36. 獣人
「ハァ...ハァ....。勝った......」
宣言通り1分。神級じゃなかったら殺られてた。
魔力を消費しちゃったなぁ。王城に行ってみようか。
「っと、その前に。...獣人、服従せよ。そして、許可を出すまで人族に危害を加えるな」
よし。......あ、いや。こうしよう。
「この王都を襲っている獣人を、一人残らず捕縛せよ」
......行ったね。悔しそうだったなぁ。まぁ、正当防衛という事で。数的にはリンチだし。僕が勝ったけど。
「っと、ディーネが戻れたかどうか確かめないと」
「............え?」
「あ、コン!」
「申、し訳......ありま、せん..........」
「セルベアさん!」
何で、セルベアさんがかなりの傷を負ってるの...。獣人が相手なら、セルベアさんは負けるはずないのに。何で....
いや、神級の治療ならゆっくりでも治るかもしれない。まずは治そう。
「コン、様...」
「喋らないで。内臓も傷ついてるから、血を吐くかも。横になってる今は、危険だよ」
確か、そうだったはず。肺が傷ついたら血を吐く、だったかな?
「いえ、早く...言わなければ、手遅れに......」
「手遅れ...?最低限で言って」
「レーラ様を、守るために、ミル..ズ......戦っ...て......」
「わかりました。あとは休んでて下さい。王よ。少々王都が荒れるけど、許して」
「なに。もう滅茶苦茶だからの。多少は構わんよ」
「うん。感謝する。じゃあ、ここにいる人たちの事は任せた。無事でいられたら、僕はこの王都を攻めるのを完全に思考から排除する」
「ほっほ。ミスは許されんの。まぁ、任せるが良い」
...まぁ、攻める気なんてないし、ここにはディーネがいる。ガルラもいる。まぁ、僕が戻るまでの時間は稼げるはずだから、あぁ言ったんだけどね。
ミルズ君が戦ってる、か。でも、セルベアさんをここまで連れてきた人もいるはず。
..........無事だと良いけど。
「おい、まだいけるか?」
「まだまだ!」
「よし。じゃあその体力で、その女の子を連れて逃げろ。チャンスは1回だけだ。間違えるなよ?」
「いや、でも...」
あぁ。セルベアさんを運んでくれたのはあの人だったのかぁ。やっぱり、かなり強かったんだ。
「ミルズ君、大丈夫だよ。僕もやる。妹を頼むよ」
レーラは、気絶してるだけみたいだね。怪我はない。よし。
「ミルズ君、身体強化をかける。全力で王城へ」
「........わかった。死んだら、ディーネが悲しむぞ!」
「安心して良いよ。もう5人片付けた。その5人も、獣人殲滅に協力させてるから、じきに終わる」
「全く...お前はやっぱりコンだよ!あとは任せた!」
....よし。行ったね。じゃあ、次は。
「パジュさん。やっぱり強いんじゃないですか」
「いや、弱い。俺はまだ獣人を倒せないからな」
「ということは、いずれ倒せるんですか?」
「さぁ?それはわからんがな」
やっぱりだ。この人、今よりも、すぐに強くなる。
今は、勘で捌いてるみたいだけど、勘で捌ききれるのは凄い。技術もあるってことだろうし。これを、更に磨いたら凄いことになる。絶対に。
冒険者は、宝箱かな?
「では、ここは片付けます」
「あぁ。任せた」
うん。全然取り乱してないじゃないですか。少しつまらない。
まぁ、それはさておき。やりますか。
「さぁ!神の力の片鱗を味わいたい奴はかかってこい!」
うん。王っぽく。
余裕そうに見えるよう、魔法で片付けるかな。...いや、服従させておいた方が後々楽かな。
「エアショット」
「ぐぅ?!」
「ガバッ!」
数が少ないからなぁ。どうするか。エアショットで倒せるんだったら、神級の身体強化してまで戦わなくても良かったよ。
「服従せよ。王城を襲う獣人を捕らえよ。不可能なら、殺せ」
「....禁忌じゃなかったか?」
「さぁ?何のことでしょうね。エルフはやってると思いますよ」
奴隷いるからね。あそこは。
まぁ、それはともかく、僕も戻ろうかな。神級はすぐに魔力が無くなるから使いづらいね。
「フライで王城まで飛びます。捕まってください」
「わかった」
......これだと、途中でミルズ君に追い付くかな。
「ディーネ、ただいま」
「コン!」
おぉ、フライで飛んでくるほど心配だったのかな?
