イベント 魔獣討伐授業
午前中の授業が終わり、午後は課外授業を受けるか、兄に拉致られるかの一週間、そして迎えた週末土曜日。
今日は魔法学と体術の合同授業、郊外の森で魔獣討伐だ。
王都近郊の森には、強い魔獣はいないので、実習やテストに使われる事がある。
今日は初めての実習で、いくつかの班に分かれて魔獣と戦う。
体術科はそれぞれ得意武器を持って二人、魔法学は攻撃魔法で二人、防御魔法が一人の5人1組に分かれる。
体術と魔法学両方選択している生徒は、どちらでも好きな方を選んで良いとなっている。
今日の実習では、狼型の魔獣を各班で一匹ずつ倒す事となっている。
俺は体術を選んだ。
愛用の武器はショートソード。
ショートソード以外はチビな俺には扱いきれないし、弓は……邪魔なんだよ、胸の肉が。
クリスティーナも体術で、弓を選んでいた。
体術が二人とも女性なのはダメらしく、班が別れたんだけど、これはシナリオ通りなんだよね。
ヒロインの班には王子が居る。
そして王子の側には護衛騎士が居る。
あ、勿論護衛騎士は授業中手は出さないよ。
ただ何かあったときのため、いつでも視界に入る範囲に居る。
そしてここで俺の班は討伐に失敗して、俺が狼の魔獣に襲われそうになる。
討伐が終わって戻る途中のヒロインの班がそれを見かける。
クラスメイトの危機に王子が飛び出す。
魔獣が攻撃を仕掛ける王子を狙う。
王子ピンチ。
護衛騎士駆けつける…前に、ヒロインの放った矢が魔獣を倒す。
(弓の一撃で倒すなんてあり得ないだろうと、突っ込んではダメだ)
皆無傷で助かる。
護衛騎士、女性より反応が遅かった不甲斐なさに凹みつつ、ヒロインを見直す。
はい、フラグの一丁上がり。
勿論王子の好感度も上がるダブルの効果。
そして助けられた友達は、更にヒロインに懐いていく、と。
うん、筋書きはわかった。
この役見事こなしてみせましょう!
なんて思った俺がバカでした。
なんじゃコレ、狼の魔獣?
象…いやいやそれより大きいマンモスサイズ?
待て待て待て待て、ゲームに有りがちな、画面右にプレイヤーキャラ、左に敵モンスターのグラフィックだったよ、三等身なキャラが右に5人並んでたよ、ちんまりと。
画面左のモンスターは一匹だったよ、5対1だから画面のバランス的にも、モンスターは大きく描かれてたよ?
だからと言ってその対比のままとか有り得んわ!
しかもコレを各班でそれぞれ倒すんだろ?
こんなサイズのモンスターが何匹居るんだよ!
郊外の森にこんなバカでかいモンスターがうじゃうじゃ居たら、国なんてあっという間に滅ぶだろ!
魔法学の女子生徒が防御魔法展開したけど、魔獣の前足ちょい、で破られました。
そりゃあそうだわな。
俺以外の四人逃げました。
気持ちはわかるわ。
そして俺は今ヒロイン達の班が来るのを…………待ってられるかーーーーー!!
あ〜無理無理無理無理!
こんなバケモノの前に一人残される俺の身にもなれよ!
無茶振り過ぎんだろ!
後のことなんて知ったこっちゃねえ!とばかりに魔法を放つ。
「エアーカッター!ウオーターボール!アイスニードル!アースフェンス!サンダーボルトーー!!!!」
とにかく思いつく限りの魔法をぶち込んでやったぞ!
あ、でもちゃんと森の中ってのを考慮して、炎系の魔法は使わなかった俺って偉い?
ズタボロになって崩れ落ちる狼の魔獣。
ふーっと息を吐き、額の汗を拭ってると、背後から草をかき分ける音がした。
もう一匹出たか?!
音の方へ魔法を発動しようと、振り返れば奴がいた……いや、王子とヒロインと護衛騎士。
3人とも唖然とした顔をして固まっている……。
うん、ここは笑ってごまかしとけ。
「無我夢中でしたけど、なんとかなりましたわ」
テヘペロ、って感じかな。
うん、ダメみたいだね。
ごめん、クリスティーナ、フラグぶち折ってしまったね。
他のキャラルートに行ってね。
全力を持って応援させてもらうから。
この【一人で魔獣倒しちゃった件】は家にまで伝えられ、両親や兄からこってり絞られました。
え?でもこれ俺のせい?
いや、姉貴のシナリオのせいじゃね?
やらかしたのは俺だからやっぱり俺のせい?
うん、考えるだけ無駄だね。
疲れたから早目に寝よう。




