞いていれば良いものをよっ」
「おっ、話をすると何とやらだ。
我等がリーダーのお出ましだ。
お前らはもうおせぇんだよ」と、大弓を背負った男が勝ち誇って言う。
「おう、待たせたな。
此奴がしつこくてな」と、言って嫌がる女性の腕を掴んでやって来た。
「久しぶりねジェイキンス。
これはあなたの指示なの、答えなさいよ」
「おいおいアマンダじゃねぇか。
お前もだが連れているのは皆良い女ぞろいじゃねぇか。
ちったぁ俺にも回してくれよ」
「それはお断り、それよりもこのムサイ野郎どもを大人しくさせなさいよ」
「それなら俺を入れてくれよ。
後悔はさせねえからよ」
「お断りよ」と、スーが言う。
「そう言うわけだ」と、メイが言う。
「おれは、お前さんが好みなんだよ」と、メイを嫌らしい顔で見た。
「ジェイキンスさん、指示通り捕まえていますぜぇ」と、嬉しそうにフィスを前に出した。
「おい貴様は何やってんだ、馬鹿野郎が。
俺が言ったのは、あの可愛いのを捕まえろって言ったんだ」と、言ってメイを示した。
「この女も一緒に居ましたし、十分に可愛いですよ」と口答えが聞こえると、
ジェイキンスの怒りのパンチがその男を黙らせた。
間近で鈍い音を聞いたフィスは青くなっていたし、無理やり連れてこられた女性は悲鳴を上げた。
「お前はもう用なしだ」と、言って無理やり連れてこられた女性をぶん投げた。
「相変わらずの乱暴者ね、ここは王都じゃないのよ。
これがどういう事かわかるでしょう」と、アマンダが言う。
「悪いな、アマンダ。
今日から俺達の本拠地は此処なんだ」
「そう?グレータードレイクが狩りたいなら、此処よりもマンブール市が黒い森に近いし最適じゃないの」
「俺もそう思ったが、そっちの可愛子チャンを見たら考えが変わちまった」
「あなたはずっとメイさんに付きまとっていたのですねぇ。
何もかもがキモイですぅ」と、嫌そうな顔をしてみせた。
「ほう、こっちにも見慣れない美形がいるじゃねぇか。
俺の好みだ。
お前等、今日から本拠地は此処だ」と、宣言する紅蓮の超星は、勝手に宣言して引き上げた。
「アマンダ御免、僕が迷惑をかけた」
「何言っているのよ、それを言うなら私達もフーに迷惑をかけてるよ」
「その悪いが俺には、その迷惑がさっぱり分からないのだが、アマンダは教えてくれないか」
「うん、此処じゃ迷惑が掛かるから一旦出ましょう。
彼奴等がその辺に居るかもしれないから、フィスとスーは注意してね」
「フーが守ってくれるから心配は要らないと思うよ」と、スーは相変わらず呑気だ。
「フランソワは私達を人気のないところへ案内してくれる」
「はい、最高の場所へ案内しますよ」と、言い嬉しそうに先に立って歩き、皆は後に続いた。
(尾行者は居るか)
(はい、人数からして先ほどの奴等でしょう、一人増えました)
(分かった)
「彼奴等が後を付けているから、メイは結界に閉じ込めてくれるか。
俺の転移で皆で黒い森に行き、置いて帰るからな」
「それ面白そうだね。
彼奴等の実力じゃ生き残れないと思うよ」と、スーが言う。
「そうか?
運が良ければ生き残るだろう」
「僕は全滅で構わないよ」と、メイが言う。
「フランソワまだですか」
「はい、あともう少しですから」
「私たちは構わないんだけど、彼奴等が帰ってしまわないかそれが心配なのよ」
「アマンダ、心配は要らないぞ。
ちゃんと付いて来ているからな」
「着きましたよ、此処ならいいでしょう」と、微笑むフランソワだ。
「何だ此処は、素晴らしいじゃないか。
特に垂直に切り立った崖は。
見晴らしも良いし、今度は此処でご飯を食べようか」
「うん、それ私は賛成」と、スーが言い「弓の訓練に良いところです」と、アリスも言う。
「来るよ、メイは準備良い」
「何時でも良いよ」
「じゃ、決まりですね。
今度は昼に此処でご飯にしましょう。
見晴らしが良いので、何時も以上に美味しく食べられますよ」と、アリスは嬉しそうだ。
「ほぉ、今から明日の昼飯の心配か。
悪いがそれは無理だな。
お前たちは皆俺達が可愛がってやるからな。
ヒィヒィ言わせてやるから楽しみに待ってろ」
「さっきはずい分舐めた事を言ってくれたなっ。
どうしたっ、遠慮なく得物を抜いてくれても良いぜっ」と、言い、人質の娘を俺達に見せた。
「まぁ、その程度は想定済みよ。
これで決心が付いたわ。
フーには悪いが此処でジェイキンスは殺す」と、アマンダが言っているところで、メイが静かに結界を発動させて、人質に近い者から順に直ぐに皆を閉じ込めた。
「おい何しやがる」と、聞えるように、口だけパクパク動いているのが見ている分には面白い。
(透明にしてくれ)
(了解)
俺は素早く動き、人質の女性を救出した。
俺が救出している間に、メイは次々に結界の中に閉じ込め終わった。
