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殴り賢者はバレている  作者: 七風


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「だ、だめだよぉ! 先生が出たら、本当に終わっちゃうからぁ!」

4層の草原で魔物たちを片づけた乙羽たちは、少しだけ休憩を取ることにした。


 広い草原には穏やかな風が吹き、遠くでは魔物たちが動き回っている。さっきまで激しい戦闘をしていたとは思えないほど、周囲はのどかな雰囲気に包まれていた。


「ふぅ……。ちょっと休憩だねぇ」


 乙羽は草の上に腰を下ろし、配信画面に向かって手を振った。


「みんなも、見てくれてありがとぉ。えっとねぇ、今のところ順調に進んでると思うんだけど……。みんなは、わたしたちの攻略速度ってどう思う?」


 何気ない質問だったが、コメント欄はすぐに反応した。


『いや、普通に速いと思う』

『今回まだ3回目の配信だよね? もう4層まで来てるんだけど』

『しかも戦闘でほとんど苦戦してないのがすごい』

『乙羽ちゃんの支援魔法がかなり効いてるんじゃないかな。攻撃力も耐久力も上がってるみたいだし』

『柳さんと琴さんの動きも、前より明らかに安定してる』

『それに先生の索敵が反則級なんだよなあ。魔物がいる場所をほとんど把握してるし』

『普通なら道を探すだけでも時間がかかるはずなのに』

『攻略速度だけなら、もっと深い階層まで行けそうな勢いだな』


「えへへ……。みんな、いっぱい見てくれてるんだねぇ」


 乙羽は嬉しそうに笑った。


「支援魔法は、できるだけみんなが戦いやすくなるように使ってるんだよぉ。先生も、魔物がいる場所を教えてくれるから、すごく助かってるの」


「索敵は、そこまで難しいことではありませんよ?」


 隣にいたリーゼロッテが、いつもの調子で答えた。


「……先生、それ、普通の人はできないと思うぞ」


 柳が呆れたように突っ込む。


「そうなのですか?」


「そうなの!」


 柳が即答すると、琴も小さくうなずいた。


「少なくとも、これだけ広い範囲の魔物を把握しながら、位置や動きまで正確に捉えるのは簡単ではないはずだ」


「なるほど……。こちらでは、そうなのですね」


 リーゼロッテは納得したようにうなずいた。


 コメント欄には、そんなやり取りを面白がる声も流れていた。


『先生の普通は信用できないw』

『乙羽ちゃんも大概だけど、先生は規格外すぎる』

『このパーティー、支援・索敵・火力が全部おかしいんだよな』

『でも3人の連携もちゃんと上手くなってるのがいい』


 乙羽はコメント欄を眺めながら、ふと思い出したように顔を上げた。


「そうだぁ。せっかくだから、もうひとつ魔法を見せてみようかなぁ」


「ん? まだ何かあるのか?」


 柳が尋ねると、乙羽はこくりとうなずいた。


「うん。この前、先生に教えてもらった魔法キャンセル、配信で使ってみてもいいかなぁ?」


「ああ、あれか。いいんじゃねえか? せっかくだし、みんなにも見せてやれよ」


 柳は気軽にうなずいた。


 魔法キャンセルについては、以前、乙羽たちの間でも話題になっていた。魔法を完成させる前に構築を中断し、残った魔力を利用する技術だ。乙羽が興味を持ったことをきっかけに、リーゼロッテから教わることになったのである。


