逃亡ー21
フーの身に大変な事が起きた昨日の続きです。
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その直後、俺の中で何かが開く音ともに大きな変化が起きた。
驚き急いて職業本を出してみると、予想した通りに変わっていた。
「フー、いきなりどうしたの」
「アマンダもだが皆これを見てくれ」と、言い俺はアマンダの前に職業本を置いた。
「どうやらもう、男には戻れなくなったようだ」と、言うとみんなが驚いた。
姓名 フィリス・ウェルビー
種族 龍人 ♀
年齢 18歳
職業 復讐者 暗殺者
復讐者スキル 有言実行 呪術 確殺
加護 ヴェルム神
「フーって、大神ヴェルム様の加護もちなんだ」
「スー、其処じゃない。
職業のほうだ」
「今朝分かった事だが、今までは女と男では使える職業とスキルが違ったが、職業だけ男だった時の暗殺者が残って、スキルは有言実行に吸収されたと思う」
「別に問題ないんじゃないの。
ほら、フーには腕輪が有るから」と、アマンダは気にしていない様子だ。
「私くしよくわかりませんが、フェリス様と出会った時の全裸は、女体を観察されていたのですね」
「おいモニカレイ、誤解を招くような事を言うのは止めてくれ。
俺は女体になって初めて職業本を見て知った職業とスキルを検証していただけなんだから。
おい、スーにアリス、その変な微笑みは止めてくれ」
「うん僕は知っているからね。
フーは変態じゃないから」
「メイよ、今の一言が一番傷つく」
「おぉそうだった」と、俺は腕輪を操作してみた。
期待した結果は、服と髪型が男のものに変わった以外変化はなく、上着のシャツが俺の胸で今にも紐が千切れそうな状態だった。
こんな状態の俺はみんなの大爆笑を誘った。
俺自身が見ても卑猥に見えるから、直ぐに水色でフリルが可愛いワンピースに変えた。
「本当に軽い気持ちで、この先は女性でもいいかなと思って言っただけなんだよ。
これじゃ、父さんとの約束が果たせなくなった」と憚らず大泣きする俺をアマンダが、やさしく抱き包んでくれた。
俺は迂闊にもアマンダの胸で大泣きしてしまった。
その後の事は知らないが、俺は空腹で目を覚ましたら、直ぐ隣でスーが寝ていた。
「フー、起きたんだね。
アマンダに知らせようか、とっても心配していたから。
今夜は私じゃなくて、アマンダに譲ると言うと、アマンダは順番だからと頑なに断ったんだ」
「あの後アマンダから詳しく聞いたよ。
フーは色々我慢してきたんだね。
貴族、特に領主は、領民をいじめ贅沢の限りを尽くすものと思っていたけど、フーの家は立派だと思うよ。
私は領主から無理やり奉公に来いと言われ、使いが迎えに来る前に逃げたんだ。
領主の城の様な舘に奉公に上がるとは、若い女性の体が目当ての酷い拷問を受ける事は領内で知らない人はいない、酷い色キチガイの領主だったからね。
手が届かない教会本部に逃げても、領主と似たようなもので、本当に腐っているよ教会はね。
私が体を許さないからといって、領主の様な強権は使わないが、みんなして好き放題いじめてくれて、あの腐った奴等にこそ、フーの呪術を使ってほしかったくらいだよ」
「でも、最初フーの事をアマンダから聞いたけど、優しそうに見えたし実際優しいしね。
フーになら良いかなと思って、教会本部を抜けたんだ」
「私はフーが女でもいいよ。
男の姿のフーの優しさ、気遣いをよく知っているからね」と、はにかむスーさん、とっても可愛いです。
「スー、ありがとう。
一時は混乱したが、要は考えようだ。
幸い俺たちはエルフ以上の長寿にしてもらったわけだし、ウェルビー家の血は残せないが王国よりも長く生きられると父さんも満足してくれると思う」
「初めてスーの事を聞いたけど、普段明るいスーも色々苦労してきたんだな。
そう言えば、フランソワが言っていたが、父さんはハーレムを持っていなかったな。
フランソワが、俺と同い年の娘も囲っていると言っていたが、俺のところはエルシャー王国と定期的に戦をやっていたから、そんな余裕は無かったかもな」
「それは違うと思うよ。
戦を頻繁にするなら、それこそ血を絶やさない様に、ハーレムのような遊びじゃなく、何人もの夫人を持つんじゃないの」
「そうなのか、父さんもだが母さんも姉さんも、最後の団欒に何も言わなかったな。
だから勇者の強襲を受けた時もアマンダと二人きりだったし」
腹が減った俺だが、スーと抱き合っていつの間にか眠った。
やはり空腹で目が覚めた。
外は薄明るく、目の前にスーの美しい寝顔があった。
起こさないように気を付けて、ベッドから抜け出て外を見た。
窓を開けると程よい湿気を含んだ空気が部屋の中に入ってきた。
薄暗い中で細かいところまでは見えなかったが、広い庭は神秘的に感じられた。
こんな家が持てるモニカレイは、俺とは大違いだ。