「災難でしたね。
此処から歩いて帰る事が出来ますか」
「はい、助けていただき本当にありがとうございます」と、良い笑顔でお辞儀をすると、坂を下り始め暫くすると見えなくなった。
「じゃ俺達も行くが何処が良いかな。
メイは何処が良い」
「彼奴等はグレータードレイク狩りがしたいらしいから、あそこが良い」
「それ私も賛成ですよ。
アマンダもフランソワもでしょう」
「うん、それで良いよ」
「じゃぁ決まりだな」
俺が転移を使い、グレータードレイクに囲まれた所へ連れて来た。
「メイは結界を解除してくれ」
「了解」と、直ぐにメイが結界を解除した。
「おい俺たちに何をした。
窒息死するところだったぞ」
「狩場へ連れて来てやったんだよ。
私たちが100匹近いグレータードレイクを狩った所だよ。
ジェイキンス、お前等もゴールドクラスなんだから、私たち同様に100匹位は余裕で狩れるよな」
「そうよ、今アマンダが言ったように余裕でしょう。
自慢のゴールドクラスですもの。
あっ、因みに私は氷属性の矢を使いましたら、余裕でしたよ。
其処の弓士さんも試してみなさい。
あなたが持つシャムシールは少々厳しいかもしれませんがね」
「じゃ僕たちは帰るからね。
獲物の横取りを僕たちはしないから」
「ジェイキンス、そう言う事よ、精々頑張りなさい。
明後日に私たちは此処へ来るから。
フー帰るよ」と、アマンダが言うから、転移してさっきの所へ帰った。
「そうだ、メイはテーブルと椅子のセットを作ってくれるか。
色は任せるから」
「うん分かった」と、笑顔が可愛いメイが直ぐに作った。
「皆は僕の隣から順に座って」との指示で、フランソワがフィスの手を取り、透明な結界に座って驚いた。
後は、俺とキーンだけになった。
「遅くなったが、今からここで昼ご飯だ。
キーンは俺を手伝ってくれ」
「畏まりました」
「そういう堅苦のはいいから、配ってくれ。
大丈夫だ、テーブルがあるからな」
俺は串焼き、肉と魚の2種類を各自に4本にサンドイッチを人数分に桃の果実水を用意した。
「キーン、コップの大きいのはフランソワ用だ。
他は好きなようにな」
「そうだった、忘れていたがこっちは俺が作った串焼きだ。
グレータードレイクを使った物で、スパイスと塩だけだ。
良ければ食べてくれ」と、言い8本用意した。
「フーさん、皆さん本当にすみません。
私がもう少し早くバリンさんに聞いていれば良かったのに」と、言うフランソワに、「それはもう良いよ。
今はキーンとフィスが居てくれるからな」
「さぁおかしな奴等は始末したから美味しく食べよう。
フィスは怖い思いをしたかもしれないが、彼奴等は例外中の例外なだけだからな」
「すみません、私がもっと機敏に動いているとあんな騒ぎは起きなかったです」
「もう良いじゃない。
ジェイキンスは、私とフーが王都の六角ダンジョン内で、まだアリスと出会わない時に助けてやったのよ」
「あっ、もしかして彼奴か。
俺の方が年上だとかとアマンダよりもはるかに弱いくせに上から目線で俺に絡んできたムカつく野郎だった」
「そうそう。
まっ、ご飯がまずくなるから、この話は終わりよ」と、アマンダが終わらせた。
「あのぅ、この串焼きはフーさんが作ったのですか。
私この薄塩とスパイスでいただく、これが好きになりました」
「そうか、フランソワは嬉しい事を言ってくれるな。
肉が違うからじゃないのか」
「違うよ、あの時のワインを連想する付けダレも良かったし、このさっぱりしたのも良いよ」と、スーが言った。
「帰ると、フィスとキーンに包丁セットを渡すからな。
厨房にろくなのが無かったんで、ついでに買って来たんだ」
「私達には無いの」と、スーが言う。
「スー、お前はナイフが有るじゃないか」
「まぁ欲しいのなら買うけど。
悪いがアリスもナイフしか無いんだ。
鍛冶屋だから」
「私はフーさんからこの間服を買ってもらいましたから、今はそれで我慢します」と、微笑む。
「この前のと違い、このサンドイッチは美味しいよ」と、アマンダが言うから、みんなが食べると、俺も確かに美味しいと思った。
「この見えない結界は不思議ですね。
皆さんは普通に座られましたが、座る時に尻もち覚悟の勇気がいりました」と、キーンが言うのでメイは良い笑顔になった。
「悪い、俺がフランソワの様に気を使ってやれなくて、済まなかったな」
「いいえ、今日はフーさんに色々と気を使ってもらいましたから」
如何だったでしょうか?
フーの下手な演技もですが、可愛いメイがしたない間にストーカーの対象になっていたとか。
楽しめた、面白かった、と思われるなら作者冥利に尽きます。
次回は楽しい昼食中に、誰もが恐怖する厄災襲来します。
次回は金曜日を予定しています。
何時もの時間にお会いしましょう