「ただし、無理はするなよ。練習していたとはいえ、実戦で使うのはまた違うだろうからな」


 琴が念を押すと、乙羽は「はぁい」と返事をした。


「大丈夫だよぉ。先生にも教えてもらったし、ちゃんとできると思うんだぁ」


「ふふ。慌てず、魔力の流れを意識してくださいね。魔法の構築を止めることばかりに気を取られると、残った魔力まで散ってしまいますから」


 リーゼロッテも、いつもの穏やかな調子で助言する。


「うん、分かったぁ。ありがとう、先生ぇ」


 乙羽は立ち上がり、少し離れた場所にいる魔物へと視線を向けた。


 相手は草原を歩いている小型の魔物だった。こちらに気づいてはいるものの、まだ距離があるため、すぐに襲いかかってくる様子はない。


「えっとぉ……。まずは、いつもどおり魔法を作ってぇ……」


 乙羽が手をかざす。


 風が集まり、目の前に小さな魔力の渦が生まれた。


 いつもの乙羽なら、そのまま魔法を完成させて放つところだ。けれど今回は、魔法が完成する直前で動きを止めた。


 風の流れが不自然に途切れ、形を成しかけていた魔力が、その場に留まる。


「……ここで、止めるの」


 乙羽は集中を切らさないまま、魔法の構築を中断した。


 そして、残った魔力をそのまま前方へ押し出す。


 ヒュッ――!


 目に見えないほど細い風が草原を走り、魔物の身体を貫いた。


 魔物は一瞬だけ動きを止め、そのまま地面へと倒れ込んだ。


「……うん。できたぁ」


 乙羽は満足そうにうなずいた。


 隣で見ていた柳は、うまくいったことを確認して、にやりと笑った。


「おっ、ちゃんと成功したじゃねえか」


「うん。前よりは、少しうまくできるようになったかなぁ」


「魔法を完成させる前に構築を止め、残った魔力を攻撃に転用したのだな。理屈は聞いていたが、実際の戦闘で使うとこうなるのか……」


 琴は倒れた魔物を見つめながら、感心したようにつぶやいた。


「そうなのです。魔力の流れを見失わずに制御できれば、必ずしも魔法を最後まで完成させる必要はありません」


 リーゼロッテも、乙羽の成功を見て満足そうに微笑んだ。


「ただ、構築を途中で止めることと、残った魔力を攻撃に利用することは別の技術です。慣れないうちは、魔力を散らしてしまうことも多いでしょうね」


「うん。そこがちょっと難しいんだよねぇ……」


 乙羽は自分の手を見つめながら、苦笑した。


 仲間たちにとっては、すでに話を聞いていた技術だ。けれど、実際に戦闘で使う場面を見るのは、琴にとっても今回が初めてだった。


 そして、配信画面の向こう側にいる視聴者たちにとっては、これがまったく初めて見る現象だった。


 コメント欄は、一瞬だけ静かになった。


 そして次の瞬間、驚きの声が一気に流れ始めた。


『えっ、今の何!?』

『魔法が完成する前に止めたよね?』

『なのに攻撃になってるんだけど……』

『詠唱を省略するのとは違うよな? 魔法そのものを途中で止めてたように見えた』

『魔法って完成させてから発動するものじゃないのか?』

『途中で止めた魔力を直接攻撃に転用したってこと?』

『そんな使い方、初めて見たんだけど!』

『待って、これって相当すごい技術なんじゃ……』


「えへへ……。やっぱり、珍しいのかなぁ?」


 乙羽はコメント欄を見て、少し困ったように笑った。


「珍しいどころの話ではないと思うぞ……」


 柳が呆れたように言った。


「いや、あたしらは先生から話を聞いてたから知ってたけどさ。初めて見る人には、何が起きたのか分かりにくいだろうな」


「魔法を完成させずに攻撃へ転用するという発想そのものが、一般的ではないのだろう。魔力を途中で制御し直すことと、それを攻撃として成立させることは別の話だからな」


 琴は真剣な表情で、先ほど乙羽が魔法を放った場所を見つめていた。


 その様子を見ていた政宗も、配信画面の向こうで考え込んでいた。


『マサムネ:今の現象は興味深いな。魔法の構築を途中で停止し、残存する魔力を攻撃へ転用したように見えた。通常の発動手順を省略したのか、それとも別の原理なのか……。現時点では断定できない(1,000円)』


