第七話:相棒(ゴン)の誕生
「ちょっと待てや。さっきの威力で魔弾をぶっ放したら、ウルフどころか子狐ちゃんまでまとめて消し炭の彼方やんか!」
そう、今のうちに一番足りてへんのは『手加減』という二文字。
子狐ちゃんを無傷で助けるためには、ピンポイントでウルフだけに魔弾を命中させなあかん。
大穴開けるなんてもっての他。もっと繊細に、細かく、魔力を極限まで絞り込むんや……!
うちは慌ててガイドブックのスキルページをめくった。そこには、さっき覚えたスキルの説明が親切に書いてある。
『魔弾のカードは、同じスロットのカードを2枚重ねて使用することで【ホーミング(追尾)】特性が付与されます』
「それや! 2枚重ねの追尾弾なら、うちがガバガバエイムでも勝手に敵を狙ってくれる!」
うちはスロットから『マジックブリット』のカードを素早く6枚引き抜いた。
それぞれ2枚ずつ重ねて、3つの束にする。それを指の間に挟んで、ウルフたちへ向けた。
「魔力は極限までカット! パチンコ玉! いや、BB弾や! BB弾イメージ!! ……よし、解放や!」
シュバッ! とカードを突き出す。
うちの祈りが通じたのか、指先から放たれたのは極太レーザーではなく、ビー玉サイズの綺麗な青い光の弾が3つ。
光の弾は空中で不規則な軌道を描いたかと思うと、グインと直角に曲がり、3匹のウルフの眉間へと正確に吸い込まれていった。
バシッ、バシッ、バシッ!
「ガゥ……」
ウルフたちは悲鳴をあげる暇もなく、その場にバタリと倒れ伏して絶命した。
もちろん、すぐ近くにいた子狐ちゃんへの被害はミリメートル単位で一切ナシ! 完璧なコントロールやん、うち天才ちゃう!?
ピコーン! とホルダーにウルフの肉や皮のカードが吸い込まれていくのを横目に、うちは子狐ちゃんに駆け寄った。
「ふぅ、危なかったなぁ。怪我はないか? よかったな〜、次からは野生のワンコには気ぃつけや」
しゃがみ込んで声をかけると、真っ白な子狐ちゃんは、まだウルウルした目でうちをじっと見上げていた。
そして、小さな鼻をくすん、と鳴らして、うちのブーツに短い前足をちょこんと乗せてきた。
かわええ……! なにこの天使、持って帰りたい。
すると突然、目の前に半透明のウインドウがポップアップした。
『子狐が仲間になりたそうにしています。仲間にしますか? 【YES / NO】』
「んなもん、YESに決まっとろうが!! むしろこっちからお願いしたいくらいやわ!」
画面の【YES】を勢いよくタップする。
『子狐が仲間になりました。名前を付けてください( )』
「名前ぇ? うーん、狐と言ったら新美南吉の『ごん狐』、つまり【ゴン】やろ。それでええか?」
うちがそう語りかけると、子狐ちゃんは「きゅ〜ん!」と嬉しそうに鳴いて、三つあるちっちゃい尻尾をプロペラみたいに盛大に振り回した。気に入ってくれたみたいで何よりや。
『登録しました。子狐ゴンは、コハルの仲間になりました』
『初回テイムボーナス:スキルカード【テイム】を獲得しました』
『スキルカード【魔力操作Lv1】を獲得しました』
「お、新しいスキルカード! しかも『魔力操作』がダブったってことは、これを重ねて使えばスキルレベルが上がるってことやんね! ありがたや〜!」
ゴンをそっと抱き上げると、腕の中でぬくぬくと温かい。
頼もしい(?)相棒もできたことやし、うちの異世界旅、ますます賑やかになってきたで!




