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第十一話:強襲!留学生ガンマンと、崩壊する結末(テンプレ)


その頃、ベルガモン帝国の王宮では――。


小暮君が日陰で頭を抱えているすぐ近くに、カツ、カツ、と小気味いい足音が近づいてきた。


「オー、こんなところに居たですか、ミスター小暮」


声をかけてきたのは、金髪のわずかなウェーブがかかった髪が特徴の女の子、ミカ・サラディン。海外からの交換留学生で、めちゃくちゃ美人で人当たりもいい、クラスの人気者だ。

そして、なぜかエセ関西人のコハルとだけは最初から不思議と気が合い、大の親友になっていた。


「な、なんで僕に気がついた……? 影法師のスキルで完全に気配を隠していたはずなのに」

「ウ〜ん、普通に見えてますが? それよりコグレ、コハル、知りませんか?」

「コハル……?」


小暮君がその名を発音した瞬間、脳裏の霧が一気に晴れ渡った。


「そう、コハルです! こっちに来てから一度も見てません。コグレ、知りませんか?」

「それだーーーっ!!!」

「お〜ぅ!? どうしたんですかコグレ? コハル見ましたか?」


ガタッと立ち上がった小暮君に、ミカは青い目を丸くする。


「いやいや、ごめん、見てない! 見てないけど、そうだ……これが違和感の正体だったんだ! 後頭部が渇いていた理由も、何かが致命的に足りない理由も、全部繋がった!」

「どうしましたか?」

「それだよ! 小春さんが、この場所に、召喚されたクラスメイトの中に、最初から来てないんだよ!」

「オー、そんなはずはありません! コハル、あの時一緒に光に包まれて消えました!」

「じゃあ、一体どこに……」


日本にいた頃のミカは、大の西部劇好きで自らガンマンを気取っており、学校にエアガンを持ち込んでは先生に没収される常習犯だった。

そしてこの異世界で、ミカはある意味、夢を叶えていた。


彼女の職業は『ガンマン』。メインスキルは『一発必中』。

そしてこの短い滞在期間でついたあだ名は、*トリガーハッピー・ミカ*。もう、名は体を表すとはこのことである。すでに目が据わっている。


「いいこと考えました! コハル、探しに行きましょう!」

「はいぃ!? いやいや、僕らここから勝手に出られないでしょ。王宮の監視だって厳しいし、そもそも――」

「障害は排除、です」


物騒な単語を笑顔で口にするミカに、小暮君は冷や汗を流した。


「ちょっと待って! 腕輪、腕輪! ほら、召喚された直後に、あの胡散臭い騎士たちに全員怪しい腕輪をつけられただろ!」

「オー、コレデスカ?」


ミカが自分の細い手首に嵌められた、禍々しい紫の腕輪を差し出す。そして――。


パキッ。


「……は?」

「外れましたが?」

「それ、国が国家予算レベルの呪いをかけた『奴隷の腕輪』で、大人の力でも魔法でも簡単に外れないんじゃ……っ!?」

「外れましたが? そういうコグレも、つけてません」

「まぁ、僕は『影法師』の影魔法で、魔法で解読して外したけど……ミカさんはどうやって!?」

「内緒で〜す! というか、私にも分かりませ〜ん! 気がついたら割れてました!」


さすがは一発必中のガンマン、物理的な破壊の概念がバグっている。


「これで問題は解決ですね〜!」

「へ?」

「コハル、探しに行きましょう〜!」


ガシッ!! と小暮君の襟首を掴むミカ。


「待て待て待て、待ってくれミカさんーーー!!」


小暮君の必死の抵抗も虚しく、彼は『影法師』のスキルを一切活かせないまま、引きずられるようにして城の裏口へと連行されていく。


「止まりなさい! 勇者様がた、許可なくそこを通ることは――」


城を出ようとする二人を見つけ、色めき立つ帝国の兵士たちが数人、剣を抜いて立ち塞がった。


――バァンッ!!!


鼓膜を突き刺すような乾いた銃声が、静かな通路に響き渡る。


「…………」


兵士は悲鳴をあげる暇もなく、足元を正確に撃ち抜かれ、腰を抜かして黙り込んでしまった。威嚇の概念がほぼ実戦である。


「オーゥ、動くと次はヘッドショット(眉間)です。デッド・オア・アライブ、好きな方を選ぶといいですよ」


満面の笑みで、手元で愛銃のシリンダーをクルクルと回す金髪美女。


それを見た小暮君は、ガタガタと震えながら心の中で激しく突っ込んだ。


(さすが銃社会の人間、引き金を引くことに躊躇がなさすぎる……! っていうか怖えよ! なんだよトリガーハッピーって! 神官のインキャとか脳筋格闘家とか目じゃないくらい、うちのクラスの最大火力がここにいたわ!!!)


神様がかけた完璧なはずの記憶処理の結界は、コハルを欲するエセ関西人調教済みの小暮君の執念と、野生のガンマン・ミカの圧倒的なパトリオズム(?)によって、召喚早々あっけなく打ち破られた。


「さあコグレ、コハルの大好きな『タコ焼き』の匂いを頼りに、レッツ・ゴーです!」

「タコ焼きの匂いで異世界を大捜索できるかァァァ!俺は犬じゃない!」


今度は小暮君のツッコミが響き渡る中、二人は大混乱のベルガモン帝国をあっさりと脱出するのだった。



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