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Ep.4 告白


謎にまみれたドナー神楽舞衣と、親友の百恵に連れられて遊園地に来た私。でしたが、どういう訳かナンパを受けています。

私も二人と一緒に売店に行けば良かったかな・・・・・・。

「かっわいぃー。キミ、俺と一緒に回らない?」

「あ、えっと・・・」

「奢ってあげるから、ほら。ほーらー!」

「あの、私、連れを待ってて・・・・・・。」

しどろもどろになりながら、詰め寄ってくるそいつとの距離を何とか取ろうとジリジリ下がっていると、


「っ!」


私の真横を、長髪の少女が疾風の如く通り過ぎた。

「っづあ!?」

彼女、舞衣がその男の顔面にドロップキックをかますと、

「私の連れに、何か用?」

「す、すみませんでしたぁぁぁ」

男は泣きながら走って去っていってしまった。

「大丈夫だった?」

「・・・・・・・・・・・・ありがと」

ポツリと、きっと誰にも聞こえないくらいに小さな声で呟いた。

「ふぅ、何はともあれだね。無事なら何より、良かったよ」

「さぁて! ポップコーンも買ったし、並ぶ準備もできた! 遊ぶぞ〜!」

「お〜!」




   ◇  ◇  ◇




「・・・・・・疲れた」

結局あの後、二人に振り回された。楽しかったが、正直体はクタクタだ。

「じゃあ帰ろうか」

百恵の提案に私は頷いたが、舞衣だけが珍しく反応しない。

「舞衣?」

「・・・・・・えっ?」

「帰らないのか?」

本当に珍しい。私とコイツの関係は決して長いと言えるものではないが、黙り込むことは今まで一度もなかった。

「うん。百恵は先に帰っててくれない?」

「いい、けど・・・」

頭にハテナを浮かべつつ、百恵はカバンを肩にかけ直す。

「じゃあ私も、」

「麻依は、ダメ!」

ここまで舞衣が強く訴えるのも珍しい。

「・・・・・・わかった、じゃあね百恵」

「うん、安全に帰ってね」



   ◇  ◇  ◇



   ◆  ◆  ◆




百恵と別れてから小一時間。連れられ歩き続けた私は、見知らぬ海岸まで辿り着いていた。

「・・・・・・。」

「・・・・・・・・・・・・。」

彼女はその場で立ち止まり、クルリと振り返ると私にこう言った。

「今から、私と、あなたの秘密を教えてあげる。まずは私の正体だね」



「私の正体は──────」















 「 クローンなんだ。 」










    ◆  ◆  ◆





心臓移植。日本の進んだ技術では、移植自体が難しいものでは無くなっていた。


一方でどうしたって解決しない問題がある。それは心臓がないこと。ドナーがいないことだ。


そこで政府はクローン技術に手を出した。これであれば、ドナー待ちの時間を金と技術で買うことができる。心臓が、移植を受ける側の人間に適応しやすくもなる。


そして、────





「そのクローン技術によって作られたのが私。だから私の心臓はあなたに移植されるし、そのために死ぬことは決まっている」


「・・・。」

辻褄が合った。全部の辻褄が。

彼女が何の手続きもなく私に近づける理由。医師たちが彼女のことを話せなかった理由。彼女が、クローンだから。

「ま、そういうことだから。貴女この前、移植を受けないなんて言ってたけど、まぁそんなことはないから」

「・・・・・・私は、受けない」


クローンだから? 作られた存在だから? だからなんだって言うのだ。あくまでも彼女は一人の人間で、感情だって意思だってある。今日だけじゃない、何度も過ごして、それは火を見るよりも明らかだ。

決して心臓を寄越すためだけの存在でなんて、あってはならない。彼女の心臓は、彼女が生きている限り、まごうことなく誰のものでもない、彼女だけのものなのだから。





その日は舞衣に病室まで送ってもらい、それでお開きとなった。

私たちは特に言葉も交わさず、今日この日を終えたのだった。


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