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ランフェル 3

私も【ありのままの私】を受け入れてくれる相手に出会えるかと、少しばかり期待をして学園へ通っていたのだが、私に釣り合う年齢の公爵令嬢はいないし、他国からの留学生もいない。

侯爵家の令嬢は何人かいるのだが、好ましい相手は居ない。

居るのは王族を【権力に物を言わせて好き勝手にできる人達】【贅沢な暮らしを自分の親族にまで及ぼしてくれる財布】とでも思っているような女性ばかりだ。


少しでも条件の良い相手を見つけたいと言う気持ちはわかるけれど、条件の良い相手なら、王族だけは選ばない方がいい。


自由もなく監視されて、思ったことを口に出すことも憚られ、いつでも完璧を求められ、気を抜く暇もない。

相手の裏を読んで行動しなければならないし、差し出された好意も疑わなければならない。

個人より、国民の為に生きなければならない。


国民あっての王族、自分たちが生活できるのは国民の収めてくれる税収があればこそ。

その国民を守り導くのが王族。


分かってはいるのだが、分かってはいるのだが……。



クラスに少し他と違った女性が二人いる。

一人はいつも笑顔なのだけれど、その瞳は冷静に周りを見ている子爵令嬢、もう一人は最近雰囲気の変わった伯爵令嬢。

少しばかり目を引くのだが、それだけだ。


その二人が絡まれているところに割り込んだのが、オルグストー侯爵令嬢だ。

あの二人との交流は、クラスの一員として以外になかったように思うのだが、それにも関わらず、上位貴族である彼女が、下流貴族を庇うなど、有り得ないことなのではないのだろうか。


なんとなく彼女のことが気になり、少し調べてみた。


彼女はとても真面目で、頭の回転も良く努力家で、でもそれを表に出さない矜恃もあり、いつも正しくあろうとするその姿勢が好ましく思える。


興味を引かれ、彼女を呼び出し、二人で話をしてみた。

幾度か会ううちに彼女も打ち解けてきて、プライベートな事も話すようになるまで、そう時間はかからなかった。


彼女と私は似ている。


周りの目に負けないように、揚げ足を取られないように、隙を見せないように、いつも正しく、周りの人の為に尽くすことを期待され……。

押し潰されそうになっても、それを周囲に悟られてはならない。

また、それを周りに気づかれるのは、自分の矜持が許さない。


それでもたまに泣きたくなることがあると言った彼女の事を、頷く代わりに抱きしめていた。


彼女の儀式の相手になった後は、彼女が私の前だけでは弱い部分を見せるようになり、私も彼女に自分の胸の内を明かした。


彼女と私は似ている。

彼女は弱い部分を笑顔に隠した。

表情をなくし感情を押さえ込んでいた私より強いと思う。


彼女は私の前だけで、私は彼女の前だけで、素直な心の内を曝け出せる。


迷うことなく彼女に婚約を申し込んだ。

自分で選んだ好きな相手と結婚できる、そんな国に生まれてきてよかったと思う。

これからは兄を支えて国に尽くし、私生活では彼女を守り、幸せな家庭を築けるよう尽力しょう。

彼女と暮らすこの国をより良いものにしたいと思う。


彼女と婚約が成ってからは、それまでまあった焦燥感が薄れてきた。

心に余裕ができた気がする。

兄や義姉から笑顔が増えたとも言われる。


好きな相手ができる事は、色々なことがプラスに働く素晴らしい事なんだな。


私の周りの人々も、素敵な出会いがあればいいと思う。

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