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結婚したのに6年間無視され続けた私、本当の理由 〜原作にいない貴族令嬢は世界を変える〜  作者: 唯崎りいち
第三章 静かなる聖地、それは光

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本人だけが知らない恋

 村の宿は泊まらないことになったけど、荷物を置く部屋と荷馬車の管理をお願いする。


 今日、泊まる必要がなくなった全部屋分の料金を払ってもいいけど、荷馬車で農産物を買い付けに来たのに羽振りが良すぎたら怪しまれる。


「もっと値切れたのに……!」


 何故かミアが悔しそう。


 私の実家では侍女の仕事で買い物に行くこともあったし、ミアが値切って食卓を支えてくれていたのかも……。


 ミアとは辺境に来る前から一緒で、辺境では六年間も一緒にいたのに、まだまだ知らない事があったみたい。


「ミア、値切るのは必要がある時だけだ」


 ギリアムがミアに話しかけている。


 私はじっと二人を見つめた。


 城塞都市フェルゼンでミアとギリアムと別れた後なにかあったのかな?


 フェルゼンを出発する時はマーシャルルークたちと一緒だったけど、その後は二人っきりだった。


 私たちの後を追って巡礼宿を通って宿場町まで。


 宿場町でも、私とアイゼルが同じ部屋になったから、ミアとギリアムを同じ部屋にしちゃったり……。


 今日だって、荷馬車の御者席はミアが操って隣にはギリアムがいた……。


 親しくなっていても不思議じゃないわね……。

 

 恋バナ好きのミアがいたら一緒に盛り上がれる状況なのに、本人なのよね……。


「どうしたんだ、クレア」


 アイゼルがいた。


「アイゼルでもいいか……」


「なんで不満そうな言い方なんだ……」


 私はアイゼルをこっそり宿の裏に連れていく。


 まだ明るいけど、もうすぐ日が暮れそうだ。


「あのね、ギリアムとミアってお似合いだと思わない?」


「は……?」


 アイゼルが驚いてる。


「そうか……な」


「思わないの? アイゼルはギリアムが好きな人を知ってるの?」


 アイゼルがますます驚いて目を丸くする。


「なんでそんなに驚いてるのよ、アイゼル」


「……いや、二回目だと思って……。ギリアムは、僕に一生仕えてそうだから、好きな人はいないんじゃないかなぁ」


「え? アイゼル、ダメじゃないそんな」


 ギリアムがアイゼルに忠誠を誓ってるのはわかるけど……。


「クレアちゃんだって……いや、なんでもない」


「……六年間も私の都合でミアを辺境の城砦に閉じ込めてたって言いたいのね」


 それはアイゼルのせいでもあるのに……!


 原作小説のストーリー上の都合ってことでもあるけど、それを知ってるのは私だけで……。


 私はアイゼルを冷たく見つめた。


「……そういえば、ギリアムはミアと昔からよく話してたなぁ」


「……嘘。アイゼル、適当なこと言ってる」


「い、言ってないって! 本当に、ギリアムが女性と話してるのはほとんど見ないから、ミアと話してるのは稀に見かけたよ」


「……稀なの……?」


「ギリアムは、仕事中に女性と雑談するなんてことはしないだろう」


「私とはたまに庭園でお茶をしてたけど……ミアも一緒に」


「クレアちゃんの頼みなら断らないだろう」


 それは私が主人の妻で六年も無視されている、ギリアムにとっても幼馴染だったからで……。


「そういう接点があったから、最近一緒に行動するようになって、愛が芽生えたとか、そう言うことよね?」


「……愛が芽生えたは飛躍しすぎじゃないか?」


「このままくっつけば、今日が愛が芽生えた日よ!」


「強引だなぁ」


 アイゼルが呆れてる。


 これから教会の総本山、聖都ヴァティウスに行くのに緊張感がないのは認めるけど。


 聖都ヴァティウスでは何が待ってるかわからないから、もっとこの世界が続いていくって証拠を集めたいの……。


 ミアとギリアムがくっつく世界が来たら、ただ嬉しいだけだし。


「邪魔せずに見守っていればなんとかなるだろう」


「そうだけど、恋バナしたいでしょ?」


「……別に、ギリアムの話はしなくても……」


「ミアの話よ!」


◆◇◆


「アイゼル様と何を話していたんですか?」


 ミアに聞かれる。


 アイゼルと話した内容を聞かれるなんてほとんどないのに……。


 ミアの恋バナへの執着はすごいのかも?


 ギリアムがいなかったとミアに直接『ギリアムのことをどう思ってるか聞くんだけど……ギリアムがちょうど後ろにいた。


 ギリアムにも聞いてみたいけど、二人同時に聞くのはやめた方がいいわね。


「聖都ヴァティウスには馬で行くからその話をしたのよ」


 ミアはちょっと怪訝な表情をするけど、すすぐに元に戻した。


「馬は村のものを借りて、私はギリアムに

乗せてもらいます」


 ダリルは先に聖都ヴァティウスに戻ったから、私がアイゼルと乗れば、必然的のミアとギリアムが一緒に乗ることになる。


 また二人の距離が近くなることに私は少しだけ微笑んだ。


「クレア様、それはないですから」


 ミアがすかさずツッコミを入れる。


 ちょっと微笑んだだけなのに、ミアには私がミアとギリアムの中をとり持とうとしていることがわかってしまったらしい。


 さすが恋バナの達人だわ。


「ミアには幸せになって欲しいのに……」


「私はクレア様のそばにいるのが幸せなんです」


 ギリアムがなんの話をしているのかわからない様子で私たちを見ている。


「ギリアムに聞いてもミアと同じように言いそうだわ……」


「それはどうでしょうか……?」


 ミアが意味深に言う。


 え!? ミアはギリアムの好きな人を知っているの?


 アイゼルだって知らないことなのに!?


 さ、さすが、恋バナの達人……。


 ギリアムに聞こえてしまうから大きな声では言えないけど……。


 私が知ってるギリアムは、真面目でアイゼルひとすじに見えるけど……。


 どんな人なんだろう、ギリアムが好きになるような人って!


 ミアと二人ですごく話したい! 恋バナしたい!


 でも……。


 ギリアムに好きな人がいて、それをミアが知っているならミアがそれで、身を引いてるって事もあるのよね……。


 ギリアムの好きな人の事ではしゃいでいいのかな……。


「クレア様、それもないです」


 ミアが言う。


 恋バナについては、ミアに考えれいることが伝わってるレベルだわ。


「クレア様は何か悩んでいるのか……?」


「あなたには関係ないことですよ、ギリアム」


◆◇◆


 アイゼルの馬に乗って村を出発する。


 ミアとギリアムに聞こえない距離になってから、私はアイゼルにミアに聞いたとっておきのことを話す。


「あのね、ギリアムの好きな人をミアが知ってるみたいなの」


「え!? それは……知ってるかもしれないけど……」


 アイゼルの声が震えてる?


「ん? アイゼルは全然気づいてなかったの? 今度、ミアに聞いたらアイゼルにも教えてげるわよ」


「クレアちゃん……二回目だよこれは……」


「ん? 二回目って何?」


(クレアちゃん自身がその好きな人だって気づいてないことが、二回目だ……)


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