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第2部 第25章 KGBの寮は事故物件

KGB第二部始めました。

書き溜めた貯金が無いので(笑)

更新は書いてからになります。

ご容赦ください!!


カランカラン


「イツキ〜居る?頼まれていた物件、ちょうど良いの見つけて来たわよ!」


「何?物件って....ああ!クリスマスの時に頼んであったやつだ!ノアル仕事早いね〜」


「最近管理だけじゃ無くて、仕入れ物件の調査とか、買い付けまでやる様になって、それで資料を見ていたら、あなた達KGBにピッタリの物件があったって訳」


ノアルの持って来た物件と言うのは、いわゆる事故物件。

そりゃ〜うちの寮にはピッタリだけどさ、

普通の物件持って来いよな。


知り合いの開発業者が競売で買い入れたのだけど、買った途端に、社員の不祥事や事業計画の失敗などが続き、経営が苦しくなったらしい。


そもそもこの物件は買った業者が必ず経営不振になったり、

倒産したりして、

業者間をぐるぐる回っているようなそんな物件らしい。

ノアルはKGBならなんとかしちゃうのではないかって、専務のママに話をしてその業者からかなり格安で買ってしまったのだと言う。


半年後には取り壊し予定と言う事で、私たちが安く借りられると言うことになった。

ノアルのママは私に貸すのならと二つ返事だったんだって。


「じゃあ、物件資料はここに置いておくから、時間がある時に憑き物払って引越ししてね!」


ものすごく軽く私の前に、いわく付きの事故物件資料を置いてノアルは仕事に戻って行ってしまった。


資料を読むと、

アパートではなく、昔にしては、かなりおしゃれな下宿だったと書いてある。


問題の事故物件の内容は、夜になると建物内で女性のうめき声や、

叫び声、

泣き声、

罵る声が聞こえてくる。

そして定点カメラには

ポルターガイストも映っていたらしい。

かなり強力な悪霊がついているのではないかと、霊媒師からの診断もついていた。


みんなが配達から帰って来たら、さっそく探検、じゃない...内見に行ってみよう!


強力な悪霊!!


やばい!ゾクゾクすっぞ!


私はお兄ちゃんが昔好きだった少年漫画の主人公の台詞を思い出していた。


早速キャラバンに乗り込む、大五郎さん、チャラ男、死神ちゃんとエカテリーナ。

わらしちゃんはお留守番。

びんちゃんはどこかに行ってる。

奴には教えない方が良いかも知れない....


錦糸町から北に向かって車で20分、白鬚公園を横目に、鐘ヶ淵を過ぎて化粧品会社の工場の先を曲がって古い住宅地に入る、東武伊勢崎線が近くを走ってる。荒川の河川敷もすぐ近くにある。


現地に着いた。

多聞寺というお寺の隣にその物件はあった。


うわーお墓の隣だぁ〜!


皆それぞれ好き勝手に探索に行く。


死神ちゃんとエカテリーナなんかは、

もう悪霊探しを勝負にしている。

早く見つけた方が今日のビールを奢るとか、勝手にルールを決めていた。


私は一人でゆっくり外観から見て回る、


白い壁のかなり古い2階建ての洋館ぽい建物。


あちこち塗装は剥がれているけど、壊れている感じは無い。

しかも前には駐車場もある!


アーチ型の入り口がオシャレじゃん。


建物の周りの植木が手入れをされていないのか元気に茂っちゃってる...


増築されたと思われる玄関から向かって右側は蔦に覆われている。

何かかっこいい。

っていうか、

とってもかっこいい!!


アーチ型の玄関を入ると、吹き抜けのホール。

正面2階の窓から光が差し込んでいる。

教会みたい。

そんなこと言ったらエカテリーナは嫌がりそう。


そして、幅の広い階段が、左側から上がって正面で曲がって2階へ続いている。


ますますかっこいい!


玄関に入って、右側の奥は15畳位の食堂があった。


なんだかワクワクしてきた。


食堂の反対側にはお風呂場がある、モザイクのタイル張りで所々タイルが剥がれているけど、浴槽は3人ぐらい入れそう。

温泉旅館みたい!


お湯の入っていない空の浴槽に入って、そんなこと妄想していたら。


「イツキ〜見つけたわよ〜!ビールは私の物ね!死神!」


エカテリーナが勝どきを挙げている。


かわいそうな悪霊....上位悪魔に見つかってしまうなんて...


声のする方向はさっきのキッチンの奥から聞こえてくる。


キッチンの奥には小さな部屋があった。

5畳位かな、管理人室なのかもしれないと思った。

物件の間取り図を見るとやはり管理人室だ。


家財道具が残っている、昭和の家電や家具がそのまま。

ここだけタイムスリップしてるみたい。

相当昔からこの物件って不動産業者を潰してきただろうなぁと思うと、少し怖くなってきた。


エカテリーナがブラウン管テレビの前で腰に手を当てて、ちょっと顎を上げてどや顔をしていた。


ブラウン管テレビは壁に向かっていて、

壁に向かっている....?


