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結婚したのに6年間無視され続けた私、本当の理由 〜原作にいない貴族令嬢は世界を変える〜  作者: 唯崎りいち
第三章 静かなる聖地、それは光

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恋を装う騎士

 僕、コリンはクレア様の後をダリルとつけている。


 聖都ヴァティウスの食堂で朝食をとっている時に乱入してきた帝都の騎士のレオンハルト。

 現在は帝国から聖都ヴァティウスに派遣された騎士たちの、聖都ヴァティウスでの守りの責任者になっている。


 アイゼル様に昨夜会って、すでに一応の信頼を得ている人物だ。


 ただ、クレア様を連れ出すとなると話は別だ。


 レオンハルトがクレア様に何か囁いて、クレア様が同意してついて行ってはいるが……。


 アイゼル様は相当に警戒していた。

 レオンハルトと言うか、クレア様に近づく者には大体こんな感じになっているが。


 クレア様が同意した内容はわからない。


『あなたに一目惚れしてしまいました。どうか、今日一日は私に付き合っていただけないでしょうか?』


 と、レオンハルトが言ったのは表向きの理由で、別の理由があるんだろうけど……。


 アイゼル様は面白くないよなぁ。


 アイゼル様を落ち着けるために『アイゼル様が呼び込んだ事態ですよ』とギリアムが言っていた。


 そう言うことがわからないアイゼル様ではないけど……六年間もクレア様を遠ざる生活を余儀なくされて、やっと無視する事をやめられたのに。

 今はルークとマーシャルって別人になりすましたり、クレア様を純粋に愛する事を止められてる。


 アイゼル様が時より見せる溺愛しすぎな行動は仕方ないと思うんだ……。


 僕だって、まだ数週間なのに、辺境に残してきた妻と子供に会いたくてたまらなくなるし……。


「コリン、ちゃんと見てるか」


 ダリルに声をかけられる。


「見てるよ……。でも、大丈夫じゃないかなぁ。レオンハルトがクレア様に危害を加える事はないでしょ」


「その油断がダメなんだ……。レオンハルト以外に危険ないとも限らない」


 ダリルが言う。


「でも、レオンハルトを出し抜いてクレア様に危害を加えられる奴はいないだろう?」


 帝都の中央門番隊の副隊長だ。

 レオンハルトを出し抜けるとしたら隊長クラスだし、クレア様を連れ去るって条件をつけたら隊長でも無理な気がする。


「レオンハルトが連れ去る側の仲間だとも考えられるだろう」


 ダリルに言われて、なるほどと思った。


「俺もギリアムに言われたんだがな」


 と、ダリルが付け加えた。


 ギリアムはアイゼル様とクレア様を守る視点で常に考えている。


 僕たち、アイゼル様の側近の中で上下関係はないが、ギリアムのそう言うところは敵わないと信頼して従ってしまう。


 今もギリアムがアイゼル様を連れて、今後必要なものを買い出しに行ってる。

 とりあえず、アイゼル様のことはギリアムに任せて大丈夫だ。


 僕らはクレア様の護衛を優先するが……。


 レオンハルトに仲間がいて、クレア様を連れ去ろうという意図があるとすれば、僕とダリルでは二人がかりでもレオンハルトに敵わないから、すでに詰んでる状態だ。


 レオンハルトと一緒に行動しているクレア様の無防備な姿に警戒心が高まる。


 ——ただ、本当に危険があると思ったギリアムがクレア様を送り出さなかっただろう。


 万が一が有ればアイゼル様が、なりふり構わず助けに来るだろうし……。



 目前にいるレオンハルトはクレア様の手を取っている。

 一目惚れした男の行動としては不自然ではないけれど、クレア様の隣にいるには不釣り合いに見える。


 やっぱりクレア様の隣にはアイゼル様がいなければならない。

 クレア様のすぐ横で付き添っているミアを見ながら思う。


◆◇◆


 狭い聖都ヴァティウスの中にも公園はある。


 クレア様とレオンハルト、ミアは公園のベンチに座っていた。


 クレア様はレオンハルトに何か聞こうとして、シッとレオンハルトに口の前に人差し指を立てられていた。


 この後の午後に、二人——ミアも入れて三人はボートで聖地に向かう予定だ。


 聖都ヴァティウスの周囲の湖は大きいから、知られたくない話をするには最適だろう。


 しばらく三人の間に沈黙が流れていた。


「レオンハルト隊長! どうしたんですが!? 女性と一緒だなんて……!」


 レオンハルトが声をかけられたのは、帝国から派遣されている騎士のようだった。


 この騎士の大声は狭い公園内でよく響くが、レオンハルトの返答は僕とダリルの場所からじゃ聞こえない。


 クレア様とミアが顔を見合わせているのは見えたが。


 思うにレオンハルトがモテないとか、別の何かしらの事情があってモテないのは、騎士の間では有名なのだろう。


 クレア様に一目惚れしたと言って連れ出したのは、そう言う事情がある上では自然で怪しまれない方法だったのだろう。

 その後、すぐに振られたりしても、恋愛関係なら特に不自然じゃないし、その後の関係性の変化に融通がきく。


 アイゼル様にとっては面白くないだろうけど。

 

 その後に部下と別れたレオンハルトはクレア様の手を取った。


 公園を後にして、聖都ヴァティウスの中を歩きまわる。


 僕とダリルには歩き回っている場所に意味があるとは思えなかったが、クレア様が何かを感じているらしい事は表情から読み取れた。


 そのまま昼頃には昼食を取るために店に入る。


 その間にも何人かの騎士や門番たちがレオンハルトに挨拶したり話しかけたが、特に怪しいところはなかった。


 “帝国から派遣された騎士が、聖地に来ていた女性に一目惚れして一日過ごす”と言うストーリーは間違いなく周りに伝わっている。


 この後は、ボートで湖の上に行くことになっているが、それもストーリーの続きでロマンチックな状況に受け取られるのだと思う。


 アイゼル様には面白くないだろうけど……。


◆◇◆


 俺、ギリアムはアイゼル様と聖都ヴァティウスで買い出しをしていた。


 まずはアイゼル様が盗み出した、教会関係者の魔力の形の記録の情報を写し取る紙を買わなければいけない。


 紙は大量に持ち運ぶと重くなるから適切な量を買いたい。

 しかし、どれくらいの量が必要か知っているアイゼル様はボーッとされている。


 レオンハルトに連れて行かれたクレアさまが心配なのだと思う……。


 ただ、それだけが理由でもない気がしていた。


 クレア様が連れ出される前から、“会わなければいけない”帝都の騎士レオンハルトの事を言っていた。


 アイゼル様にが、レオンハルトをこれほど短期間で信用した理由が何かあるのだろう。


 それがなんなのかは、レオンハルトがクレア様を連れ出す先——湖の上の聖地にあるのだろう。


 ともかく、アイゼル様は聖地について考えているのだろう。


 聖地にはなにが待っているのだろう。


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