冒険者ー17
本編は2部構成になりました。
はじめはフーが前回呪いを発動した仕事の報告です。
最後はフーの料理です(笑)
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それではお楽しみください。
今日何をするかの話になり、皆はフランソワに美味しいスイーツの店を紹介してもらうと言うので、別行動になった。
フーは何をするのと、聞くからゲイリーさんに会いに行くと言うと、仕事だと皆は納得してくれた。
「フーさんが一緒でないのが残念ですが、私のお勧めの御店を紹介します」と、嬉しそうにフランソワが話している。
そんな中「俺は今から行くよ。
みんなは楽しんでくれ」と、言い邸を出てブラブラ歩いて朝の街の様子を見て、尚も歩き領主の舘前に来た。
「おはようございます。
ゲイリー様に会いに来ました」
「お待ちしていました、どうぞ中へ」と、言い衛兵が通用門を開けてくれた。
玄関でトウデさんが俺が来るのを待ってくれていた。
「おはようございます。
今日は仕事の報告に来ました、ゲイリー様にお会いできますか」
「承知しております。
旦那様がお会いになりますから、私に付いて来てください」
今朝は執務室に案内してもらった。
「旦那様」と、言うトウデに中から、入ってもらってくれ、の声が聞こえ、トウデさんが俺のためにドアを開けてくれた。
「やぁ良く来てくれたね。
トウデはお茶を用意してくれ」
「畏まりました」と、言い部屋を出て行った。
「来た目的は、今朝オルブライト領に居る支配者を含む高官四人を始末しましたから、報告にやってきました」
俺の報告の前に座るゲイリーさんは大喜びだ。
「少し待ってくれるか、今確認をとるからな」と、言っているとトウデさんがお茶を用意して入って来た。
俺達にお茶を配ると自然にゲイリーさんの傍に控えた。
ゲイリーさんが合図をすると、何処からか執事服を着た青年が出てきた。
「確認をオルブライト領に居る者に取ってくれるか。
支配者と高官が死んでいないかをだ」
「少々お待ちください」と、言い執務室を出て行った。
「今日フランソワは、お勧めのスイーツ店を紹介すると言い、張り切ってセイントフォーに同行しています」
「そうかありがとう。
と、言うとスターリングのところにも行くんだな。
スターリングは私の元騎士で、騎士当時から菓子作りが上手かったからな。
お勧めはケーキ全般だな。
スポンジがしっとり柔らかく、独特の食感があり、トウデも好きだよな」
「はい、旦那様。
私は甘味はスターリング店が一番おいしいと思いますから」
「そのスターリング店にバームクーヘンは無いのでしょうか。
私はバームクーヘンが大好きで、特にクリームやジャムなどが乗らない、シンプルなのが好みです」
「私はあまり好まんが、トウデは今あなたが言われるバームクーヘンが大好物だな。
朝食代わりにも時々食べているからな」と、言いゲイリーさんは振り返る。
「意外と言うのは失礼ですが、あなたはショートケーキかと思っていましたから。
何も添えないバームクーヘンを好む人に悪人は居ませんから」と、トウデさんから初めて微笑まれた。
「私はチーズケーキが良いな」
「旦那様、宜しければお持ちしますが」
「では、私にはチーズケーキ、フー殿にはバームクーヘンを頼めるか」
「承知しました」と、言い部屋を出た。
「話は変わりますが、スコット領の特産品と聞いた牛肉、あれは本当に美味しいですね。
魔力を持つ魔物と何ら変わらない、魔物の種類によりますが、それ以上の美味しさに、フランソワに案内された店で食べて初めて知りました。
羊も特産だとか、近いうちに食べてみたいと思っています」
「そうか、魔物よりも美味しいか。
これは嬉しい、良いことだ」と喜ぶゲイリーさんは良い笑顔になった。
その笑顔がどことなくフランソワに似たところがあると、思った。
ドアを叩く音ともにトウデがスイーツを用意して入って来た。
チーズケーキとバームクーヘンが乗った皿が有った。
