逃亡ー20
またどれくらい時間がたっただろうか「フー!帰ったよ」
「居るんでしょう!」と、アマンダとスーの声が聞こえた。
「合図が有りました、上に行きましょう」
また、モニカレイを先頭にして人一人が通れる狭い通路を通り屋敷のホールに階段の裏から出た。
「おい、明かりを点けても大丈夫なのか、見つかるぞ!」
「それがね、勇者が急ぎ帰って行ったから、本当に不思議なんだよ」と、アマンダが言い、俺の隣に居る美女を見ている。
アリス達はじっと見ていた。
「で、そちらのお嬢様は」と、アリスが呆れている。
「フーは凄いね」と、メイも言い始める。
「僕たちは見ていたんだけど、本当に勇者ってすごいよ。
これ一突きだからね」
「アマンダは勝てそうか」
「いや無理、仮に先手が取れても私の場合は振りが大きいから交わされると思う」
フランソワは俺の隣の女性が誰か分かったのだろう、驚いて口を開けたままだ。
「俺から話そうな。
フランソワ、その装備はよく似合ってるぞ」
「もしかして、貴方様はフランソワ・スコット様でしょうか。
お初にお目にかかりますわ、私くしはカルフーン辺境伯家の次女モニカレイですわ」
「それに、貴方はもしかしてウェルビー辺境伯家のご令嬢、フィリス様ですね。
私くし実はあなた様の大ファンでして、部屋には肖像画を持っていますのよ。
それに、先ほど裸も拝見しましたもの」と、フフッと笑い出した。
皆、俺を変な目で見ないでくれと、心の中で叫んだ。
話を変えようとして「ところで、この穴を塞がないと。。。
そうだ、メイ、頼めるか」
「うん、いいよ」と、言って空いた穴の状態を見ていたが、濃い赤色の結界を張った。
「外壁に合う白色にしたかったんだけど、白色をしたスライムがいないのだよ」
「凄いね、結界に色が付けられるんだ」と、驚くと「うん、あの後色々なスライムに挑戦したからね。
みんな知らないと思うけど、見た目と違いスライムの外皮って、意外にザラザラなんだよ。
でね、甘味があると食べやすかったかな」
「どうだフランソワ、メイの結界は凄いだろう」
「はい、もう凄すぎます」
俺たちで壊れた外壁の残骸を片付け終わった。
そこへ、アマンダがニコニコしてやってきた。
「準備が出来たのですね、フーさん新しいお仲間と一緒に風呂に入りましょう」と、アリスが言い皆で入ることになった。
アリスに背中を押されてモニカレイは良く知っている風呂場の前に来た。
俺の「モニカレイは仲間じゃないから」と、言うのを無視され、流れと勢いで風呂場に来た。
「フランソワは私が手伝いましょう」と、アマンダが言い同じ職なのか、すぐに服を脱がされ裸になった。
「モニカレイは自分で脱げるのか」
「はい、私くしは身の回りのことは凡そできますわ」と、自信たっぷりだ。
言うだけのことはあり、すぐに裸になってみんなを待たずに浴室に行った。
「じゃぁ、私たちも行きましょう」と、スーが言い皆で浴室に入った。
「今日は私がフーさんのお背中を洗いますね」と、アリスが宣言して俺の後ろに座った。
そして俺に抱き着き、豊かな胸を俺の背中に押し付けた。
「まぁ、今夜は良いか」と、スーが言い「僕の番まで我慢だな」と、メイは達観した。
先にアマンダとフランソワが湯船に浸かり、モニカレイも後を追った。
俺はお返しにアリスの背中を洗い、三人と湯船に入った。
「モニカレイ、お前の風呂は凄いな。
俺はこんな広さの風呂は初めてなんだが」
「私くしはお風呂の中で泳ぎたいので、商会に強く言いましたら、こうなりましたの」
みんなの驚き「えっえ~」が風呂場に木霊した。
「はい、此処は私くしの家ですわ。
お父様から、お前の家は当分の間は使わんだろう。
知っているかモニカレイよ、家はだな、使わないと痛むものなんだよ。
それでお前には悪いが、とある冒険者パーティーが借家を探していると情報を冒険者ギルドが知らせが来たから、貸すことにしたぞ。
まぁ、膨れるな。
これは我が家にとっても非常に良いことだからな。
と、事後承諾で納得しましたの」
「それにしてもフーって本当にすごいね。
居ながらにして、人助けはするし、おまけに超美人さんだし」と、メイが揶揄う。
俺はそんなメイに、お湯を掛けてやった。
「僕に何をする」と、言いだすメイは嬉しそうに見えた。
「じゃ、私たちにもね」と、スーが言い出しパーティーメンバーとフランソワにも掛けた。
「あの、私くしには無いのでしょうか」と、モニカレイが言う。
「まぁ、私たちはフーのハーレム要員だから、お互い遠慮はしないの」
「えっ、ハーレム???
