↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

PR
13/19

第13話 折れた剣

“へえ、やっぱりここに来たのか、言われた通りだ”

「!」

 突然声が響いた。

 聞き覚えのある声だった。

「よお、花屋の兄ちゃん!‥‥と、花屋の嬢ちゃん‥‥じゃなかったな、高貴な聖女さまってか」

 ジェイドさんが脇の藪から笑って顔を出した。

 続いてフィオナさんが現れる。

「家の前まで行ったのに、何も言わずに行ってしまうなんて、ライル君は冷たいのね」

 そして‥‥ボルドさんが静かな足取りで歩いてきた。

「ライル、お前は今まで本当によくやってくれた。感謝している」

 そう言いながら、剣を抜いた。

「待ってください! リナは何もしていません! リナは王に襲われたんです!」

「そうらしいな」

 ボルドさんは静かに答えた。

「俺たちは正式にAランクのパーティーになった。今までとは違い、国からの依頼も来る。今回の依頼は王の勅命だ。失敗するわけにはいかない」

「そんな‥‥僕もリナも何も‥‥」

「それはどうでもいいことなんだよねえ」

 ジェイドさんが背中から弓を抜いた。

「要は、金になるかならないか、ただそれだけ。‥‥あ、恨まないでくれよ。恨むなら、兄ちゃんが何の才能もないことと‥‥あと、そこの嬢ちゃんが、美人過ぎたのがいけないんだからさ」

「全く、ムカつくったらありゃしない!」

 フィオナさんが杖をリナに向けた。

「何の苦労もしてない小娘が、若いってだけでこんなに綺麗に見えるんだから!」

 ボルドさんが剣の先を僕の鼻先に向けた。

「ライル‥‥最後に我々の役に立て」

「‥‥‥‥ぐ」

 反射的に体がのけ反る。

「ふん!」

 ボルドさんは剣を掲げて振り下ろした。

 僕は体をそらしてかわした。

 ズン‥‥という重い振動の後、土埃が舞った。

「く!」

 僕は剣を抜いて構えた。

「おいおいおい、俺らと戦って勝てるつもりでいる?」

「やってみなきゃ分からないだろ?」

「ライル君も言うようになったわね。じゃあ、望み通り、戦ってあげる」

 三人は僕に向けて武器を構えた。

 確かに戦って勝つことは難しいかもしれない。だけど、勝つ必要はない。

 逃げる隙を一瞬だけ作れば‥‥。

 それに僕は、荷運びとして毎日、すぐ近くで三人の戦いを見てきた。

 その癖はよく知っている。

「我願う、願うは炎、願うは‥‥」

「!」

 フィオナさんが詠唱を終える前に、地面の泥を掴んで投げた。

「ぐ!」

 目に土が入ったようで、フィオナさんの詠唱は途切れた。不発に終わった炎の弾は、足元の濡れた草を焦がし、白い煙が立ち上った。

「おおおお!」

 煙の中からボルドさんが剣を振りかぶって突っ込んできた。

 最初は縦の大振り‥‥次に横なぎがくる。

 僕は横から迫ってきた大剣を、剣で受ける。

「ぐはっ!」

 僕の剣は真ん中で折れ、その切っ先が脇腹を深く切り裂いた。

「お兄ちゃん!」

「‥‥い、今だ!‥‥全力で‥‥あの藪に向かって‥‥走れ!」

 ボルドさんの次の攻撃までは、時間がある。

 傷口を押さえながら、僕とリナは藪の中に飛びこむ。

「あの野郎!」

 ジェイドさんが弓を放ってくる。障害物の多い藪の中では、弓矢を当てるのは難しくなるに違いない。

「あ!」

 リナが叫んだ。

「リナ⁈」

「‥‥大丈夫、行こう」

「‥‥‥‥」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。