第10話 勇者の約束
僕とリナは屋敷の奥へと通された。
少し広めの部屋の中には、八人掛けぐらいのテーブルと、椅子しかない。
アルヴィンさんは、僕とリナが座った椅子の正面に座って向かいあった。
リナが王宮に行ってからのことを話し始める。アルヴィンさんはその間、真っ直ぐにリナの顔を見つめ、黙って耳を傾けていた。
「‥‥‥それで、ライル君のところに逃げたというわけか‥‥」
聞き終わった後、ため息をつく。
「王は民には慈愛を持って接している。市中の女性を召喚して、寝所に招き入れるなどと‥‥信じられることではない。他には何か分かっている事があるのか?」
「はい、女性たちを王宮に連れて行く為に、聖女という名目を使っていると思います。‥‥それに‥‥ハーヴェイ神官長も‥‥私を王様のところへ連れて行くときに‥‥そう言っていました」
「‥‥‥‥では教会も王とグルだということになるな」
アルヴィンさんは体を震わせているリナから顔をそらした。
「君たちの言い分は分かった」
「では」
「だが、それをすぐに信じることはできない。聖女候補の証言しかない。証拠は何もない」
「‥‥‥‥」
そんな事は‥‥と、言いかけたけど、僕は何も言えなかった。
確かにその通りかもしれない。
「‥‥そして完全な嘘だとも断定できない。だから確かめる必要がある」
「‥‥‥‥」
「私が直接、王に問いただしてみる」
「‥‥アルヴィンさん‥‥」
「その間、君たちはこの屋敷にいるといい。真実がどちらにあるか‥‥それによってその後の君たちの処遇は変わるが」
「‥‥よろしくお願いします」
僕とリナは同時に頭を下げた。
良かった。
リナの言う事がアルヴィンさんにも本当の事だと分かれば、必ず力になってくれるに違いない。
「寝室は二階の奥の部屋を使ってくれ」
「ありがとうございます」
アルヴィンさんは夜中なのに、馬に乗って王宮に向かっていった。
「‥‥お兄ちゃん」
リナが僕に寄りかかってくる。
思えばリナは王に襲われて王宮から逃げ出して、家からここまで休まずにきている。
疲れてるに決まっている。
「大丈夫だ。あと少しで‥‥」
リナの頭を撫でていると僕にも眠気が襲ってきた。
安心した途端、気が抜けたんだと思う。
気が付けば、僕の意識も消えていた。




