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結婚したのに6年間無視され続けた私、本当の理由 〜原作にいない貴族令嬢は世界を変える〜  作者: 唯崎りいち
第三章 静かなる聖地、それは光

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恋を装い、聖都を探る

 私、クレアは聖都ヴァティウスを、教会を守るために派遣された帝国の騎士レオンハルトと一緒に歩いていた。


 私の侍女のミアも一緒だ。


 私に話があるからと、レオンハルトが私に一目惚れしたという設定で連れ出したのだけど、肝心の話というのはまだ出ていない。


 アリシアの話を聞かせてもらえると思っていたんだけど……。


 多分、湖に浮かぶ聖地に行くボートの上で話してくれるんだと思う。


 今は、聖都ヴァティウスを案内してくれているんだし、ちゃんと聖地の様子を見ておこうと思う。


 ここは、アイゼルと敵対する教会の本拠地なのだ。


 ただ、今は、それより気になることがある……。


 聖都の魔力の減少……それによって周辺の街や村から魔力が命の源のホムンクルスが連れてこられている。

 ホムンクルスは教会が使役する魔法生物で、魔力の減少により聖都で使役する分の数が用意出来なくなっている……そう言う予想を立てているんだけど……。


 レオンハルトに案内されている市場では働いているホムンクルスはいないけど、大聖堂内のホムンクルスがお使いにきていた。


 あまりに美しすぎるホムンクルスの姿は、目の端に入っただけでも目を止めてしまう。

 多くの街では、大通りを歩くと教会の使いのホムンクルスに目を奪われるものだった。


 ここしばらく近隣では見かけていなかったけど、聖都ヴァティウスにはちゃんとホムンクルスがいる。


 ホムンクルスを見かける数は他の街よりもかなり多い印象だ。

 やっぱり、近くの街から連れて来られているのかも……。


 魔力の減少自体はこの世界が避けられない自体だけど……。

 目に見えて影響が出てるのはどうして……?


「ホムンクルスが気になりますか? 他の街に比べて多いですからね」


 レオンハルトが言う。


「帝都よりも多いんですか? レオンハルト様は帝都にいた騎士なんでしょう? 帝都の最近の事情にもお詳しいんですよね?」


 私はレオンハルトを質問攻めにしていた。


 魔力の減少は聖都ヴァティウスだけの問題なのか?

 元々魔力が減っていく世界なのだから、世界全体から魔力がなくなっているのではないのか?


 元々、魔力が少ない辺境に住んでいた私たちが知らないだけで、急激な魔力の現象はこの世界全体の問題だったのかもしれない。


「俺はこの二、三ヶ月前から帝都から、聖都ヴァティウスに来ましたが、ホムンクルスは教会が作っているものだから、聖都ヴァティウスの方が帝都よりもずっと多いですよ。オートマタの人気が落ちて有力貴族の家では教会から派遣されたホムンクルスが使われるようになって、帝都でも昔よりはホムンクルスは増えてはいますけど」


 人体の一部の魔力を注いで作られる魔法生物のホムンクルスを、増やせる程度のは帝都には魔力がある。

 聖都には魔力切れで減ったホムンクルスを増やせるほどの魔力はなくなってる……。


 私の知ってる原作にはない現象……。


 胸の奥の不安の種を揺らす。


「レオンハルト隊長!」


 そんな風に声をかけられた。


 レオンハルトは帝都では中央門番隊の副隊長だと言っていたけど……。


「まさか、騎士たちが噂していた事は本当だったとは……! でも、こんな麗しい人に相手されるわけありませんよ。うちの姪が隊長が帝都に戻る際はぜひ一緒に行きたいと言っているのは、お忘れなく」


「いや、店主、君のところの姪はまだ14歳だろう……」


 いかにも商人という感じの男がレオンハルトと親そうに話している。


 けど、14歳の姪って……。


 どう見ても24歳の私よりレオンハルトは年上に見えるのに……。


 後ろで聞いていたミアもレオンハルトに不審な目を向けた。


「……あれはヴァティウスの食料品店の店主だ」


 商人と別れた後にレオンハルトが私たちに説明する。


「14歳の姪っていうのは帝都に憧れていて、独身の有力な男には誰彼構わず押し付けようとするんだ……」


 レオンハルトは困ったように頭を掻いている。


 実際に困っていそうだけど、一目惚れした相手に言い訳している風にも見える。


 レオンハルトがモテない事が知られていて、一目惚れした女性と思い切って出かけていても怪しまれない下地はあるんだ。


 午後にボートで出かけても不思議に思われないと思う。


 ただ、私とミアがレオンハルトを不審人物を見るような目で見てしまった。

 14歳と聞いたら流石に犯罪の匂いしかしない。


 でも、誤解だったわけだし、にっこり笑ってレオンハルトの横を歩いた。

 私が嫌がっているようだと、後からボートに一緒に乗っているのを見られたら不自然だし。


 ……でも、今私はマーシャルの振りをしているけど、マーシャルも18歳なのよね。

 ……14歳とそう変わらない気がする。


 でも……城塞都市フェルゼンで商売をしているって設定をトーマス司祭の前で作ったり、実際のマーシャルとも違う人物になっているのかも……。


 レオンハルトは味方とみなしてもいいけど、別のマーシャルとルークを知る人に会ったり、マーシャルとルークとして出会う日違う増えると、色々と辻褄が合わなくなる。


 アイゼルはこういう事にも慣れてそうだけど、私はそうじゃない……。


 レオンハルトの腕を取りながらそんな事を考えていた。


「マーシャル……くっつきすぎじゃないか……。今日会ったばかりなのに……」


「……これでくっつきすぎっていう人が、その日のうちに一目惚れしたからってボートになんて誘わないでしょう……」


 私とレオンハルトは小声で話した。


「確かに……な、怪しまれてボートに乗れなくなったら困る……」


「ボートって観光用でしょう? 乗れないことがあるの……?」


 レオンハルトが急に私を抱き上げた。


「午前中ずっと歩き続けて疲れたでしょう、昼食を食べに行きましょう!」


 くっつきすぎって言った人と同一人物とは思えない、急なお芝居の再開。


 私の質問が危ない領域に入ってしまったみたいね……。


「レオンハルト様……私を、素敵なお店に連れて行ってください!」


 なんとなくレオンハルトに合わせて言ってみたけど、私のセリフ、不自然だったかも……。


 レオンハルトに抱えられて、見下ろしたミアが呆れた表情をしていた。


 今の状況は恥ずかしいかも……。


『確かに……な、怪しまれてボートに乗れなくなったら困る……』


 という可能性がある以上は、今のまま行くしかないのかも……。


 でも、私とレオンハルトがボートに乗れても、アイゼルたちが合流できない可能性もうあるの……?


 何も聞けないけど、不安になってきた……。


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