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結婚したのに6年間無視され続けた私、本当の理由 〜原作にいない貴族令嬢は世界を変える〜  作者: 唯崎りいち
第三章 静かなる聖地、それは光

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もう隠れられない

 アイゼルが、私、クレアを抱きしめてる。


 ここは聖都ヴァティウスの湖に浮かぶ聖地のど真ん中。


 ここに来るまでに見つからないようにどれほど苦労してきたのか。


 朝から私は、帝国側の騎士のレオンハルトに一目惚れされた女の子の振りして聖都ヴァティウスを歩き回って、聖地まで来るためにボートに乗れるようにした。


 その前からずっと正体を隠して、私はクレアなのにマーシャルのフリで、アイゼルはルークのフリをしてきた。

 要塞都市フェルゼンを出てからずっとだ。


 私はとマーシャルの髪色は違わないからほとんど変装なんてはいないけど、アイゼルとルークは金髪と黒髪だ。


 しかもどっちも人を惹きつけすぎる美青年だから、アイゼルは黒髪のカツラを被って、マスクとフードまでして、自分の姿を隠してた。


 なのに!


 今はフードもマスクも取って、髪も金髪の本当のアイゼルがいる。


「どうして、こんな事したの!?」


 アイゼルが聖地の炎に魔力を与えたのは見ていた。

 炎が燃え上がって、水柱が立ち上がって光が霧を晴らした。


 ド派手な事が起こっていた。


「魔力が切れてたから追加したんだ」


 聖都ヴァティウスに魔力が足りないんじゃないかと言うのは私もずっと気になってたことだけど……。


 そんな簡単に追加できるものなの……。


 見るとアイゼルがペンダントを持っていた。


 魔石の部分が灰色のなってただの石ころもみたいに見える……いや、実際に石ころなのだろう。


 前に見せてももらった時にはもっと複雑な色の変化いせてくれていたのに……。


 これは、皇帝がターニアが自分の子供である証にアイゼルに送った魔石で、街を一つ破壊できるくらいの威力があるって言っていたものだ……。


 アイゼンがターニアから話して、この旅の持ってきていると聞いてドン引きした奴。


 皇帝の部下である騎士のレオンハルトがアイゼルを導いて、アイゼルがここでその皇族しか扱えない魔石を使うって……。


 “信じている”


 ズキッ!


 胸が痛んだ。


「あ……!」


 つながっているの?


 アリシアがレオンハルトに託した“信じている”って言葉。


 皇帝がターニアを通じて、アイゼルに託した魔石……。


 原作にない聖都ヴァティウスの魔力現象に対して、知っていて対処しようとしている人がいる。


 それは——、


 アリシアなの?


「どうしたの? クレアちゃん」


 アイゼルの顔を覗き込まれた。


 金髪のアイゼルを陽の光の下で見るのは久しぶりだった。


 辺境の城砦の庭園の東屋に一緒に座っていた時の事を思い出す。


 ただ、私はアイゼルに好きって言いたいだけだったのに——。


 いろいろな事が変わってしまってる。


 原作のヒロインのマーシャルの代わりにこの物語を終わらせる……その決意は変わってないのに、どうすればいいんだろう?


 二年前の時点でこんなにズレてしまったら、結末はどうなってしまうの?


 私は涙目でアイゼルを見ていた。


「ごめん、クレアちゃん。クレアちゃんは教会に狙われたのに。居場所がバレたら怖いよね」


 アイゼルに言われてハッとした。


 そうだ直近では私を襲った犯人を捕まえるために教会の来たのに!


 アイゼルの持つ皇帝と同じ血を絶つために、アイゼルの子供を産むかもしれない私が狙われた。


 ホムンクルスの治療を受けた後のルークを操って私を襲わせたのは教会の関係者で、司教とかもっと上のクラスの人なんでしょう?


「こんなに派手に魔力を使って正体をバラしたら、犯人が襲いに来るんじゃないの……!?」


 私が怯えると、アイゼルはもっと強く抱きしめてくれた。


「大丈夫だよ。聖地の魔力の詰まりを直したのは皇帝の力だったんだ。教会側に皇族の血を即絶やそうって考えは無くなった」


「……そうなの」


「今回のペンダント自体の魔力には聖地で生み出される魔力の代わりが出来るほどの量がないんだ。聖地の元々あった魔力のつまりを解消して流れを良くしただけ」


「詰まりを直したなら魔力は聖地から湧いてくるんでしょう? なら何ももんだないんじゃないの?」


「つまり自体の原因がなんなのか分かっていないから、また詰まる。その時にはまた僕らを頼らなければ直せないんだ。血筋を絶やす事が教会側でできなくなった」


「え……」


 そう言う事なの?


 教会と帝国が争わずに済むならいいことだけど……。


 原作ではやっぱり教会と帝国は争っているから……争いの火種を消してはいけなかったのでは……!?


 私はより一層、顔を険しくした。


「信じてないの?」


「……」


 信じられるから、困っているのよ。


 原作と違いすぎてしまったらどうなるの?

 

 深刻な顔をしてる私の様子にアイゼルは不満みたいだ。


「教会も一枚岩じゃないから、完全に危険がないわけじゃないけど」


 ああ、そうか、最初から教会が一枚岩って話ではなかったし、原作でもそうだった。


 それなら、原作から大きくでそれてはいない。


 最初から、原作でも教会の一枚岩で皇族を排除しようとする動きじゃなかった。


 黒幕のルシアンと結びついていたのは、一部の教会関係者だった。


 とりあえずは、原作を変える状況にはなっていないか……。


「ところでアイゼル、どうしてここにいるの? ボートにはギリアムと乗るはずでしょう? でも、ギリアムはミアを迎えに来て一緒にボートに乗ってつんだった……」


 どうやってここに来たの?


「姿を隠す魔法と転移魔法を使って、クレアちゃんのボートに移動したんだ」


 そういえば私、気絶して……。


「あれは、本当にアイゼルの声だったの!? び、びっくりするでしょう!?」


「クレアちゃんは、喜んでくれると思ったのに。レオンハルトと一緒じゃ嫌だったろう?」


 レオンハルトはボートの上に一緒に乗ってる。


「い、嫌じゃないわよ」


 本人が目の前にいたら嫌でもいえないけど、本当に嫌じゃなかった。


「え……?」


 アイゼルが笑顔を貼り付けていいてくるけど、ボートに一緒に乗るくらいで、嫌も何もない。


「わぁ」


 アイゼルが私をもっと強く抱きしめる。


「……俺とマーシャル——クレア様は一目惚れからの恋人同士って事でボートに乗り込んでいたんですよ。後から乗り込んで来たアイゼル様が不審人物です」


 レオンハルトがアイゼルを逆撫でするようなことを言ってる。


「……レオンハルト」


「ほら、ボートでお迎えが来ました」


 見ると私たちがいる聖地に向かって、教会の騎士や関係者の乗ったボートが無数に近づいてくる。


 アイゼルと私とレオンハルトはそのボートに引っ張られて、大聖堂に行くのだった。


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