3-1.残滓
3-1.残滓
時は戻って、デリヴァらが山賊を撃退した日…。
オイダの街では、オブリスらの報告を受けて、警備隊が峠まで赴いた。賊を牢に入れ、警備隊は、数日取り調べをしていた。
「ヴェルス隊長、山賊が夜、泣いたり震えたりします。毎晩です。」
堀の深い長身の男が振り向いた。
「どういうことだ?」
「やれ、バーサーカーが来るとか、口裂け女が襲って来るとか。ありもしない怖い夢を見るようで。」
「取り調べをしても証言がまちまちだよな。マクシム、お前はどう思う?」
「はい…。あの、龍の咆哮と言う威圧魔法の残滓ではないかと。よっぽど怖かったのでしょう。」
「そうか…。」
「それとですね。」
「どうした?」
「ちょっと気になることが…」
「言ってくれ。」
「オブリスらのパーティは6名と、治癒師のデリヴァというのがいましたよね。後は行商人。」
「そうだったな。」
「どいつもこいつも、エルフは魔法使いだった。6人だったっていうんですよ。もしくは、7人目のことはバーサーカーだとか口裂け女とか一致せずデタラメなんですよ。」
「ああ、俺も調書を見る度にあまりにも不一致が酷いと不審に思ってた。」
「そのデリヴァだけ、消えるか、怪物に置き換わってる、ということだよな?」
「はい…。」
「バーサーカーや口裂け女がいたとして、素通りさせたとなると警備隊の責任を問われる。山賊が恐怖のあまり記憶の混乱を起こしてるだけなら良いが、『まともな』人間の証言が欲しいな。」
「はい。行商人のロイなら、捕まるかと。時々行商に来ていますから、ギルドにことづけておけば顔を出してくれるでしょう。」
「あくまでも依頼だからな。丁重にな。」
「承知しております。オブリスらはどうしましょう?ダンジョンに挑んでいるはずですが。」
「常宿を探して女将にことづけておこう。その内連絡をくれるだろう。」
「かしこまりました。」
そして、数日、
「ごめん下さい。行商人のロイですが。」
髭面が訪ねて来た。