 アリスも続けてコメントを送る。


『アリス:魔法を完成させずに攻撃へ変えるなんて、私も見たことがないわ。制御を誤れば魔力が散るだけでしょうし、相当繊細な操作が必要なはずよ(1,000円)』


 さらに、その直後。新たなスーパーチャットが画面に表示された。


『瑠奈:乙羽ちゃん、今の魔法マジでやばくない!? いや、前から面白いと思ってたけど、今日も最高なんだけど!(500円)』


「えっとぉ……。わたしも、まだ練習中なんだけどねぇ。うまく使えると、魔法を完成させる時間を省けるから便利なんだよぉ」


『完成前に止めるのに、練習すればできるものなのか……?』

『いや、乙羽ちゃん基準で考えたら駄目だと思う』

『これ、普通に戦術として強そうだな』

『相手からしたら、魔法が来ると思って防御したら別の攻撃が飛んでくるわけか』

『完成した魔法を撃つのとは違うから、対処も難しそう』


 乙羽は視聴者の反応を見ながら、照れくさそうに頬をかいた。


 この技術を身につけるまでに、乙羽がどれほど試行錯誤したのか。もちろん、視聴者たちが知るはずもない。


 彼らにとっては、今この配信で初めて目にした、未知の魔法技術だった。


「……でも、魔法を完成させなくても攻撃できるなら、使いどころは多そうだな」


 柳が感心したように言った。


「うん。状況によって使い分けられたら、もっと便利になると思うんだぁ」


「乙羽は本当に、いろいろなことを考えるのだな」


 琴が感心したようにうなずく。


 乙羽は「えへへ……」と笑い、再び配信画面に向かって手を振った。


 その後、乙羽たちは短い休憩を終え、5層へ向かうことにした。


「さて、そろそろ先へ進もうか」


 琴が立ち上がると、柳も武器をしまいながらうなずいた。


「だな。ここでの戦闘もひと段落したし、5層の入口まで行こうぜ」


「はぁい。先生、フェンちゃん、お願いしてもいいかなぁ?」


「はい。では、少し移動を楽にしましょうか」


 リーゼロッテがフェンちゃんの頭を優しく撫でた。


「フェンちゃん、お願いしますね」


「わふっ!」


 フェンちゃんは元気よく返事をするように鳴いた。


 次の瞬間、その身体が淡い光に包まれた。


「……え?」


 乙羽が目を瞬かせる。


 フェンちゃんの身体が、ゆっくりと大きくなっていく。子犬ほどだった身体は見る見るうちに膨らみ、やがて人を何人も乗せられるほどの大きさになった。


 銀色の毛並みが風に揺れ、鋭い爪と立派な四肢が草原にしっかりと立つ。大きな尻尾がゆったりと動き、その姿には小さな頃の愛らしさを残しながらも、幻獣らしい威厳があった。


