冒険者と一緒 2
牛肉などは、熟成させた方が美味しいと聞いたけど、魔獣の肉は魚みたいに新鮮な方が美味しいんだとか。
獲れたてピチピチなポイズンラビのステーキが今日のメインだ。
…ウサギなのに熟成させなくて美味しいのかな?
なんて疑問もあったけど、とろける旨さでした。
何でもポイズンラビは毒草を食べて、体内で毒を生成し、爪が蛇の牙みたいになってて、獲物を狩るんだって。
毒は神経毒で、その毒に侵された獲物を食べる…つまり、毒草を食べて毒に侵された肉を食べると。
だから内臓系はやばいらしいけど、ウサギで言うところのモモかロース辺りが安全に食べられる場所なんだと。
ラビと言ってもポニーくらいの大きさが有るので、食べごたえはある。
「俺らの住んでる場所には居ない魔獣だから、解体を教えてもらえてありがたいです」
「いろんな国に行くと、そこ独自の食材が有るから楽しいよね」
ミヤミヤムーが魔獣を食材と言い切った。
「ウォルキャットは燻製が美味しいから、携帯食に持っていくといい。
今夜から燻製室に入れておくと明後日までには美味しく出来上がるだろう」
おじさんが言うと、
「それはありがたい、それなら明後日まで世話になって、午後からでも次の場所へ移動しようかと思うのですが、明後日までお世話になってよろしいですか?」
アキチカが今後の予定を告げてくる。
「次はどこに行かれるんですか?」
リズヴァーンの問いかけに、
「北。
未開の地、聞いただけでワクワク」
口数は少ないけど、表情が楽しみって語っているクラリが言うと、メンバーが頷いた。
皆根っからの冒険者なんだろうな。
リズヴァーンの羨ましそうな顔なんて、珍しいものも見られた。
俺もちょっと羨ましいと思うけどね。
そう言えば…と、スックが問いかけて来た。
「狩をしててふと気になったんだけど、複数属性の魔法を使える人が多いんだね」
それは俺も思った。
小説やマンガの中の世界だと、得意属性の魔法があって、複数の属性を使えるってのはチート設定、ってなものが多かったから、最初はちょっと驚いた。
でも、この世界では、【魔法は使えて当たり前】な世界で、得意不得意はあっても、どの属性もとりあえず使うことができる。
不得意な属性は、魔石で補助するって感じだ。
例えるなら…
『俺様って球技は何でも一通りできるんだぜ!
でもな、サッカーは得意だけど、野球になるとマウントからキャッチャーまでボールが届きやしないんだわ。
そこで取り出したるこの魔石を使うと、あら不思議!
豪速球でもカーブでも思いのまま!
これでマウントの上の四角に死角は無いぜ!(四角ってなんだよ、マウントだからかよ、下らんな)』
って感じなのがこの世界での魔法かな?
でもって、回復魔法はけん玉、やれば出来なくはないだろうけど、わざわざ練習するより、得意な人に任せようって感じ?
ついでに付与魔法は、地上5メートルの辺りにカゴがある玉入れ(球技ちゃうやん)かな。
玉は投げることができる(付与はできる)けど、なかなか入らない、でも稀にまぐれで入る(効果がきちんと出る)的な?
おじさんが、この国では属性関係なく誰でも魔法を使えることを説明すると、スック達は驚いていた。
俺の知ってるファンタジー世界の様に、この国以外では、通常一属性しか使えないんだって。
で、使えない属性も存在するし、魔法自体使えない人も沢山いるって、俺の知るファンタジー世界の世界観だ。
複数属性使えると、魔法専門職に就けるし、エルフでも全属性は使えないそうだ。
だからめちゃ驚かれた。
これってうちの領地の伝説とかに関係あるのかな?
曰く付きの土地の作物を食べてるからとかさ。
いや、わからんけど。
「国外に出て訪れたのは、この大陸で三つ目だけど、他の二つは俺たちの国と大差はなかったと思う。
だけどこの国は…最初に上陸した南の国はやたら人懐っこい国だったし、東の国は逆に敵対心剥き出しだったし、この国は魔法に特出しているしで、とても変わった国々の集まった場所なんですね。
これは北の国も面白そうだな」
最後のセリフはメンバーに向かって言っている。
メンバーも深く頷いている。
でも住んでる人間からしたら、これが当たり前で、変わっているとは思わないもんだよね。
『普通』と『変わっている』の差って、個人の主観だと思うし。
元日本人としては、魔法があって魔獣がいて、冒険者が海を渡ってやってくる、そんなのが全部『変わっている』だしね。
その後は、種族の話になって、俺は興味津々だ。
諸島連合は島々で、種族が分かれている。
と言うか、言い伝えでは、元は一つの大陸で、沢山の種族が集落に分かれて生活していた。
それがある時【何か】をきっかけに大地が割れ、種族ごとの島に分かれてしまったって神話かよ!
人族と、耳さえ隠せば人に見えるエルフ、人との大きな差が身長くらいなドワーフの、三つの種族が主だって他国へ出向いているんだって。
獣人だと話を聞いてもらえなかったり、入国拒否どころか、魔物として攻撃されたりするから、島々や、近隣の国以外は人とエルフとドワーフが出向く事になったそうだ。
詳しくは言わなかったけど、前世の小説などの世界と照らし合わせたら、色々有ったんだろうって想像つくよ。
しかし会ってみたかったなぁ、人狼とか、ワーキャットとか、オーガとか、ドラゴニュートとか、狐っ子とか、バニーちゃんとかとかとか。
やっぱり尻尾が性か……いや、尻尾が急所なんだろうか?
もふもふしてみたかった。
俺もリズヴァーンも、めっちゃワクワクしながら(きっとワクワク処は違うだろうけど)遅い時間まで、アキチカ達の話を聞いたところに、執事がやって来て、おじさんに手紙を渡した。
それをざっと見たおじさんが、アキチカに問いかける。
「アキチカ殿、隣の領から書状が届いたのだが、【旭の昇る海】と言うグループ……冒険者はご存知かな?」
「え?…あ、はい、この国を回る冒険者達です」
「あ、そうか、今俺たち予定外の場所にいるんだった」
焦っているアキチカとミヤミヤムー。
他のメンバーはやれやれって感じ?
おじさんによると、その新たな冒険者パーティーが、うちの領(サリフォル領)に来ているそうだ。
で、こちら(アスデモス領)に【悠久の海】のパーティーが居ると聞いて、代表者の二人がこちらに来たいと連絡して来たと。
おお、第二の冒険者パーティーだ。
★★お知らせ
次回95話から一週間連続投稿します。
10日から16日までとなります。
よろしくお願いします




