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ご飯はみんなで食べような!

「———よし、死んだな!!」


ターゲットを殴り殺した紅は、快活に笑った。


「頭、カッコいい〜」

「さすが俺らの頭、シビれる〜」

「そうだろうそうだろう!もっと褒めていいんだぞ!?」


仲間に囃し立てられ、赤井紅は胸を張る。その胸には———べっとりとした返り血が、張り付いていた。

紅が頭を務める紅蓮炎フオシエは、いわば行き場のない少年少女達の集まりであった。

子供には、手を出さない。

それを至上命題に掲げているので、黄船や青山のところより実入りはかなり少ない。その日の食事に全員ありつけるか否か、といった懐事情だ。

そんな紅蓮炎にも仕事を回してくれる奇特なヤクザのおかげでなんとか今日も仕事をこなし、紅は仲間達と廃墟———を、修繕した『家』へと、帰る。

この家は先代が死に物ぐるいで購入してくれた家で、30人が住んでもまだ部屋にはあまりがあるほど、広かった。

———雨風が凌げるだけマシ、といった風体だが。

そんな家へと数人の仲間と帰ってきた紅は———一番の『新入り』に、出迎えられた。


「こーにぃちゃん!おかえり!!」

「おう!ただいま!!純正じゅんせい!!」


紅を出迎えたのは、白い髪に青い瞳が特徴の、日本人離れした少年であった。

その少年は人懐っこい笑顔を浮かべて、紅へと抱きつく。腹のあたりに温かい頭がぶつかり、紅はいささか乱暴に、その頭を撫でてやった。

———撫でてやるその手には、まだ乾き切っていない血がついていた。


「お前も、もう慣れたか?ここに来て二ヶ月経つもんな」

「うん!!ご飯の準備も、僕手伝ったよ!!今日はね、お肉と野菜のスープだよ!……お肉は少なめだけど……」

「そーかそーか!作ってくれてありがとな、純正」

「かしら〜!!俺も手伝ったよ!!俺も撫でて〜!!」

「頭、私がほとんど作ったの……褒めて」

「おーー!みんなみーんな、偉いな!褒めてしんぜよう!!」


紅は———先ほど人を殴り殺した手で、優しく子供達の頭を撫でる。

少年少女達は、その手を喜んで受け入れた。


「紅、いいから早く飯にするぞ中入れ」

「シロ。いつも留守番ありがとなー」

「俺は戦力にならないからな。飯作るぐらいしか役に立てない」

「何言ってんだよNo.2!!お前がいなきゃ、紅蓮炎は回らねーっての!!」


紅はそう言って、シロと肩を組んだ。

二人は———同時期に紅蓮炎に入り、今ではこのチームのトップと副官という立場で、名実共にニコイチの関係であった。

そんな二人は様々な家族に迎えられ、食卓につく。

少ないながらも温かい食事に、『夕飯はみんなで一緒に食べる』というルールのもと、全員が食堂で着席する。

そして、紅が言うのだ。


「んじゃ!今日もみんな、おつかれさん!いただきまーす!」


いただきまーす!と、仲間が唱和する。

そして、それぞれがスプーンを片手に、今日あったことを語り合いながら食事をする。

そんな幸せな光景を見て、紅は明日も頑張ろう。と、思えるのだ。


「こーにぃちゃん。みんなで食べるご飯、美味しいね」

「そうだろう純正!!これからも、みんなで晩御飯、食べような!!」

「……うん!!」


幸せそうに笑う紅蓮炎の、日常風景だった。


「———あらあ……これは……あきまへんなあ」


どうせ渇探流は巻き込まれるだろうと踏んで、黄船は既に、独自でこの事件の捜査をしていた。

そして見つけたのが———この、大量の、影。


「本体が消えたら、影も消えるんとちゃいますの……?」


そんなふうに、影を観察している黄船の前で———『影』が、動きだした。

明らかに意思を持った動きで、黄船へと、大量の影が迫る。


「ちょっ……!?まってぇな……!!」


黄船は咄嗟に———照らしていた、スマホのライトを消した。

すると、暗闇が辺りを包み、もちろん、影も見えなくなる。

黄船はそれでも警戒を緩めず、路地裏から大通りへと飛び出した。

すると、そこには———


「ギャハハハハ!!お前消えてんじゃねぇ———か?」

「本当に影だけ残って———んっ?」

「……おもしれーーー!!影だけが、動いてるぞ!!」


大通りを歩き、踊り狂う———大量の『影』。


「……これ……無害なん……?」


黄船は、とりあえずその光景を動画で録り———その影が害を与えるのか、否かを、調べ始めた。


「……さっきまで、『影の数』、こんなに多なかったやろ……?」


しかし、一つだけ、確実なのは。


「『影』の本体は、余さず消えとる———いうことやな」

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