気を利かせて、お茶も淹れてくれた。
トウデが淹れてくれたお茶は美味しいし、バームクーヘンは王都で評判の店の物と遜色がなく美味しい。
「これは、美味しいです。
スターリングさんのお店に行くと手に入るのでしょうか」と、聞いてみた。
ゲイリーさんとトウデが顔を見合い、トウデがうなずいた。
「これはトウデが作るもので、我が家でしか食べる事は出来ないのだ」と、ゲイリーさんが言い、トウデは喜んだ。
「仕事のことなど気にせず、食べたくなると何時でも来てくれ。
大歓迎だからな」
ドアを叩く音がして、若い執事が入って来た。
ゲイリーの直ぐ隣に来ると小さく囁いた。
若い執事が部屋を出ると入れ替わりに、何時もの執事が盆に大きな革袋を2つ載せて来た。
「オルブライトの時と言い本当に手際が良い。
少し遅くなったが確認がとれたよ。
皆朝起きないので様子を見に行くと、ベッドの中で死んでいたそうだ」
「そうですか、それは良かったです」
「それで、此方が報酬の3500万ビィだ。
確認してくれ」
「それには及びません。
私は出来るだけ長く、この良い関係でいたいだけですから」と、微笑んで答えた。
「また仕事を頼みたいが引き受けてくれるか」
「はい、この前も話した通りです。
ゲイリーさんの家の仕事は格安で引き受けますが、それ以外は高くなります」
「勿論それで良い」と、言い手を出してくるので、握手した。
「おっと、昼になりますから私はこれでお暇したく思います」
「なんだ、今日も帰るのか」
「はい、事情がありまして、私は三食食事を作ることになりましたから、急ぎ帰り、昼食の準備に取り掛かりたいと思います」
えっ、何か不味いことを言った、俺は。
ゲイリーさんもトウデも執事も呆れて俺を見ているのだが。
「はい、私の作る料理は何故か好評ですから」と、思わず言い足す。
「フランは何もしないのかね」
「肉料理の時は進んで肉を切ってくれます」と、笑顔で答えたら、ゲイリーさんは苦笑しトウデを見た。
「旦那様、宜しければ私の方で料理が出来る人材を探しましょうか」
「それでしたら、私の末娘フィスを向かわせましょう。
家事全般は既に仕込んでいますから」
「センデル、本当に良いのか」
「はい、ここで言うのはいささか憚られますが、フィスはあっちの職もスキルも持っていませんので、私もどうしたものかと思っておりました。
スコット家のお役にたつのなら大助かりです」
思いの外トントン拍子に事が運んできているが、困った事にならなければ良いのだが、さてこの状況は面倒になる予感しかしない。
「私はそろそろ帰らせていただきます」と、言い執務室を出た。
部屋を出る時もまだ人選にトウデとセンデルさんが色々話していた。
舘を出て、あの夜の曲がり角まで歩いて、転移を使ってフランソワに帰った。
フランソワに帰ると誰も居なかったが俺は気にせず、昼食の支度にとりかかった。
メニューは屋台で毎度御なじみの串焼きにした。
串焼きに使う肉はグレータードレイクだ。
一緒の野菜も用意した。
今回は肉を切ってくれるフランソワが居ないので、自分で切るが思った以上に簡単だった。
(他に何か要るか)
(はい、スッキリする飲み物)
(手順を教えてほしい)
(肉は十分ですから、付けダレを用意します)
(そうか、よろしく頼むよ)
(今回はワインを煮詰めていきます)
(分かった、ワインはボトル1本丸ごとで良いか)
(はい、コクを出すためにベーコンを使います)
(ベーコンはワインで煮込むのか)
(はい、ベーコンを適当に切って炒めワインと煮込み、途中で味を調えるためにハチミツと塩にスパイスも加えます)
(分かった、ありがとう)
スキルの教えの通りベーコンを適当に切り鍋に入れて、煮詰め始めた。
(串に肉と野菜を射して網に載せましょう)
スキルに従い、肉と野菜を交互に串にさしていき、24本の串焼き用の串が準備できた。
そこで俺は思った。
(なぁ、今準備しているタレで十分足りと思うが、後何本作れるだろう)