「わぁぁ……! フェンちゃん、大きくなったねぇ!」


 乙羽は目を輝かせた。


「わふっ!」


 巨大化したフェンちゃんは、乙羽のほうへ頭を寄せる。


 乙羽がその首元を撫でると、フェンちゃんは気持ちよさそうに目を細めた。


『えっ、フェンちゃん巨大化できるの!?』

『かわいいいい!』

『さっきまで子犬サイズだったのに!』

『しかも銀色の毛並みがきれいすぎる』

『これは乗ってみたい』

『見た目は完全に幻獣なのに、乙羽ちゃんに甘えてるのかわいいなw』


『ねこまる:フェンちゃん、こんなに大きくなれるんだ! かっこいいし、かわいい!(500円)』


「えへへ、ありがとうねぇ。フェンちゃん、すごいでしょぉ?」


 乙羽は自分のことのように嬉しそうに笑った。


 リーゼロッテはフェンちゃんの背中を軽く叩いた。


「それでは、乗りましょうか。5層の入口まで、フェンちゃんに運んでもらいます」


「えっ、乗っていいの!?」


「もちろんです。フェンちゃんも、そのつもりのようですよ」


 フェンちゃんは、まるで早く乗ってほしいと言わんばかりに身体を少し低くした。


 乙羽が最初に背中へ乗り、続いて柳と琴も慎重に乗り込む。3人が安定したことを確認すると、リーゼロッテはフェンちゃんの隣に立った。


「では、お願いしますね」


「わふっ!」


 フェンちゃんが勢いよく駆け出した。


「わぁぁぁっ! 速いよぉ!」


 乙羽は慌てて背中につかまりながらも、楽しそうな声を上げた。


 草原の景色が次々と後ろへ流れていく。巨大な身体からは想像できないほど動きは軽く、草を踏みしめながらも、乗っている3人が大きく揺さぶられることはなかった。


「おおっ、こりゃすげえな!」


 柳も思わず声を上げた。


「移動速度もかなりのものだ……。これなら、歩いて進むよりずっと早いな」


 琴は周囲を確認しながら感心していた。


 フェンちゃんは魔物の気配を感じ取ると、巧みに進路を変えながら草原を走り抜けていく。魔物が近づいてきても、わざわざ立ち止まる必要はなかった。大きな身体と圧倒的な速度を前に、魔物たちのほうが慌てて道を空けてしまうのだ。


