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アラサーの俺がヒロインの友達に転生?ナイワー  作者: 七地潮
〜気がつけば第二の人生?〜
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神殿での出来事 2

聖杯に満たされた聖水に魔石を浸し、教えられた祝詞を唱え、渡す相手(兄)を思い描きながら、魔石に付与したい効果(体力回復)を心を込めて願い、魔力を高め聖杯に注ぐ。

兄の美少女フェイスを思い浮かべ、兄のことを考える。


学園の勉強だけではなく、父の仕事の補佐の補佐をしたり、領地運営を爺様から教わったりしながら、リズヴァーン相手に鍛錬も怠らず、他の貴族連中との交流も無難に行っているのに、成績優秀なんてチート過ぎるだろう。


……いや、そんなんじゃ無いってわかってるよ。

簡単にやってのけているように見えるけれど、遅くまでお付きに集めてもらった資料で学んだり、朝早くから剣を振ってるのも知ってる。

陰で努力しているのは、家族皆知ってるよ。

でもそこは見て見ぬふりをしないといけないんだって。

でもさ、でもまだ十代だよ?

若さゆえの体力で乗り切っているんだろうけど、そのうち倒れそうで怖いんだよ。

過労死なんて現代社会人だけのものじゃ無いんだからね。


だから、兄が倒れる事なく、健やかに、自分の思う事をできるよう、少しでも力になれるように………。


一生懸命に祈っていると、体からふわっと何かが抜けていく感覚があった。

これって魔力がごそっと抜けている感覚かな?

聖杯がうっすら光っている。

その光が消えたと同時に、めちゃくちゃ倦怠感に襲われて、体が傾く。

ヤバイ、倒れる!

って思ったけど、壁際にいたベルアルムがいつの間にか側にいて、支えてくれたから、倒れるのは回避された。


「ありがとうございます」

お礼を言って体を起こす。

「あの…付与は無事に終わりましたでしょうか?」

こんだけ疲れる事をして、失敗してたら目も当てられない。

ベルアルムは俺をソファーに座らせて、聖杯に近づくと中を覗き込んだ。


「貴女は何を考えてお祈りを捧げましたか?」

え?何?失敗してるの?

何だか怪訝な顔つきなんだけど。

「私は……兄の事しか考えていませんけど…」

網杓子みたいなもの?で魔石を掬い、布張りのトレーみたいな物の上に乗せ、俺の所まで持って来てくれた。


え?ナニコレ?


それは薄ら銀色に輝く碧色をしている。

アルバートの髪と瞳の色だ。

でも魔石ってこんなに光ってたっけ?


「詳しくは鑑定して見ないとわかりませんが、体力回復以外の力を感じます」

「え?それではやはり失敗なのですか?」

また魔石を買うところからやり直し?

そろそろ家に帰らないとまずい時間なのに、やり直しなの?


「体力回復としては失敗かもしれませんね……」

少しお待ちくださいと言い残し、ベルアルムが小部屋から出て行った。

うわー、やり直しか。

背もたれに体を預け、魔力が回復するのを待ちながら、気力も復活させる。

ダメならやり直せば良いさ。

時間は少なくても、コツは掴んだからね。

よし!と気合入れていると、ベルアルムが戻ってきた……一人の男性を連れて。


「こちらは上位神官のドゥーラ様です。

鑑定も使えますので、先ほどの魔石を見て頂きました」

ドゥーラと呼ばれた神官が、頭を下げたので、俺も立ち上がり挨拶をしようとしたけど、そのままでと止められた。

ありがたく座ったまま挨拶を返す。

向かいにベルアルム達が並んで座り、間のローテーブルに光る魔石が置かれた。


「こちらを鑑定させていただきました。

こちらへの付与はが貴女がなされたのですね?」

確認されて頷く。

「こちらの魔石には【体力回復】【気力回復】【精神安定】の三つの効果がそれぞれ中で付いています」

え?俺の魔力ではそんなに付けれないはずでは?

思わずベルアルムに視線を向けると、微笑んでる………いや、ニヤついている?


「それとあと一つ、【不屈】小も付与されています。

全部で四つですね。

これはかなりの魔力のある……、魔法省に勤めている、上位魔術師でも難しいかと思われます。

あるいは付与魔法を生業とする方、しかもかなりの経験と魔力を持つ方でないと、この大きさの魔石にこれだけの付与は難しいと思います」

えええー?ナニソレ?マジにナニソレ?!


「更にですよ、使用人指定まで施されているとは、貴女は一体何者なのですか?」


普通の人間です。


ちょっと前世がおっ…お兄さんな、この世界がゲーム内世界で、ヒロインの友達ポジで、ゲーム進めた所までの世の中のおおよその出来事と、登場人物の大まかな個人データを知ってるだけの、ただのお兄さん転生令嬢です!


……………あ?普通じゃない?


いや、神様に会ったわけでない、チートも無い、前世の文明をこの世界に持ち込むこともない、魔王になるわけでも、王妃になるわけでもない、飯テロも内政チートもハーレムもない、普通の転生者だよね?


あれ?……………普通とは?



いやいやいやいや、マジに変な能力なんて無いんだって!

ドゥーラからは疑いの目で、ベルアルムからは面白い珍獣を見る目で見られている。


「私は……、いつも努力を怠らず、常に前を目指すお兄様の力に、少しでもなりたいと思って祈りを捧げていただけです」

そう、それだけだよ、マジに。

「貴女の兄君への想いを祈りに乗せただけと仰るのですか?」

それ以外にないから頷く。

ドゥーラが何か考え込んだあと、聖杯を乗せているテーブルの引き出しから小瓶を持ってくる。


「こちらは魔力回復薬です。

こちらを飲んでいただき、今一度魔石に付与をしていただけませんか?」

「何故ですか?」

何か陰謀めいたものを感じるんだけど。


「……そうですね、貴女が普通の人であるという確認のため、ですかね」


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