ハーレムって、殿方がなさる遊びと思っていましたが、フェリス様はその色々凄いお方なのですね」
モニカレイの話に爆笑が風呂の中に木霊した。
「違うんだモニカレイ、俺は男なんだよ。
自己紹介すると、俺はフィリップ・ウェルビー。
ウェルビー辺境伯家の長男だ」
「そうそう、でもね。
幼い時から女装をはじめ、はじめは私たちのような胸がない分、超美人になってしまい、王国内のことは知らないが、隣のエルシャーやガスにも知れ渡り、領内では肖像画が人気で広く売られていたんだ」
「おい、それは初めて聞いたぞ」
「あぁそうだ」と、言って俺は認識阻害を切った。
「お近くで見ると肖像画とは違い本当にお綺麗です。
私くし感激ですぅ~」
「おい、もしかして地が出てきてないか」と、俺が言うとモニカレイは赤面して両手で顔を隠した。
「可愛いです」と、フランソワに言われていた。
勇者が参戦した戦で公爵・辺境伯合同軍は負けて、色々あってこうなったんだ」
「次はアマンダの番だ」
「私はアマンダジョーンズ、歳は19歳でフーの幼馴染。
あとは、良いか」
「次は私ですね。
私はアリス歳は17歳で、このパーティーでレンジャーをやっています」
「僕はメイ、歳は18歳。
魔法使いで時々戦士もするよ」
「私はスー、歳は17歳、魔法使いです。
私がフーのハーレム要員の第一号です。
私も何か持ちたいですね、見た目で職が知れるのは嫌ですから」
「私もフー様のハーレム要員の第一号です」と、フランソワが嬉しそうに宣言した。
「えぇ~、女性なんでしょう」
「モニカレイは知らないが、本当の俺は男なんだよ。
それから、フランソワ以外はアマンダの冒険者パーティー、セイントフォーのメンバーだ」
「そうだったのですね、お父様の力の入れように納得できました。
世界最年少のゴールドクラスの冒険者パーティー、今この目で見ているのですね。
私くし、皆様の裸も見ていますから、感激です。
皆さん肌に切り傷の一つも無く、本当にお強いのですね」
「全てではないと思うが、私が完璧に治しますよ。
と、言っても、ほとんど治癒の出番はないけどね。
頼まれていたポーション、今作るからね」、スーが言い風呂に浸かってポーションを作って見せた。
一瞬スーの体が黄金色の光に包まれたと思ったが、手には紫色をしたポーション瓶を載せていた。
「うん、ありがとう」と、俺は受け取った。
「あのぅ、見たことの無い色のポーションですが、何に効くのでしょうか」
「私が説明しましょう。
一般的に言うと万能薬ですよ。
飲んで良し塗って良しの優れものです。
私がいない時の用心のためです」
「そのポーションは本当にすごかったのですよ。
私の場合は膝くらいまで伸びた草の中を裸で歩き、山を登り谷を下りましたもの。
その時に膝から下は傷だらけになってしまい、フー様にポーションを塗って貰ったら、たちどころに傷が治り、足の疲れも感じなくなりましたもの。
今はこの通りです」と、風呂の中で足を上げて見せた。
「スー様は凄いお方なのですね」と、瞳を輝かせるモニカレイが面白い。
「私の今があるのは、フーとアマンダのお陰よ。
アマンダ、私も武器が欲しいんだけど」
「そうね、スーは体形がフーに似ているから、ナイフより幾分長めの短剣かな。
槍はメイが持っているから、フーは長めのナイフか短剣が有るでしょう」
「後で用意しよう。
しかし、魔法使いが杖ではなく武器を持つ。
面白そうだね」
「忘れるとところだった。
スーの治癒で解呪ってできるか。
メイが結界を張ったけど、モニカレイを怖がらせた槍の勇者を呪ってやったんだ」
「何々詳しく話してくれないと分からないから」
「フーさんの呪いって怖そうです」と、笑顔のアリス。
「フー大丈夫なの、後が怖そうなんだけど」とアマンダが心配する。
「槍の勇者のあそこが腐っていき、それが体中に広がり、体中が腐って死ぬ呪いなんだが。
それが、呪った後は気分がすっきりして、今も良い気分なんだよ」
「えっと、解呪解呪。。。」と、呟くスーは、私には無理だし教会の奴らでも無理と思う。
確信はないが聖女なら」
「やはりそうか、俺も解呪の仕方を知らないんだ」
「聖女?」と、フランソワもモノカレイも驚いた。