俺の家は定期的にエルシャー王国が攻めてくるので、戦費を賄うために庭に金をかける余裕は無かったから。
戦の時も殆ど王国から支援もなかったようだし、だからか領主貴族の娘を勇者に差し出す行為は許せない。
父さんが必死に守ってきたその努力を蔑ろにする行為だ。
あの時は公爵軍が出てきたが。。。
あっ、これはフランソワとモニカレイに聞いておかないといけない。
そうなんだよ、配下の娘よりも王族にも年頃の見栄えの良い娘が居ると思うからだ。
「起きていたんだね」と、後ろからスーが声をかけてきた。
「昨日は心配と迷惑をかけたな。
本当にすまなかった、ありがとう」
「そんなことないよ、それに私の事もフーには知って欲しかったしね」と、言い後ろから俺に抱き着いてきた。
不思議なことに、これまでは背中に押し当てられる胸の感触に喜ぶのだが、確かにスーの胸が当たっている感触はあるが、今はそれだけだ。
強いて言えば、涼しい室内でスーの温かさが心地いい。
俺の肩に顎を載せて「ねぇ何を見ているの」
「うん、庭が素晴らしいなとね」
「本当にそうよね。
もうじき朝日が当たるけど、凄く綺麗なんだよ」
「そうか、じゃぁ一緒に見ようか」
俺たちが庭を見て話をしていると、徐々に明るさが増してきた。
左側の山の影が伸びる庭から徐々に影が短くなっていき、影と日の当たる庭とのコントラストが素晴らしく、朝露が朝日に照らされて花や草が光り輝く様は美しく神秘的に感じられた。
その時俺の腹が食べ物を要求するから、良い雰囲気が台無しになって、二人で笑い合った。
その後もスーは俺の肩に顎を載せたまま一緒に庭を見た。
庭から山の影が完全に消えたころ「ねぇスー、起きている」と、アマンダがノックとともに部屋に入ってきた。
そして、前に回り俺に抱き着いてきた。
アマンダは気を利かせて、スーとは反対側に顔を向けて「昨日は本当に心配したんだから。
この先何が有っても私はフーの専属騎士だからね」と、言ってくれた。
「あぁ、まだまだ迷惑をかけるがアマンダよろしく頼むよ」
「うん、任せて」と、喜ぶアマンダ。
「アマンダだけずるい。
私はハーレム一号ですから、私もアマンダ同様離れませんから」
「もちろんだ、みんな一緒だ」
「私にも見せて」と、言いアマンダは俺とスーを抱き半回転して、「うん、本当に此処から見る庭は本当に綺麗ね」
「アマンダはいつからそんな怪力になったんだ」と、驚く俺に「身体強化よ。
今は意識しなくても常時使えてるからね」
「あぁそうか。
あの時のゴーレム狩りには苦労したもんな」
「何があったの、詳しく聞きたい」
「アマンダは話さなかったのか。
身体強化にはゴーレム15体倒す条件があるんだ」
「そうそう、私は結構平気だったんだ、フーって身長が低いでしょう」
「私もフーと大差ないけど」
「それでね、フーが透明化のスキルを使って、膝の関節を攻撃してくれて、何とかゴーレムが倒れるんだけど、皆図ったようにうつ伏せになるんだ。
ゴーレムは堅いし、すぐに再生し始めるから本当に厄介だった。
最初の3体くらいまでは崖に誘き寄せて、額にある魔石を破壊するんだけど、苦労したんだ」
「でも、裸族になるよりは良いよ」
「でも、寝る時は服を着れたでしょうになんで裸で過ごしたの」
「面倒くさかったから、だってそうでしょう。
日が出る時は既に裸になっていないといけないわけで、寝過ごすとそれ迄の苦労が台無しになると思うとみんなに迷惑が係るから、気を遣たんだよ」
「俺が思うに、30日間ずっと裸で過ごしただろう。
それで、普通ではあり得ない治癒スキルを得たんじゃないかと思うんだ」
「そうよね、昨夜フーが言ってた聖女だよ」
「止めて、私は聖女なんて呼ばれたくない。
大体聖女って、教会の奴らが都合で勝手に決めているだけでしょう。
あんなくそが教会を良いように私物化して好き放題するのには、一切協力はしないから。
私はフーをはじめハーレムの皆なだけに、必要とされればそれで良いんだ」
「そう言えば、俺の家にも毎年バカ高い寄付を強引に言ってきていたな」
「あの時は、アマンダは英雄と言われ教会内が大いに盛り上がり、アマンダの次に俺の番が来た。
俺を最後に朝に部が終わるので皆が期待する、その期待が最高潮に達てしいるところで、司祭の宣言を誰もが待ったが何も言わないんだ。
長い沈黙のその次は、俺の職業は分からないと司祭が言ったんだ。
居合わせ他みんなが騒ぎ理由を聞くと、一瞬文字が見えたが判読できないまま消えたと。
俺もみんなと同じように職業本を出しても、直ぐに消えるんだ。
あの時は消えてしまいたいと思い、酷く落ち込んだよ。
そりゃそうだろう、俺は誰にも言わなかったが剣士と期待していたが、あちこちで、かわいそうとか役立たずとか言われてみろよ。
悪気は無いのだろうが、小声でもそれがよく聞こえるんだよ」
皆が起きたようだ、着替えを済ませて食堂へ行くぞ。




