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逃亡ー10

評価いただきました。

星5個は初めてでもの凄く嬉しいです。

ありがとうございます。

当初は、次回のエピソードから、週2回の投稿を予定していましたが、「冒険者編」まで毎日投稿することにしました(笑)

それではお楽しみください。

翌朝俺は透明化のスキルを使いアマンダ達と一緒に、朝一番に門を出る冒険者に混ざったマンブール市へ行くアマンダ達を見送った。


残された俺は生まれて初めて一人になり、七日間の一日一日が本当に長く寂しく辛かった。

何時も傍に居て俺に付き添ってくれたアマンダが居ない、初めてアマンダの存在の大きさを知った。

何もすることが無くなり、マンブール市に俺一人で無事に行くことが出来るのか、先の事を考えても仕方がない。

けど、今はすることが無いかと分かっていても、ついつい考えてしまう。

毎日こんな後ろ向きな事ばかり宿で考えて、ついに7日目が過ぎた。

出発が一日遅れたことで、宿の方には夜明け前に出ると伝えていたので、朝一番の開門に合わせて数少ない冒険者の列の最後尾に何時もの様に認識阻害スキルを使い混ざった。


開門までの待ち時間によく辛抱できたと、自分を褒めた。

なるべく主要街道から外れるルートでマンブール市を目指した。


主要街道を外して目指すのでマンブール市に着くのは20日を予定している。

焦らず急がず自然を装い、街道ですれ違う商隊を守る護衛の冒険者には、認識阻害を常時使い細心の注意をはらった。


王都の冒険者ギルド本部所属の冒険者には顔が知れているから、そこからアマンダ達の行き先が知れてしまうからだ。

あの時も王都の冒険者ギルド本部で目立たないように観察すると、セントフォーに対するギルド職員のしつこい慰留の対応を考えると、今にして思えば不安しかない。

ゴーコス大陸内で5組しか居ないゴールドクラスの冒険者パーティー、王都本部に2組しか所属しないゴールドクラスの冒険者パーティーの一つが抜けるのだから、少々強引なのも納得できるが、それでもあのしつこさを思い出すと不安が残る。


俺の場合は単にゴールドクラスの冒険者なので、何処へ行くのも届は必要ない。

王都本部に所属するゴールドクラスの冒険者も、俺が知る限りでは15人は居ないはずだ。


地理的に初日の夜は野営になった。

街道をわずかに下ると小川が流れているので、その水辺で薄暗くなる前に用意しているパンと温かいスープ、ボアの串焼き2本と野菜サラダと、普通に冒険者が食べる干し肉や固いパンとは違い豪華になった。


パンと野菜サラダは、家の地下避難部屋から持ってきたもので、本当にルーベリーには何度感謝してもし足りない。

パンとサラダを食べていると、不思議と涙が出てきた。

俺が涙を流すと、それを見る姉のシーインが、女々しいと言ってきたが、その都度女々しいのではなく、涙脆いだけだと言い返したことを懐かしく思い出した。


食後は街道右側から少し下り草原に入ると、その先に良い感じの林が有り、その中の一本の大木に登り、枝を利用して枝の間に魔物捕獲用の網を張り眠った。


この野営のしかたはアマンダから学んだ。

当初の目的は街道沿いの町で宿をとる予定だったが、大木の枝を利用して寝るのが気持ちが良く、天気の悪い時だけ宿に泊まった。


食料は家から持って来た物もまだ十分有るし、途中の町で色々買い足し不自由はないので、干し肉と湯の様なスープと固いパンは食べる事はなかった。



丁度マンブール市への中間地点にあたるスコット領に入った時だった。

街道を封鎖すかのように何処かの貴族の私兵と思しき者等が屯していた。

馴染みのな家紋が描かれた鎧が無ければ野盗の様に纏まりがない、30人ほどの集団が臨時の検問を始めるように見えた。


僅かな時間で、商人から市民の列ができ始め、不思議な事に冒険者も例外ではなかった。

俺は目立たずコッソリと列から距離を取り透明化のスキルを使い、街道からすぐ下の谷に降りて、検問を交わして先に進んだ。


急カーブを曲がったその先は、街道脇に天幕が3張り有り警備の兵が8人が見えた。

また街道を外して深くなった谷に降りて、その天幕を交わしそのまま街道下の草むらを進んだ。

見上げると3張りの天幕の上部が見える谷底は、思ったよりも歩きやすく、こっちを街道にしてもいいくらいだと俺は思った。


その谷は緩い上りになり、次第に街道から外れるから気が付くと急な崖を登ることになって、街道に戻るのを諦めてそのまま歩き続けた。

その日は良い感じの大木を見つけたので、早めの夕食をとり大木の上に登ってその日は眠ることにした。

その時に枝や葉の隙間から遠くに街道を見ることが出来たので、このまま進むと何れ街道に出られると思った。


昼前に街道が近くになったと地形で知ることが出来た。

と、同時に近くでキンキン、カキンと剣を打ち合う音ともに、怒号と悲鳴が聞こえてきた。

無視して先に進もうと思ったが好奇心に抗えず、争っている方に自然に足が向いた。



近くで怒号や悲鳴が聞こえた割に現場までは意外に遠くて、様子を見に行った時は、林と草原の際に豪華な馬車を守る護衛と襲撃者達が馬車を囲んでいた。

馬車の周りには、馬車を守って切られた死体が12人は転がっている。

状況から馬車を守る護衛の方が人数的に不利に思えたが、誰が乗って居るのか興味でて、透明化のスキルを確認して近づいてみた。


馬車に近づいたその時御者が、命に代えてもお嬢様をお守りしろと、護衛の兵に檄を飛ばした。


「そうか、やはりこっちが正解だったのだな。

お嬢様を素直に渡すなら助けてやっても良いぜ」と、襲撃者のリーダーらしい男が嫌らしい笑みで交渉を持ちかけた。


人数だけが多い襲撃者の方も、護衛の強さが予想外で今は決め手に欠ける状態だ。

犠牲を覚悟に多人数で押し切る事は出来るが、リーダーはしたくないように感じた。


にらみ合いが続くので、俺は後ろから馬車に近寄り、周りの様子を見てゆっくり車内に入った。


車内は紫色に変色して横たわるメイドとお嬢様と呼ばれた娘が、緑色をした液体で満たされたティーカップを持って、紫色の泡を吐き苦悶の表情をするメイドを震えて見ていた。

直ぐに液で満たされたティーカップを持つ手は激しく震えだし、ティーカップから零れ残りは二割くらいと俺は見た。


そこで、俺は透明化のスキルを解除して「助けるから驚かないでほしい」と、娘に向かって言い、唇に人差し指をあててみせた。

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