『フェンちゃん、速すぎるw』

『これ、乗り物としても優秀すぎない?』

『移動も索敵もできる幻獣とか反則だろ』

『しかも乙羽ちゃんたちを乗せて走ってるのに安定してる』

『ほかの冒険者パーティーが見たら羨ましがるだろうな』

『これは序列戦でも注目されそう』


 コメント欄が盛り上がる中、乙羽はフェンちゃんの背中から身を乗り出し、遠くに見えてきた入口を指さした。


「あっ! 見えてきたよぉ! あそこが5層の入口かなぁ?」


「そうだな。思ったより早く着いたな」


 柳が答える。


 フェンちゃんは最後に少し速度を上げ、草原を一気に駆け抜けた。


 やがて、5層へと続く入口の前で静かに足を止める。


「わぁ……! ありがとう、フェンちゃん!」


 乙羽は背中から降りると、フェンちゃんの首元にぎゅっと抱きついた。


「わふっ!」


 フェンちゃんは嬉しそうに尻尾を振る。


 その様子を見ていた柳が、ふと何かを思い出したように口を開いた。


「そういや、もうすぐ序列戦だよな。フェンちゃんが出たら、ほかの連中は大変だろうなぁ」


「確かに……。これだけの能力を持つ幻獣が参加したら、戦い方そのものが変わりそうだ」


 琴も真剣な顔でうなずいた。


 コメント欄にも、序列戦を意識した反応が流れ始める。


『フェンちゃんが出場できるなら、かなり強そう』

『いや、こんなの相手にどう戦うんだよw』

『かわいいだけじゃなくて速いし強いし、万能すぎる』

『序列戦、今から楽しみになってきた』


 そのとき、政宗からスパチャが届いた。


『マサムネ:ひとつ気になったのだが、フェンちゃんは序列戦に参加する予定なのか?(500円)』


 乙羽は画面を見て、首を傾げた。


「えっとぉ……。フェンちゃんは、たぶん出ないと思うよぉ。先生も、参加資格がないんじゃないかなぁ?」


「そうですね。私は学校の生徒ではありますが、序列戦の参加対象には含まれていないようです」


 リーゼロッテは少し不満そうに頬を膨らませた。


「学校では生徒として扱われるのに、こういう行事には参加できないのは、少々不公平ではありませんか?」


「せ、先生が出たら、それこそ大会が終わっちゃうよぉ……」


 乙羽が苦笑すると、柳が大きくうなずいた。


「いや、ほんとそれ。先生が出場したら、誰も勝てねえだろ」


 アリスからもコメントが届いた。


『アリス:フェンちゃんが参加できるとしても、かなり厳しいでしょうね。先生まで出場したら、勝負にならないと思うわ(500円)』


『フェンちゃん出場=ほぼ優勝』

『先生出場=大会終了のお知らせ』

『そもそも先生、戦闘力の基準が違うんよw』

『乙羽ちゃんも参加するんだよね?』

『殴り賢者の序列戦、絶対見たい』


「わたしは参加するつもりだよぉ。でも、順位はあんまり気にしてないかなぁ……」


 乙羽は、いつものふんわりとした口調で答えた。


「せっかくのイベントだし、みんなと一緒に頑張れたらいいなぁって」


「……あたしは、出るからには上を目指すけどな」


 柳はにやりと笑った。


「どうせ参加するなら、どこまで行けるか試してみたいし。乙羽が順位を気にしなくても、あたしは本気でやるぞ」


「私も同じだ。今の自分がどこまで通用するのか、試してみたい」


 琴も静かにうなずいた。


 2人の言葉に、乙羽は嬉しそうに笑った。


「そっかぁ。じゃあ、わたしも応援するねぇ」


「いや、乙羽も参加するんだからな?」


「えへへ……。そうだったぁ」


 柳が突っ込むと、乙羽は照れくさそうに笑った。


 そのやり取りを見ていたリーゼロッテは、まだ少し不満そうだった。


「……やはり、私も参加できるように交渉してみるべきでしょうか」


「だ、だめだよぉ! 先生が出たら、本当に終わっちゃうからぁ!」


「そうでしょうか?」


「そうだよぉ!」


 乙羽が必死に訴えると、柳と琴も苦笑した。


『先生、参加したいのかわいいw』

『でも先生が出たら、ほかの生徒がかわいそうだ』

『乙羽ちゃんは順位に興味ないって言いながら、出たら強そうなんだよな』

『柳さんと琴さんが本気なのもいいね』

『このパーティー、序列戦でも目立ちそうだな』


 5層の入口を前に、乙羽たちはしばらく序列戦の話題で盛り上がった。


 やがて、乙羽は配信画面に向き直った。


「えっとぉ……。今日は4層まで進めたし、そろそろ配信を終わりにしようかなぁ。みんな、今日も見てくれてありがとうねぇ!」


『今日も楽しかった!』

『魔法キャンセル、すごかった!』

『先生の0.1%が忘れられないw』

『フェンちゃんかわいすぎた』

『5層攻略も楽しみにしてる!』

『みんなお疲れさま!』


 乙羽が手を振っていると、最後に大きなスパチャが画面に表示された。


『SHIZUKA:今日もみんな頑張ってたわね。お疲れさま。乙羽、お菓子代も置いておくわね(50,000円)』


「……って、またSHIZUKAさんかよ!」


 柳が思わず声を上げた。


「またSHIZUKAさんが見てくれてたのかよ! 毎回すげえ金額投げてくるな……」


「妹のことも心配なのだろう。配信を通して様子を確認しているのかもしれないな」


 琴がそう言うと、乙羽は困ったように頬をかいた。


「えへへ……。お姉ちゃん、毎回見なくてもぉ……。私、ちゃんと元気にやってるからねぇ……」


 そう言いつつも、乙羽はスパチャの金額を見て、少しだけ目を輝かせた。


「……でも、お菓子代はありがたくもらっておくねぇ。スパチャで買ったお菓子、帰ったら持って帰るからねぇ」


「いや、そこは遠慮しねえんだな!?」


 柳のツッコミに、琴も小さく笑う。


 コメント欄にも、次々と反応が流れていった。


『SHIZUKAさん、今日もいるw』

『妹の配信を見守るお姉ちゃん』

『50,000円をお菓子代って呼ぶなwww』

『乙羽ちゃん、遠慮してるようで全然遠慮してない!』

『お姉ちゃん公認のお菓子代で草』

『毎回見てるの、心配なのもあるんだろうなあ』

『この姉妹、仲いいなw』


「それじゃあ、みんな、またねぇ! 5層の配信も楽しみにしててねぇ!」


 乙羽が大きく手を振ると、配信画面がゆっくりと暗くなっていった。


 こうして、ティンカーベルの4層攻略配信は無事に終了した。


 新たな魔法技術を披露し、巨大なフェンちゃんの力も見せつけた今回の配信は、視聴者たちに強烈な印象を残すことになったのだった。


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