「スーは知られていないが聖女と俺は思うぞ。
普通の治癒士に万能薬なんか作れないだろうし、他にも色々なポーションを作ってくれるからな」
「フー、それは言い過ぎ。
私は教会の奴らが気に入らないんだ。
教会が認める聖女なんてまっぴらだから」
「フェリス様ありがとうございます。
それでお願いがあるのですが、私もフェリス様のハーレムに加えてくださることは出来ませんか、出来ますよね、ねぇ出来ますよね」
「お前は帰る家があるんだから、家に帰れよ」
「私くし嫌です。
フランソワ様もハーレム要員なら私も良いでしょう」
「モニカレイ様、私くしはフー様に裸を見られていますし、同衾もしていますから」
「おい、誤解を招くようなことは言うなよな。
裸の件はお前を助けるためで、何夜も一緒に寝たけどあれは同衾とは言わないぞ」
「まぁ、そおいうことにしておきましょうか」
「フランソワ、そおいうことも何も、それが事実だろう」
「議論が白熱する前に、僕はのぼせるから上がりたいな」と、メイが良いことを言ってくれた。
上がろうとするみんなを呼び止め「服を着たら俺のところへ集まってくれるか。
面白い体験ができるから」
「良いか、じゃ始めるぞ」と、言い食堂へ行きたいとスキルに話すと、軽い眩暈に似た症状が終わると、全員が食堂に居た。
「フー、凄いじゃない。
これって何処へでも行けるんだ」と、喜ぶアマンダに、「恐らくだが既に行った事が有る所限定と思うよ」
遅い夕食は俺が用意した。
今日は冒険者のものと少し違い、温かいスープにパンと屋台で買ったヒレが手足のように出ている魚と肉と野菜を交互に挟んだ串焼きを2本ずつ用意した。
「さぁ食べよう」
「みんなどうした、フランソワも食べないのか」
「申し訳ありませんが、この魚が気味悪くて。。。」
「何を言っている、今まで何度も食べてきたしフランソワは美味しいと言っていただろう」
「フー、違うんだ。
僕たちは、魚のヒレが気味悪くて、肉の串焼きが有るならそっちが欲しい」
「そう言うことか、フランソワに聞いたがあの時の魚がこれで、ヒレが落としてないだけだよ」
「えっ、あの美味しい魚の正体がこれだったのですね」と、言い目を瞑って魚に齧り付いた。
「じゃ私もいただきます。
食べるとフィリス様のハーレムに入れるのでしょう、頑張ります」と、言い同じく目を瞑って魚のヒレから遠いところを一口食べ「見た目と違い程よい脂の乗りと柔らかさ、とっても美味しいですし、タレが甘辛くて良く合います」と、言いヒレの部分を残して1本最速で食べ終えた。
モニカレイが食べるので、アマンダもアリスも食べ始めた。
スーとメイは肉の串焼きをはじめに食べていたので、残るは魚だけになっていた。
スーは目を瞑ることはなかったが、ヒレから遠いところを食べ、美味しいと言い、ヒレの部分も残さず食べた。
メイはこれは美味しいと言い、意識せず普通に食べていた。
「果実水がなくなったからアマンダ、持っているなら用意してくれないか」
アマンダが用意したものは筒状の木製容器に、桃の果実水が入ったものを人数分用意した。
「これ凄いね、飲み終わっても使いまわしが出来そう」と、感心する俺に「これ凄いでしょう。
マンブール市で偶然見つけたのよ」
「あの、それ私くしが思い付きで商会に作らせた物なんです。
ゴールドクラス冒険者パーティーの皆様に御褒めいただき光栄です」と、喜ぶモニカレイ。
「モニカレイさん、この家といい貴方には驚かされどうしですね。
アマンダ、彼女がハーレム要員になりたいのなら、入れてあげてもいいんじゃないの」と、アリスが言う。
「本当でしょうか、私くしとっても嬉しいです。
決して後悔はさせませんから、アマンダさんよろしくお願いします」
「おいおい、俺には決定権はないのかよ」
「フー、私はもっともっとハーレム要員を増やしたいのよ。
スーの時のように、納得されているなら良いと思うよ」
「じゃ決まりだ」と、喜ぶスーに俺は困った。
俺の家もだが、王国で辺境伯の爵位はほぼ公爵位とほぼ同等、すでに俺の領地は無くなったから、自称貴族の身であって、平民に囲われるお嬢様とかとか、どう考えてもおかしいだろう?
それに俺はこれから女性として生きていくんだからと、俺が軽い気で皆に宣言した。