ブラウン管テレビから

髪の毛が、

長い濡れた髪の毛が、


うわー気持ち悪い。


「で〜れ〜な〜いぃ〜

く〜そ〜

の〜ろ〜って〜や〜る〜」


壁に頭をぶつけながらテレビから出ようとしている髪の長い女がいた。


テレビをこちら側に向けて出れる様にしてあげた。


ズルズル。

左肩が当たる...

ズルズル、後退り...

ズルズル。

右肩が...

身体を斜めにしながら必死の形相でやっと出てきた。


この顔が一番怖かった....


出てきた悪霊は周りを見渡す。

鬼がいる、悪魔が2人もいる、死神もいる、私のポーチには、

クシナダヒメの神聖なる気配。


「の〜ろ〜え〜な〜い〜」


なぜかみんなの前に正座して、悪霊は事情を話し始めるのであった。


「私の名前は貞代と言います。ここの下宿にお世話になっていた大学生です。」


空襲の時、裏の井戸に逃げ込んで出られなくなってしまった。

ロープが途中で切れて下まで落ちてしまいました。


暗い井戸の中で、丸く小さな空を見上げて助けを求めるのだけど。

誰も助けに来なくて、

爆撃の音だけ聞こえて、

怖くて、

怖くて、

寒い....

なんで私だけこんな目に合わなきゃいけないの?

私が何をしたっていうの?


意識が薄れて瞼が下がる、身体が井戸に沈んで行く。


そのまま異界に飲み込まれてしまった。


悪霊になって、気がついたら、井戸は塞がれていて出られない。


長い間暗闇の中で蠢いていると光が見えて、そちらに向かうと、

もう一つの出口が見つかった。

それが管理人室のテレビだった。

一度出ようとしたら、管理人が恐怖してテレビを壁に向けてそのまま、それから出られないままだと言っている。


悪霊になってしまったので霊障が漏れ出てしまう。


自分の意思には関係なく、厄災をもたらしていた。


悪霊の貞代さんは悔しそうに語った。


エカテリーナから深いため息が聞こえてきた。


私はこの間のエカテリーナ話を思い出してしまって。


ハッとしてエカテリーナを見ると、貞代さんから目を離さず動かないでいた。

手がきつく握られていた。


貞代さんは死神ちゃんに、

「ここまで悪霊化したら輪廻の輪には戻れないよ。」


根の国で下働きになるって言われてる。


「行きたくない〜

呪ってやる〜」


死神ちゃんが貞代さんの顔を覗き込む。


「すいませんでした〜口癖なので〜」


私が、

じゃあ、ここで管理人として働けばって言ったら。


エカテリーナが少し嬉しそうに携帯を手に持った。


「イツキの事じゃ、そう言うと思ったわ。CIAに電話してみるわよ。

アイツならなんか解決方法知っていると思うから!」


でも後、半年で取り壊されちゃうんだよね...


「アイツ今日は外せない予定があるとか生意気な事言ってたけど、明日なら朝から来るって!」


エカテリーナが携帯をブラブラさせながら報告して来た時車が止まる音がして、


「イツキ〜どう?この物件、住めそう?」


ノアルが仕事の合間に様子を見に来てくれた。


管理人室に正座している貞代さんを見て、逃げようとしているけど足が絡まってその場に崩れ落ちた。


自分だって似たような物だったくせにって言ってやったら。


「そうね、考えてみたらって!全然違うわよっ!」


ノアルが鞄から半年間の賃料の書類を出した。

それをエカテリーナが奪い目を通す。


「ノアルちゃん、相談なんだけど」


さすがうちの財務担当エカテリーナ、家賃交渉かと期待する。


「買うわ」


「へ?」

「え?」


「だから買うって言ってるのよ、いくら?」


「エカテリーナ、組織辞めて財産持っていかれちゃったんじゃないの?」


「私を誰だと思っているのよ!元ゲーエルウーの工作員で上級悪魔よ!隠し財産ぐらいあるに決まってるでしょう!舐めて貰っては困るわ!」


「だってポルシェ取られて電車通勤してるし、」


「ポルシェなら10台ぐらい買えるわよ!」


「ええええええ〜!!!!」


貞代さん以外のここに居る全員が声を上げていた。


「な、なんで買わないの?電車通勤文句言ってたのに。」


エカテリーナは、ドヤ顔で25型ブラウン管テレビに片足を乗せて言い切った。


「飽きたのよっ!」



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