4-5.余波
4-5.余波
夕食時となった。
「あの…。」
おずおずとニコラが伯爵に尋ねた。
「あの猫の獣人はどうなったのでしょうか。」
「ああ…。王女暗殺未遂は重罪ですから。衛兵に引き渡しましたよ。当家が手を汚すこともありませんし。」
「そう…なんですね。」
「法を以て処理されるでしょう。」
モーンゼーンは淡々と言った。ニコラは視線を落とした。ロミルダ婦人も黙々とサラダを口に運んでいた。
その時、ことり、と音がした。
「申し訳ございません。」
ラヘルがニコラのスープをこぼしてしまった。粗相をしたからか青い顔をしている。デリヴァは少し眉を上げてラヘルを見た。
ルイザが布巾を持って駆け寄ってきた。
「大丈夫よ。服は汚れていないもの。」
ニコラが努めて明るい声でフォローした。
「ありがとうございます。」
「さ、ラヘルさん、私達が拭いておきますから。少し下がってお水でも飲みましょう。」
ルイザは、恐縮しているラヘルの背中に手をやってさすると、そういってラヘルを下がらせ、さっさと布巾でテーブルを拭いた。ラヘルは何度も頭を下げて下がっていった。その肩は小刻みに震えていた。メイド達はテーブルを整え直すと、何事もなかったかのように下がった。
それを見て、デリヴァはいつものごとく串焼きをかぶりつきだした。
「やっぱり、何度食べても串焼き肉は美味しいです。」
それを見て場はまたほころんだ。食卓は再び和やかな談笑に包まれ、ロミルダ夫人やザシャも話に加わり、和気藹々と夕食が進んだ。
デリヴァも失敗談などを織り交ぜて、みんなを笑わせていた。
「やっぱりツルツルは使いどころが難しいですね。捕縛する警備員や兵士もすってんころりんと転びまくってしまいまして。賊は逃げることも出来ないのに、味方も敵を捕まえることが出来ず…。あちこちで打ち身が発生したことがあります。」
「賊を無力化して頂いた以上、文句も言えませんしな。あっはっは。」
モーンゼーン伯爵も腹を抱えて笑った。
食事を終えると、ニコラの部屋にデリヴァが訪ねてきた。
「3日以内にもう一度襲撃があると思います。それも、おそらく今夜。」
ニコラとザシャが息をのんだ。