まったくもう。可愛いなぁ。人がいなかったらもっとゆっくり出来るのに。
「さて、僕は魔力が殆んどないから休むよ」
「あと、どのくらい残っておる?」
「聖級を30、40....位かな」
「充分過ぎる!」
うわぁ、王がうずくまった。頭を抱えちゃってるよ。
まぁ、確かに魔力もあるにはあるけど、神級を使うには心もとないんだよね。使ったは良いけど魔力切れで倒れました。なんて事になったら、結局やられちゃうし。
......それはさておき。リオさん?
(何だ?)
今、何してます?
(獣人のおっさんを連れて王都に向かってるぞ)
え?ということは、今回の件は一部の暴走、という事ですか?
(まぁ、そうなるな)
なんて迷惑な。暴走で僕とディーネの冒険者生活を邪魔したんだ...。
でも、獣人の人が来てるなら、無益な殺しは控えるべきかなぁ。
(おっさんのことだから、自分で始末するだろうからな。残しといてやれ。説得次第では、貴重な戦力だ)
わかりました。服従させてはいますけどね。さて、僕は寝て待ってます。
(わかった。2日もあれば着くはずだ)
わかりました。......2日かぁ。陸路なら早いんだよね。
「2日後、王都を襲った獣人を始ま...引き取りに、獣人の偉い人が来ます」
「そうか....となれば、あやつか。忙しくなる....」
知ってるのかな?
まぁ、それはさておき。
「ミルズ君、国に戻って、説明をしてくれるかな。今日は疲れてるだろうから、出発は明日で」
「わかった」
よし、あとは...
「レーラ。お父さん達が戻ってきたら、僕に知らせて」
「うん。...寝るの?」
「その前にすることがあるけど、魔力を回復するには寝るのが一番だからね」
よし、早くやって寝よう。
「セルベアさん。治療を始めます」
「いえ...私に魔力を使うなら、ダン様達の所へ....」
「今の僕が行っても足手まといだよ。ヒール...」
..........やっぱり、治りにくい。セルベアさんは傷付きにくい代わりに治しにくいから、魔術師泣かせだよ。
...ん?傷付きにくいのに、なんでこんなに傷を負ってるの?
「セルベアさん。この傷、誰にやられました?」
「獣人です。が、他の方と比べると、大きさも動きも、段違いでした」
段違い...。もしかして、それって......
「体に、赤い線のようなものがありましたか?」
「........両腕に、ありました。それ以外は、見えませんでしたが」
「いえ、充分です。厄介な事になりましたね」
魔力を使うんじゃなかったよ。
勝てるかなぁ。どうかな。竜よりは強いよね、間違いなく。問題は、相手が人形っていうことなんだよねぇ。
「コン、どういうこと?」
「ディーネ、その獣人は、食べちゃいけない魔物を食べちゃったみたい」
「食べちゃ、いけない....?」
そう。食べちゃいけない魔物。食べたら、凄く強化される代わりに、意識がなくなってしまう。というか、その魔物に乗っ取られてしまう。殺すまで破壊や殺しを止めない化け物になってしまう。龍...より強いかもね。龍帝くらいかな?まったく、食べたのが人族なら、そこまで強くはならないんだけどね。獣人だからね。というか、どうやって倒したのかな?そこが気になるよ。魔法が使えない獣人には倒せないはずなんだけどなぁ。
「魔人。獣人には倒せるはずのない、魔法の達人だよ」