(10本は無理でしょうが8本くらいは大丈夫でしょう)
(あと24本作りたいのだが、無理だな)
(それなら、タレを増やすか塩とスパイスだけもお勧めです)
(そうか、良いね。
試してみるよ)
またドレイクの肉を取り出して、串焼きの大きさに切った。
野菜も同量を切って、野菜だけのも6本用意した。
(たれを火から降ろしてください。
これで付けダレは完成です)
(っ分かった)
(たれを串に簡単に塗り焼きます。
後は何度か繰り返します)
(分かった、タイミングを教えてくれ)
(了解です)
タレを4度塗り焼き串を完成させてアイテムボックスに仕舞い、次々と串焼きが完成していき、それをアイテムボックスに仕舞った。
最後が塩とスパイスだけを振りかける串になったが、こっちもタレ同様に塩を振ろうとしたところ、スキルから待ったがかかり一度だけでいいそうだ。
これで準備は終わった、後は皆が帰ってくるのを待つだけになった。
談話室の椅子に座ってボォッとして、先ほどの思い付きと串焼きの手順を思い出していると皆が帰って来た。
「で、スターリング店のスイーツは美味しかったか」と、言うから皆が驚いたのが面白い。
「何で知っているのですか」と、アリスが言うから、ゲイリーさんから聞いた話をした。
俺の話を聞いたフランソワがガッカリするから、「済まん、俺が悪かった。
実はお父様から料理について聞かれて俺は、フランソワに肉を切ってもらっていると話したんだ。
貴族の娘に何をさせるのかと、お父様は呆れられたんだ」と、言う俺に皆は大爆笑する。
「フーは面白い勘違いをするね。
恐らくだがお父様は肉しか切らないフランソワに呆れられたんじゃないの」と、スーが言った。
「そうなのか」
「そうだよ、その時誰かいなかったの」と、アマンダが聞く。
「そう言えば、トウデさんとか執事のセンデルさんもいたか」
「でしょう、そう言う事よ」と、言うアマンダだが、俺にはさっぱり分からない。
「時間も丁度良いので帰って来たが、帰り際に誰か料理が作れるものを寄こすとか言っていたような」
「まぁ、それは良い。
今からご飯にするからな」と、人数分の皿を用意した。
「昼はこれだ」と俺がアイテムボックスから、自家製作りたての串焼きを取り出して見せた。
「凄いじゃないの、これフーが作ったんだ」と、スーが言った。
「うん、美味しそうな匂いするよ」と、メイ。
「あの、私は肉を切る事しかできませんが、本当に美味しそうな匂いがしてきます」と、フランソワが済まなそうに言うから、気にするなと言ってやった。
「私はフーさんの料理をおいしく食べる自信があります」と、きっぱり言うフランソワが面白いのだ。
「ほらお前はたくさん飲むだろう」と、フランソワに一回り大きいコップにブドウの果実水を用意した。
セイントフォー用は桃の果実水を俺はブドウの果実水にした。
他は王都の屋台で買ったパンにした。
グレータードレイクの串焼きは美味しいと好評で、皆美味しいと感想を言ってくれた。
周りに遠慮することなく美味しく食べる事が、俺には一番大事な事だと思うし、より美味しさが増すと思った。
食後に俺がお茶を用意すると、アマンダがショートケーキを用意してくれた。
「フーには悪いがバームクーヘンはスターリングさんの店には無かったのよ。
代わりがショートケーキになった」と、言うアマンダに、俺は礼を言い皆で美味しくお茶を楽しんだ。
如何だったでしょうか?
フーは好物のバームクーヘンを通じてトウデと友達になりました。
まだ先の話になりますが、フーはトウデのために、フーお勧めの王都のスイーツ店でバームクーヘンをお土産にします。
ところで皆様はバームクーヘンはお好きでしょうか?
私は好物と答えたいのですが、あれば食べる、普通です(笑)
楽しめた、面白かった、と思われるなら作者冥利に尽きます。
次回はフーの呪いが発動します。
それからバリンさんの事も少し。
次回は金曜日になります。
どうぞご期待ください。
何時もの時間にお会いしましょう




