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逃亡ー14

ぽつぽつと大粒の雨が降り始めた頃に、リナンズール市に入ることが出来た。

リナンズール市へ入る検問で、二人分60ビィ払いそのまま衛兵から聞いた

宿へ直行した。

運よく宿に入った頃から、雷が鳴り始めまだ昼なのに辺りが薄暗くなり本格的な嵐になった。

部屋は二人で一部屋にした。


「悪いな、フラン。

個室は開拓村出身者には不釣り合いだからな」


「いいえ、兄妹ですから良いんじゃないでしょうか」


「予定としては、ご飯を食べて冒険者ギルドへ行こうと思う。

ギルドでフランのスキルについて調べたいし、冒険者登録をしていると、衛兵にアレコレ問われないからな。

それで良いだろう」


「はい、私は裸を既に見られていますし、同衾も歓迎ですよ」


「いや、同衾をする気はないからな、期待しないでいてほしい」


「それで悪いのだが、昼食は此処で食べる事にした」と、言い俺は干し肉と固いパンと水を用意した。

「悪いな」


「いいえ、私が原因ですし、意外に美味しいですよ」と、微笑むから、罪悪感が余計に募ってくる。

前払いで宿代銅貨で7枚、700ビィ払ったので、手持ちの銅貨の残り少なくなった。

アイテムボックスには、金貨も銀貨も十分有り不自由することは無いのだが。


「ご飯を食べたら、初めにフランの服を買いに行こうと思う。

悪いが古着になるが我慢してくれよ。

それに靴も要るな」


「そんなぁ、悪いですわ」


「今着ているベストの下の服が、不釣り合いなんだ。

気にするなよ、俺のハーレムに入るんだろう」と、笑った。


「でも、申し訳なくて」と、嬉しそうなフランソワなのだ。


「よし!

服を買いに行くぞ。

と、その前に」と、俺は認識阻害を発動させた。


「あっあれ、フー様のお顔がよく分からなくなりました。

どうされたのでしょうか」


「これか、俺のスキルの一つだよ。

俺の顔がよく分からなくなるんだ」


「便利ですね、私くしにも有れば良かったのに、本当に残念ですわ」


俺がフランソワの胸を見ている事に気が付いたフランソワが、恥ずかしそうに胸を二の腕を交差させて隠した。


「あのぅ、どうかなさいましたか」


「あぁ、すまん俺としたことが。

俺が一っ走りしてフランソワの服を買って来るよ。

それで、いろいろ見ていたんだ。

気にしないでくれ」


「私くしは此処へ一人で残るのでしょうか」


「まぁ、そうなるな。

「なるべく早く帰ってくるからな」


「私くしもフー様とご一緒したいのです」


「それはダメだ。

フランソワの着る服が、目立ちすぎるんだ。

早く帰ってくるから我慢してくれ」


「良いか戸締りをして、訪ねて来る者は居ないから鍵をかけて居留守を使え。

決してドアは開けるなよ」


「分かりました、どうか早めに帰ってきてくださいませ」


俺は、宿に入る前に偶然見つけてた古着屋へ直行して、可愛いとか、綺麗に見える服を除外して、中年のおばさんが好むようなくすんだ玉ねぎ色と体の線が分かりにくい、余裕があるデザインの服と同色のスカートを選んだ。

