バザーの出品物
ふふーん、さてさてバザーには何を出そうかな。
朝リズヴァーンと話して、休憩時間に兄に説明して、放課後ベルアルムに、バザーは出たいけど一緒に出店は無理って伝えて、一緒でなくても出店していいと言質をとって、家に帰宅。
両親にリズヴァーンと出店すると伝えたら、笑顔で頑張れと言われたので、今何を出店するか、母と相談中です。
前世なら、バザーやフリマに出すって言うと、古着や使わなくなったアクセサリー、本や鞄、それに家族が引き出物で貰ってきた食器や時計とかかな。
姉貴はぬいぐるみ(ゲームキャラの)とか、コス衣装とか、ガチャのダブりとか出してたな。
オフィシャル物って出してよかったの?
あ、話が逸れた。
この世界ではどういう物を出すんだろう?
だって食器やカトラリーは家紋入りだし、アクセサリーってガチな宝飾品だし、ドレスってサイズもさることながら、ゴテゴテしててどこに来ていくの?って感じだし。
わからないから素直に聞いてみた。
「お母様、私バザーは初めてなのですけれど、どう言った物を出せば良いのでしょう」
「そうね、手作りの物を出店される方が多いですわよ。
木彫り細工や陶器などが多いわね」
なる程、バザーと言うよりアートマーケットかな?
詳しく聞くと、木彫りで置物や髪飾り、銀細工でアクセサリー、陶器の食器や壺、ちょっとした楽器(オカリナみたいな素朴なやつ)、後はクッキーとか刺繍とかレース編みとかとか。
うっ…どうしよう、ちょっとばかり…いやかなりのブキッチョさんなのだが………。
「そうね、キャスティーヌ、刺繍はどうかしら?」
「お母様はご存知ですよね、私の手先の不器用さを…」
母はあっさりと「そうね」と肯定する。
少しくらい躊躇とか、フォローとかないのかな。
「普通の刺繍は貴女には無理だから、お守り刺繍はどうかしら」
お守り………なんだか地雷案件な気がするけど、話だけは聞いておこうかな。
母が言うには、刺繍入門みたいな感じで、子供たちがハンカチなどにする刺繍だそうだ。
護符とかそんなガッツリしたもんじゃなく、本当におまじない程度の気休め感覚の物で作る物らしい。
効果も気休めなのだとか。
日本で言うと、【枕の下に写真を入れて寝るとその人の夢を見る】とか、【足が痺れたらおでこに唾をつければ治る】とか、【霊柩車とすれ違う時親指を握り込む】とか、そんな感覚らしい。
効果は…よく眠れるようになった気がするとか、風邪をひきにくくなったかなとか、赤面しにくいかなとか、健やかに育つようにや、怪我をしないようにとか、仲良くなれたっぽいなどなど、言っちゃあなんだが、気のせいレベル?
まさに【おまじない】だ。
魔石に付与するお守りみたいな、きちんとした効果は無いけど、親が子供へ、子供が妹や弟へ思いを込めて一針ずつ針を入れて、願いを込めるそうだ。
それでも現実問題、赤ちゃんにお守り刺繍のある物で身の回りのものをと思っても、時間がなくて買うって人は案外多い。
あとは、あれば使いたいけど、わざわざ刺繍するのが面倒だとかね。
なんだけど、布の端っこにちょこちょこと施すお守り刺繍は、仕事にするほどの収入は望めないらしく、暇なご婦人が普段作ってこう言ったバザーで出店するって事が多いらしい。
人気なのは赤ちゃんのスタイやオムツ。
洗い替えに沢山有れば、洗濯の回数が減って助かるとか。
洗濯機も乾燥機もない世界だから、大変だろうね、時間的にも労力的にも。
実は母も暇を見つけては、こういった機会の為に色々作っていたそうだ。
チマチマと刺繍をしているなと思ってたけど、お守り用だったのか。
俺もいくつか作り、まとめて出品することに。
でもさ、不器用なんだよ、俺って言うかキャスティーヌがね!
なので端っこを始末するだけの花瓶敷きと、燭台の下に敷くやつを作ることにした。
両方とも滑り止めの布なので、厚みがありしっかりしているので、加工しやすいんだって。
薄くて繊細な布だと、ほつれたりシワになったり破れたりで、初心者には難しいそうなので、勧められた敷物にした。
切って折り畳んで、チクチク縫って、下書きして刺繍する。
梵字っぽい柄のそれは、使う糸の色と併せてお守りとなるらしく、初心者の俺は言われた文字っぽい物を、言われた色の糸でチクチクチクチク。
隣で母はスルスルと赤ちゃん靴下や子供用の背負い袋など複雑な物(俺にとっては)を作っていく。
後は祖母が趣味で作っているロウソクを、燭台敷とセットで売る事にした。
燭台敷単品は需要が無いからね。
ロウソクを束ねて燭台敷でまとめ、リボンをキュッとすれば、ちょっとオシャレに見えなくも無い。
因みに、魔法のあるこの世界、勿論部屋の明かりは【ライト】の魔法です。
でもさ、灯りと言うより雰囲気を楽しむ為に、ロウソクを使う人は割といる。
パーティーなどで使ったり、【特別な夜】の演出だったり、二人きりのディナーとかさ。
この世界のロウソクは、香料を練り込んでいるので、アロマキャンドルって感じ?
しかもどうやっているのか知らんけど、炎の色もカラフルなんだよ。
だからこそ、灯り系の魔法が有っても需要は有るんですよ。
そんなこんなで、母と祖母のおかげで準備期間が短いわりには、そこそこの出品物が揃った。
ありがたやありがたや。
リズヴァーンの件は兄が話をつけてくれたので、後は当日を待つだけだ。
この世界での初めてのバザー、楽しんで来ようっと。
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