「What?」
6月27日(土)
ヴィクトリアが23層へ到達した頃、ティンカーベル一行も合流地点へとたどり着いていた。
「師匠ー! お待たせぇ!」
乙羽が大きく手を振る。
「オトハ! みんな!」
ヴィクトリアも笑顔で手を振り返した。無事に合流できた喜びも束の間、柳はさっそく先へ続く通路に目を向けた。
「んじゃいくか!」
「What?」
あまりにも自然に攻略を再開しようとする柳に、ヴィクトリアがきょとんとする。
「いや、あたしら今日の依頼は終わってるからね! せっかく追いついたんだし、このまま一緒に進めばいいだろ?」
「Oh! I see! つまり、今日はみんなで一緒に攻略するということね!」
ヴィクトリアは納得したようにうなずいた。
『翻訳さん:ヴィクトリアさんは、皆さんと一緒に攻略するという意味だと理解したようです!』
『会話のテンポが速すぎるw』
『翻訳さん、今日もお疲れ様です!』
琴も先の通路を確認しながら口を開く。
「連携も考えながら階層更新でもしますか」
「そうだねぇ~。何も進んじゃいけないって話でもないしねぇ」
乙羽ものんびりと同意する。
「Exactly! 私もみんなと一緒なら、もっと先へ進めると思うわ!」
『翻訳さん:ヴィクトリアさんは、皆さんと協力すればさらに先へ進めると話しています!』
『もう普通に会話できてるんだよなw』
『ヴィクトリアさん、日本語わかってるのでは?』
『翻訳さんだけが一拍遅れて仕事してるw』
「んぅ、そういえば説明しておかないとねぇ」
乙羽が配信カメラの方を向いた。
「先生が翻訳魔法をかけてくれてるけどぉ、視聴者さんにはかけられないんだよぉ。ごめんねぇ」
『あー、なるほど!』
『こっちは翻訳魔法の対象外なのかw』
『つまりティンカーベル側は普通に会話できてるわけね』
「私たちも翻訳魔法がなかったら、話が半分もわからないわよ!」
梓がきっぱりと言い切った。
『こっちが分からないのは相変わらずか!』
『連携もあるだろうし、言葉がわかるなら助かるだろうな』
『翻訳さんの仕事が増えるわww』
『ヴィクトリアさん、簡単な英会話配信でもすればいいのでは……』
『かなり需要あるだろうなw』
『ダンジョン攻略しながら英会話講座は草』
「えっ、英会話配信?」
ヴィクトリアがコメントを読み、首を傾げた。
「Interesting! それ、面白そうね!」
『翻訳さん:ヴィクトリアさんは、英会話配信というアイデアに興味を持ったようです!』
『反応が早いww』
『本当に始めたら見たい』
『ダンジョン攻略と英会話、どっちがメインなんだよw』
「師匠、やるなら私も見たいなぁ」
乙羽が楽しそうに言う。
「オトハも? じゃあ、考えてみようかしら!」
ヴィクトリアが乗り気になったところで、柳が通路の先を指さした。
「おーい、英会話教室は後にして、そろそろ行こうぜ!」
「Oh, right! Let's go!」
『翻訳さん:はい、攻略を再開するそうです!』
『翻訳さん、今日もお疲れ様ですw』
『この先ずっとこの調子なのかw』
こうして、翻訳さんの仕事が増えることを視聴者たちが確信したところで、六人の攻略が再開された。




