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第十二話:行き倒れは大阪名物(ちゃうわ!)

「……アカン、もう一歩も動かれへん。食い倒れやの〜て、リアル行き倒れになるなんて、どんな人生のオチやねん……」


街道に出て、意気揚々とイシル王国を目指し始めたのはええねんけど。

うちは今、広大な砂利道の上に大の字になって寝っ転がっていた。


「あー……疲れてもうた。ほんまに疲れてもうた。こっちの世界に来てからというもの、ずっと歩きっぱなしやった気がするわ……」


頭の上で、ゴンが心配そうに「きゅ〜……」と鳴きながらうちの頬を舐めてくる。

……ん? 途中で蔦の洞窟とか大木の枝の上で、結構がっつり寝てたよねって?

いやいや、張り切って街道を何時間も歩くのと、森の中をよちよち歩くのじゃ体力の消耗が違うんよ! 12歳ボディの最大HP少なすぎやろ! 身体強化の魔法、もっと早く使えるようになっとけばよかったわぁ……。


「はぁ……。お詫びのブーツが『疲れない仕様』でも、うちの太ももと体力が一般幼女以下やったら意味ないやんか、神様のあほんだらー……」


完全にエネルギー切れ。地面の土のひんやり感が妙に心地よくて、うちは三角帽子を目深に被ったまま、そのまま意識を半分飛ばしかけていた。


どれくらいの時間が経ったんやろ。

遠くの方から、パカパカと小気味いい馬の蹄の音と、ゴロゴロという重々しい車輪の音が近づいてくるのが聞こえた。


音はうちのすぐ手前でピタッと止まる。


「おい、見ろよ。街道の真ん中に何か落ちてるぞ?」

「……おいおい、嘘だろ。こんなところで、子供が死んでる(・)んじゃねえか!?」


ガタガタと馬車から人が降りてくる気配。

どうやら、複数の馬車で旅をする商人たちの集団――『キャラバン』の御一行様らしい。


「子供が死んでる?」という不吉極まりない単語が耳に飛び込んできた瞬間、うちの脳内ツッコミセンサーが限界突破で起動した。


うちはガバッ! とゾンビのように上半身を跳ね起き上がらせ、帽子を直して叫んだ。


「――生きとるわいっ!!! 勝手に死籍に入れるなぁァァ!」

「うわあああ!? 生きてた!?」

「ひぃっ! 幽霊かと思ったぞ!?」


うちのキレのいい怒声に、三十代くらいのガタイのいい商人のおっちゃんたちが、揃って「おふぅっ」と変な声をあげて backward(後ろ)に飛び退いた。


「ハァ、ハァ……。ちょっとエネルギーが切れて、地面と一体化してただけや! 誰が死体やねん!」

「い、いや、すまん嬢ちゃん……。あまりにも微動だにしないから、てっきりな」

「きゅ〜う」


うちの腕の中にすぽっと収まったゴンが、まるで「うちの主人がお騒がせしてすみません」とでも言うように、ちょこんと頭を下げた。その姿を見て、商人たちはようやく警戒を解いたように顔を見合わせる。


「……しかし、こんな可愛いキツネを連れたちっこいお嬢ちゃんが、一体何だってこんな街道の真ん中で行き倒れてるんだ? 迷子か?」

「迷子ちゃうわい、立派な一人旅の観光客や! ……って言いたいところやけど、ちょっと足が限界でして。おっちゃんら、もしかしてこれから西のイシル王国に行ったりする?」


うちはここぞとばかりに、潤んだ瞳(ロリ特権)で商人たちを見上げた。


「もしよかったら、次の街まで馬車の端っこにでも乗せてくれたり……せぇへん?」


こうして、持ち前のコミュ力(と図々しさ)を活かして、うちはちゃっかりキャラバンの馬車へと転がり込むことに成功するのだった。

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