靴だけは目立たないが良い物を選んだ。


帰りに店を再開し始めた屋台の1件で、肉の串焼きを焼いているだけ買った。

屋台でギルドの場所と最近の冒険者のニュースを聞いた。


話の一番初めに出たのが、セイントフォーの行方だった。

何処のギルドもセイントフォーに興味を示しているのがよく分かり、細心の注意をと強く感じた。


宿に帰り俺たちの部屋の前でドアを叩いた。

「俺だ、今帰った」


暫く待つと、コッという音共に解錠がなされフランソワがドアを小さく開けてくれた。

「変わりはなかったかい」


「はい、誰も来ませんが。。。

私くしフー様に捨てられたように感じ寂しかったです」と、言い俺に抱き着いて来た。


「おいおい、前にも言ったように、俺は女の裸は見慣れているが、触られるのは苦手なんだ。

胸を押し付けてくるなよ、もう良いだろう」


「もう少し我慢してくださいませ」



「満足したなら着替えだ。

色々不満だろうが、今はこれで我慢してくれ」と、言って古着屋で買ったものをアイテムボックスから取り出してベッドの上に並べて見せた


「大好きなフー様からの頂物に不満なんてございませんわ」と、喜ぶフランソワは着ている早速服を脱ごうとした。

その心意気は何となく分かるが、慣れないフランソワに着丈が短くなってもワンピースは手強かった。

結果自力で脱げたのは靴だけだった。

見かねた俺が服を脱とした頃から手伝い、ズボンはベッドに座らせたら、なんとか自力で脱ぐことが出来た。

そして全裸になったが、今度は恥ずかしがる事はなかった。


「そうだ、初めは預かっていたパンツだ」と、アイテムボックスから取り出したが脱ぎたての様に生暖かった。

座って穿くわけで俺の手は不要と思ったが、フランソワは手を貸してほしいと言い出したから、肌着も着させたが何とも不思議な娘だ。


新しいというよりも、古着屋で買ったブラウスも俺が手伝った。

スカートだけは何とか自力で穿けたら、フランソワが凄く喜んだ良い笑顔になった。

古着を着て俺の前で一回りしてみせてくれた。

良く似合っていると俺は思うし、それを言うと良い笑顔になった。


遅めの昼食は屋台で売っていた何かの肉の串焼きと、その隣の屋台で売っていたサンドイッチに水を用意した。

フランソワは串焼きが気に入ったようで、あっという間に一本を食べるので、追加でもう一本を用意した。


俺よりも頭一つ分背が高い妹と、考えていると少し可笑しくなって笑ったところ、フランソワに気づかれてしまいしつこく聞かれた。


今度は二人で冒険者ギルドへ行くので、偽名を考えた。

フランソワはフランで良いと言い、俺の場合は偽名で登録できるのかが、不安だった。

冒険者ギルドでは、他の冒険者から特に絡まれるとかはなく、かえって不安になった。


俺の登録名は父さんのベルナーからベルにした。

それにランク上げは考えていないから、特に名に拘りも無いし、ただ衛兵の前をフリーパスにしたかっただけだ。


次はフランソワ、フランのスキルについて冒険者ギルドに在る資料室で調べる心算が、リナンズール市の冒険者ギルドでの保証金が馬鹿高く銀貨一枚と受付のお姉さんが言う。

銀貨一枚位簡単に払えるし痛くもない金額だが、キゼーという開拓村出身という触れ込みなので、困った。

結局諦めた。


あっ、フランソワはフラン名で冒険者登録をした。

二人そろって500ビィを払い見事白磁クラスの新米冒険者になった。

依頼が張り出されている掲示板を軽く見て、不自然にならないよう気を付け冒険者ギルドを出て宿屋へ帰った。


「フラン疲れたろう。

次の町でフランのスキルについて調べようと思う。

保障の銀貨を返してくれるのは分かっているが、開拓村出身では銀貨をポンと出すのは憚られたからな。

期待させて悪かった」


「いいえ、これも全て私のためですから、私の方こそ申し訳ないです」


「少し早いが今からご飯を食べて寝よう。

明日は早いからな」と、言い俺は屋台で買った肉の串焼きと魚の串焼きも追加で用意した。

他は例の硬いパンと水だ。

用意し終わって、果実水も要ると思い、次に立ち寄った街で忘れず買おうと思った。


「フランは魚を食べられるよな。

見ろ旨そうだ」


「私は好き嫌いは無いと思います。

それにベルさんと一緒の食事ですから、何だって美味しいに決まっています」と、笑顔だ。

椅子が1脚しか無いので備え付けの小さなテーブルを動かして、ベッドに二人並んで座り早めの夕食にした。


そして寝る前にもう良いかと思い、「フランソワ足を出せ」

アイテムボックスから、スー特製の紫色をしたポーションを取り出して、「フランソワ、これは秘密だ」と、言い痛そうな傷ついた両足に振りかけけ、すり込んだ。


「持っていた事を串焼きを出している時に偶然見つけたんだ。

どうだ、傷にしみるか」


「いいえ、とっても気持ちが良いです。

それに足の疲れが一気に取れましたし、あれだけ有った傷も無かった様に綺麗に治りました。

このポーションは本当に凄いです。

家にもこれほどの物は有りませんし、私は初めて知りました」と、驚いていた。


「私は何も見なかった事にしますが、本当にフー様は凄いお方なのですね」と、キラキラした目を向けてくる。


「よかった、じゃぁ寝るぞ。

フランソワはベッドを使え、俺は床で寝るからな」


「言いたいことはよく分かるが、ここでは吸血コウモリは出てこないから安心して良いぞ」


「フー様は意地悪です。

私はフー様の腕がないと眠れないかもしれませんわ」


「目を瞑っていろ、眠れるから」


「分かりました。

私くしの傍は何時でも空いていますから、何時でも来てください」

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