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病院での戦闘

がん鉄、佐々木、ライフルマンの三人が、椅子に座っている木山と対峙していた。


木山は無造作に机の上にある包みを放り渡す。


「薬は無事にガバメント病院へ届けられた。これが報酬の五百万だ」


三人がそれを受け取ったのを見計らい、木山が静かに続ける。


「もうひと仕事あるのだが。反政府軍のリーダーを捕らえるか、あるいは殺せば、一人につき一千万払おう」


がん鉄が勘ぐるように聞く。


「竜とさくらの変態コンビはどうした。ここにいないが。まさかお前が殺ったのか」


「奴らは反政府軍に寝返ったよ」


「なぜだ?」


「知るわけないだろ」


納得できてはいないようだが返事はした。


「そうかい」


がん鉄は包みを懐にしまい、冷ややかな視線を木山へ向けた。


「木山さん、少し調べさせてもらったぜ。あんた、賞金稼ぎ時代に仲間を政府に売ったんだってな」


木山の目が、がん鉄を見据える。


「政府に盾突く者は、たとえ仲間であっても通報する。国家反逆罪だからな。何か問題があるか?」


「金のために売ったんだろう?」


口を挟んだのはライフルマンだった。


「病気の妹がいるらしいな。その治療費を稼ぐためなら仲間を売るんだろ。そんな奴は信用できない、と言ってるんだ」


木山の顔色が豹変した。彼は椅子を蹴って立ち上がり、ライフルマンの胸ぐらを掴み上げる。


「どこで妹のことを知った!」


「図星か」


「やるのか、やらないのか、それだけを言え! 金ならいくらでも出す、あのリーダーの首さえ獲れるならな!」


木山が指を二本立てた。


「二千万だ。一人二千万! ついてこい。相手は反政府だ!」


がん鉄が人差し指で頬を掻いた。


「俺は賞金稼ぎだ。金さえ積まれりゃあ、賞金首を殺すことに躊躇はない。だがな、あんたが俺たちに嘘をついたとわかった瞬間、この契約は終わりだ」


佐々木も静かに返答する。


「私も金には興味があります。ですが、あなたが裏切ったなら……その時は、あなたを殺します」


「ああ、好きにしろ。目的はリーダーの抹殺、それだけだ」



◇◇◇◇◇



二日後。


木山、ライフルマン、佐々木、がん鉄の四人は、反政府リーダーが潜伏するビルへの道なき道を、気配を殺して登っていた。


木々の隙間から、修復だらけのビルが見えてくる。


木山がライフルマンに顎で合図を送ると、彼は巨大な木の後ろに身を隠し、静かに銃口をビルへと向けた。


その時、ビルのドアが開いた。


先頭に現れたのは竜。その後ろから、二メートル近い鋼鉄の棒を携え、ターバンで顔を隠したネプチューンが姿を現す。


木山たちは反射的に近くの木へ身を隠したが、竜はビルの前の林へ向かって声を上げた。


「殺気が漏れてるぜ。相当な賞金が懸けられたようだな。出てこいよ」


佐々木、がん鉄が姿を現す。


竜は彼らを見つけると、旧友に再会したかのような軽い口調で言った。


「そっちは下り坂で不利だろ。登ってこいよ、遊んでやる」


がん鉄と佐々木は左右に散り、斜面に沿って駆け上がってきた。


ビルの前、車がようやくすれ違えるほどの狭い道で、がん鉄が竜と対峙する。がん鉄は嬉しそうな声を出した。


「一度あんたとやり合ってみたかった。噂通りかどうか、試してやるよ」


がん鉄の両手には、指先が鋭利に尖った鋼の手甲が嵌められていた。西洋甲冑の篭手のようだが、その手刀は致命傷を負わせる。


一方、ネプチューンの前には佐々木が立ちはだかった。


「馬上では不覚を取りましたが、ここではそうはいきません」


佐々木が左右の手に持った二本の投網を旋回させ始めると、ネプチューンもまた、鋼鉄の棒を肩幅の広さで持つ。棒術の構えだ。


竜とネプチューンは背中合わせのようになった。


がん鉄が腰を落とし、軽く両手を広げ、拳法家の構えを取る。対する竜は、右手を背後に回したまま動かない。


先に動いたのはがん鉄だった。竜へと走り出す彼に対し、竜は背中の右手を振り、リボンスティックからリボンを放つ。


リボンはがん鉄の胸元を突き抜けるかと思われた瞬間、生き物のように軌道を変え、大腿へと襲いかかった。


がん鉄は前傾姿勢になり、手甲でリボンをすくい上げるように弾き飛ばす。


「刃先が当たらなきゃ、俺は斬れねえぜ!」


地を蹴り、跳躍したまま右足を繰り出すがん鉄。


竜がリボンスティックでそれを受け止めようとした瞬間、がん鉄の靴先から隠しナイフが飛び出した。


竜は辛うじて首を傾け回避したが、頬に赤い線が刻まれる。


着地と同時に、がん鉄の鋭利な手刀が竜の喉元を襲う。竜はリボンスティックの柄でそれを右へ受け流すと、大きく後方へ跳んで距離を取った。


竜が片側の口角を吊り上げ、太く笑う。


「ネプチューンさん! こいつは手加減抜きだ。本気でやらなきゃ殺される……悪いが、約束は守れそうにねえ!」


ネプチューンの声が竜に届いた。


「目の前では殺さないでくれ!!」


「綺麗事じゃ収まらねぇ!!」


竜の体は、高速回転するリボンで見えにくくなる。


突きも蹴りも入れられないがん鉄は、後ろへ下がり、身構える。


竜のリボンががん鉄の腹部へ伸びる。

それを、再び鋼鉄の甲でリボンの平らな面を受けて跳ね上げる。


竜の笑い混じりの声が、がん鉄の耳へ届く。


「終わりだ!!」


リボンは、がん鉄の頭上で止まっていた。


蜂が刺すように、がん鉄の頭へと突き刺さる寸前、

「殺すな!!」

という絶叫と共に、カツンという音が鳴る。


ネプチューンが、自分の鋼鉄棒を放ち、竜のリボンを阻んだ。


がん鉄は後ろへ飛び距離を取る。


ネプチューンは、何度も叩き落としていた佐々木の投網に捕まってしまう。


その時、ライフルマンはネプチューンの頭部に狙いを定めて撃った。


倒れるネプチューン。


よくやった、と木山の声が響き渡る。

呟く木山。


「土下座の屈辱を払ってもらうぞ」


ネプチューンに近づき、確認しようとした木山は感じ取った。


「お前! 生きてるな!! クソッ!!」


ビルのドアを目指す木山。


ネプチューンは超音波で網を破り、木山を止めるために追いかける。


木山を止めようと、竜の放ったリボンをもかいくぐり、ビルのドアを開けた。


病院であるビルの中に入った木山は左右を見回し、近くのベッドに寝ている男の子の頭部へ銃を突きつけた。


竜とネプチューンは、前方にいるがん鉄と佐々木を警戒しながら、少しずつ後退し、病院の中へと戻っていく。


がん鉄と佐々木は、並べられたベッドの患者が目に入った。


木山がネプチューンを恫喝する。


「もう、病院ごっこは終わりだ。おとなしく死ね。拒めば、患者全員を射殺する」



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