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第十話:森、脱出!目指せリゾート王国!



「やった……やったで、うちはついにやったんや……!」


森の中を歩き続けること数日。蔦の洞窟を拠点にマツタケモドキを食べつなぎ、ゴンのもふもふに癒やされながら進んできたうちの目の前が、急にパッと開けた。


そこに横たわっていたのは、綺麗に踏み固められた一本の広大な砂利道。


「見てみぃ、ゴン! 道やで、道! これでもう、どっちに進んでるか分からん森の中を彷徨わんでええんや!」


うちが感動の涙をボロボロと流していた時――あ、実際は流してへんけどな? 雰囲気や、雰囲気! 演出的なやつや!

とにかく、うちが道端でガッツポーズを決めていたその時、脇に抱えたガイドブックがピカッと眩しく光った。


「お、なんや? 自動更新キタか?」


さっそくページを開いてみると、そこには新しく開示された広域地図と、この道の詳細がポップな文字で記載されていた。


『現在地:ベルガモン街道。

【ルート分岐】

・東へ進む:ベルガモン帝国方面

・西へ進む:イシル王国方面』


「う〜ん、東か西か。どっちに行ったらええんやろ? ガイドさん、詳細情報カモン!」


さらにページをめくると、それぞれの国の特徴が旅行雑誌顔負けの情報量で紹介されていた。


【ベルガモン帝国(東方向)】

かつては世界を征服する勢いだった新興国家。しかし先代の皇帝が亡くなった時から急速に勢いが衰退している。最近、他国に無断で『勇者召喚』を行ったとの噂があり、国際的な非難を浴びている真っ最中。ちなみに、帝国の王女は「来るべき魔王の復活に備えた正当な儀式である」と必死に発信しているが……?

【イシル王国(西方向)】

水と森に恵まれた平和な国家。王都は巨大な湖の中の島にあり、その美しさは見たものを一瞬で感激させるほど。また、王都から少し離れた海辺の街は海の幸と山の幸に恵まれており、貴族たちの避暑地(リゾート地)としても大人気!


「――はい、決まりやな。西へ進路を取る、イシル王国に向かうで!!」


うちは即座に右手を西の空へと突き出した。迷う要素が微塵もないわ!


「大体な、今更こんなちんちくりんに縮こまったロリ体型で、あの帝国の王宮にいる同級生たちに会いたいないわ。ヒカルくんとかバカ女子連中に指さして『え〜、コハルめっちゃ小さくなってウケる〜!』とか笑われんの目に見えとるしな! 誰が好んであいつらの面倒事に巻き込まれにいかなあかんねん」


神様の手紙にあった通り、この世界に魔王なんておらへんのだ。それなのに、おらへん魔王の復活に備えて国際非難を浴びながらピリピリしてる帝国とか、絶対近づきたくない。


うちは平和で、ご飯が美味しくて、景色が綺麗なリゾート地に行きたいんや!


「行くで、ゴン! 目指すはイシル王国の美味いもんが集まる海辺の街や!」

「きゅ〜〜〜〜ん!」


ゴンも三つの尻尾をヘリコプターみたいにブンブン回して大賛成してくれている。

うちはガイドブックをバチンと閉じると、お詫びの可愛い革ブーツの足取りも軽く、西へ続くベルガモン街道を颯爽と歩き出した。


待ってろよ、イシル王国の海の幸、山の幸! うちの異世界観光(本番)が、今ここから始まるんや!

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